インフォマートは戻り試す

日インタビュ新聞ロゴ

 インフォマート<2492>(東1)は国内最大級の企業間電子商取引プラットフォームを運営している。20年12月期は先行投資で一時的に減益予想としている。また新型コロナウイルス感染拡大で、主要顧客である飲食店の活動停滞の影響も当面の懸念材料となるが、中期成長基調に変化はないだろう。株価は3月の安値圏から急反発している。戻りを試す展開を期待したい。なお4月30日に第1四半期決算発表を予定している。

■国内最大級のBtoB(企業間電子商取引)プラットフォームを運営

 企業間の商行為を電子化するBtoBプラットフォームとして、受発注(従来の電話やFAXによる受発注業務を電子化したシステム)、規格書(食の安全・安心に関わる商品規格書を電子管理するツール)、請求書(請求書発行・受取業務を電子化したシステム)、商談(全国の食材売り手・買い手が商談できるマッチングサイト)、契約書(契約書締結をブロックチェーン基盤上で電子化したシステム)を運営している。

 飲食店と食材卸・メーカー間のBtoB受発注を主力として、全業界を対象とするBtoB請求書も拡大している。新サービスとして19年10月には食材自動発注、20年1月には電子請求書早払いをリリースした、

 19年12月期のセグメント別構成比は、売上高がBtoB-PF FOOD事業(受発注と規格書)80%、BtoB-PF ES事業(請求書と商談)20%、その他0%、営業利益構成比はBtoB-PF FOOD事業137%、BtoB-PF ES事業▲36%、その他▲0%だった。

 売上高の約95%が月額システム利用料であり、利用企業数の増加に伴って収入が拡大するストック型収益モデルである。利用企業数は増加基調で継続利用率も高い。19年12月期末の利用企業数は38万7624社、事業所数は82万4920事業所、流通金額は11兆2690億円だった。20年2月には利用企業数が40万社、サービスを介した取引関係数が185万件を突破した。国内最大級のBtoBプラットフォームである。なお20年3月には請求書の利用企業数が、サービス開始から5年で40万社を突破した。

■20年12月期は成長投資で減益予想

 20年12月期の連結業績予想は、売上高が19年12月期比13.0%増の96億49百万円、営業利益が39.0%減の15億05百万円、経常利益が39.0%減の15億円、純利益が39.4%減の10億26百万円としている。なお配当予想は3.71円(第2四半期末1.85円、期末1.86円)としている。19年12月期は20年1月1日付株式2分割遡及換算後で3.705円だった。

 利用企業数の順調な増加でシステム利用料収入が伸長するが、売上成長加速に向けた重点投資(サーバー体制増強、営業人員増加、販促費・マーケティング予算増加)で、一時的に減益予想としている。また新型コロナウイルス感染拡大で、主要顧客である飲食店の活動停滞の影響も当面の懸念材料となるが、中期成長基調に変化はないだろう。

■営業利益率30%以上目標

 中期業績目標には売上高100億円突破、営業利益30億円超、営業利益率30%以上を掲げている。BtoBプラットフォームの徹底的拡充・価値増大に取り組む。また将来を見据えた仕掛けとして、既存システム使用料以外の多様な収益源確保(多業界受発注、フード業界縦横展開、海外進出など)や、次世代BtoBプラットフォーム構築に向けた最先端テクノロジーの研究にも取り組む方針だ。

■株価は戻り試す

 株価(20年1月1日付で株式2分割)は3月の安値圏から急反発している。戻りを試す展開を期待したい。4月13日の終値は698円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS4円49銭で算出)は約155倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円71銭で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS48円64銭で算出)は約14倍、時価総額は約1811億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る