ミロク情報サービスは反発の動き

日インタビュ新聞ロゴ

 ミロク情報サービス<9928>(東1)は財務・会計ソフトの開発・販売・サービスを主力として、クラウドサービスやFinTech分野を強化している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響を考慮し、第3四半期以降に事業環境が正常化することを前提に減益予想としたが、保守的な印象が強い。中期的にも収益拡大を期待したい。株価は決算発表を機に急反落したが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■財務・会計ソフトの開発・販売およびサービスが主力

 会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、財務・会計ソフトなどの業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。会計事務所が抱えている課題を解決することで、中堅・中小企業支援にも?がるトータルソリューションを強みとしている。

 20年3月期の売上高構成比は、システム導入契約売上高が63%(システム導入契約時のハードウェア14%、ソフトウェア35%、システム導入支援サービスなどのユースウェア14%)、サービス収入が31%(会計事務所向け総合保守サービスTVS7%、ソフト使用料5%、企業向けソフトウェア運用支援サービス14%、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入4%、サプライ・オフィス用品など継続的な役務の対価2%)、その他が6%だった。

 収益はソフト保守サービス契約率上昇などでサービス収入が拡大するストック型収益構造である。全国約8400の会計事務所ユーザー、および約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、ストック型収益が伸長して収益力が向上している。

■クラウドサービスやFinTech分野を強化

 中期成長に向けた基本方針として、新規顧客開拓のためのソリューションビジネスの強化、会計事務所・地域金融機関とのパートナーシップの強化、中小企業の経営・業務改善を支援するBtoBクラウドプラットフォームbizsky事業の推進、開発体制の抜本改革と積極的な技術者採用・人材育成、グループ経営の強化、BPRによる生産性向上と働き方改革による従業員満足度の向上を掲げている。

 なお20年4月には、組織・人事分野の独立系コンサルティングファームであるトランストラクチャを子会社化した。成長が見込まれる組織設計・人事制度改革コンサルティングのソリューション分野に事業領域を拡大する。

■21年3月期は新型コロナ影響を考慮して減益予想だが保守的

 20年3月期の連結業績は、売上高が19年3月期比13.4%増の355億01百万円、営業利益が1.2%増の52億27百万円、経常利益が5.0%増の53億11百万円、純利益が特別損失計上で50.7%減の18億39百万円だった。配当は4円増配の38円(期末一括)とした。

 売上高はWindows7サポート終了に伴うリプレース需要や、新規顧客獲得などで計画を上回る2桁増収だった。各利益は計画を下回った。既存のクラウド製品の将来性を保守的に見積り、ソフトウェア資産を早期償却(10億78百万円)した。ただし営業利益と経常利益は増益を維持して過去最高を更新した。純利益は特別損失にソフトウェア評価損(25億16百万円)を計上したため減益だった。

 なお品目別の売上は、システム導入契約売上高が13.7%増収(ハードウェアが43.1%増収、ソフトウェアが0.1%減収、ユースウェアが32.4%増収)、サービス収入が12.0%増収(会計事務所向けTVSが18.9%増収、ソフト使用料が19.6%増収、企業向けソフトウェア運用支援サービスが10.2%増収、ハードウェア・ネットワーク保守サービスが3.3%増収、サプライ・オフィス用品が4.9%増収)だった。

 21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比1.4%増の360億円、営業利益が31.5%減の35億80百万円、経常利益が32.2%減の36億円、純利益が27.2%増の23億40百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の38円(期末一括)である。

 新型コロナウイルスの影響を考慮して減益予想としている、収束時期を予測することが困難な状況のため、第1~第2四半期中に徐々に経済活動が回復し、第3四半期以降に事業環境が正常化することを前提とした。ただし保守的な印象が強い。中期的にも収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は決算発表を機に急反落したが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。5月19日の終値は2423円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS75円79銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想の38円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS615円97銭で算出)は約3.9倍、時価総額は約843億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る