アルコニックスは反発の動き

日インタビュ新聞ロゴ

 アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指している。当面は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお3月27日に自己株式取得を発表している。また5月15日に20年3月期決算発表を予定している。

■商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」目指す

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。

 商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。

■製造が利益柱

 19年3月期セグメント別売上高構成比は、商社流通84%(電子機能材33%、アルミ銅51%)で製造16%(装置材料8%、金属加工8%)だが、経常利益構成比は商社流通28%(電子機能材12%、アルミ銅16%)で製造72%(装置材料10%、金属加工63%)だった。

 レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造が連結経常利益の過半を占める収益柱となっている。

 中期経営計画(20年3月期~22年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を22年3月期の経常利益100億円超、純利益70億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。なお20年4月1日から定年延長制度を導入する。

 3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円~300億円で、ROIC10%を目標とする。商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。

 18年12月摩擦調整材カシューパーティクルを製造販売する東北化工を連結子会社化してブレーキ関連市場に参入、19年2月カーボンブラシを製造販売する富士カーボン製造所を連結子会社化、19年7月メキシコFNA社の自動車部品用精密金属プレス部品事業をメキシコFUJI-MX社が譲り受けて営業開始、19年10月香港でリチウムイオン電池材料事業の合弁会社を設立、19年11月中国で建設用仮設資材の輸入・製造・販売の合弁会社を設立、20年3月連結子会社の平和金属を完全子会社化した。

■20年3月期経常減益予想

 20年3月期連結業績予想(19年10月29日に下方修正)は売上高が19年3月期比9.9%減の2320億円、営業利益が15.3%減の53億円、経常利益が4.1%減の60億円、純利益が9.7%増の44億円としている。配当予想(19年8月6日に2円上方修正=第2四半期末1円+期末1円)は、19年3月期比3円増配の42円(第2四半期末21円、期末21円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比10.3%減の1755億74百万円、営業利益が18.1%減の40億48百万円、経常利益が14.0%減の43億35百万円、純利益が9.9%減の32億53百万円だった。純利益は関係会社株式売却益の計上で増益だが、需要減速で減収となり、販管費の増加やレアメタル関連での評価損計上なども影響して経常減益だった。

 商社流通―電子機能材は78.5%減益だった。レアメタル・レアアースの相場下落・需要停滞および評価損計上が影響した。商社流通―アルミ銅は31.2%減益だった。中国経済減速で自動車関連や半導体関連、天候不順で空調機器関連が低調となり、非鉄相場低迷も影響した。製造―装置材料は54.7%減益だった。メッキ材料が減少し、新規連結の富士カーボン製造所の業績が計画を下回ったことも影響した。製造―金属加工は9.9%増益だった。自動車向け金属精密プレス部品の新規受注や持分法投資利益が寄与した。

 通期も需要減速で減収・経常減益予想としている。製造―金属加工の富士プレスとのメキシコ合弁事業は費用が先行し、収益貢献は21年3月期以降としている。当面は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は3月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は反発の動き

 3月27日に自己株式取得を発表している。上限は80万株・8億円、取得期間は20年4月1日~20年10月31日である。

 株価は売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月10日の終値は1088円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS174円23銭で算出)は約6倍、前期推定配当利回り(会社予想42円で算出)は約3.9%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1489円59銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約282億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る