ケイアイスター不動産は反発の動き

日インタビュ新聞ロゴ

 ケイアイスター不動産<3465>(東1)は、首都圏を中心に戸建分譲などの不動産事業を展開し、M&A・アライアンスも積極活用して「不動産×IT」を推進している。21年3月期の連結業績・配当予想は未定としている。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■戸建分譲や注文住宅などの不動産事業

 首都圏を中心に、1次取得層向けの戸建分譲や注文住宅などの不動産事業を展開している。20年3月には東北地区へ初進出した。

 20年3月期の売上構成比は、分譲住宅事業64%、注文住宅事業1%、中古住宅事業4%、よかタウン事業(子会社よかタウンが分譲住宅・注文住宅)13%、旭ハウジング事業(子会社旭ハウジングが神奈川県中心に分譲住宅)5%、フレスコ事業(18年8月連結子会社化したフレスコおよびフレスコの子会社おゆみ野住宅が千葉県中心に注文住宅)5%、建新事業(19年1月持分法適用関連会社の建新の株式を追加取得して連結子会社化)7%、その他1%だった。

 また20年3月期の販売棟数は、分譲住宅事業(土地販売含む)が2700棟、注文住宅事業が109棟、中古住宅事業が304棟、よかタウン事業(土地販売含む)が553棟、旭ハウジング事業(土地販売含む)が175棟、フレスコ事業が分譲住宅109棟、土地販売54区画、注文住宅97棟、建新事業が注文住宅72棟、土地販売27区画、分譲住宅123棟だった。

 19年4月千葉県柏市中心に不動産売買・仲介を行うBRエステートを子会社化、19年8月埼玉県朝霧市中心に不動産仲介・リフォーム事業を行うハウスラインを子会社化した。また20年4月には東京ビッグハウスを子会社化した。

■不動産仲介会社を組織化、FC事業も開始

 販売促進に向けて不動産仲介会社の組織化を図り、17年2月「KEIAI.NET」をスタートさせた。順次エリアを拡大させて加盟店数は19年3月期末に207となった。AIによる仲介会社向け商談サポートシステムを導入し、中期的に不動産ネットワークにおける加盟店数全国NO.1を目指す方針だ。

 19年6月エリア毎の用地仕入と販売網の強化を図るためFC事業KEIAI FCを開始、19年7月いえらぶ社と提携してKEIAI FC向け業務支援クラウドサービスKEIAI PRO NETの提供を開始した。

■M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」推進

 M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」を推進し、19年6月にはIT成長戦略を発表した。商品力向上による付加価値創造と競争力強化、AIやRPAなどを活用したデータドリブン経営による在庫回転率や生産性向上および利益・財務体質改善、住宅分譲の既存フロービジネス強化とストック型ビジネスでの新たな収益構造構築、IT施策のグループ・加盟店への横展開およびシナジー拡大、次世代不動産ポータルサイト開発による加盟店への住宅購入見込客送客強化を推進する。

 19年8月には、KAMARQ(シンガポール)と共同開発したオリジナルキッチンの生産を開始し、新築分譲住宅の新仕様として商品提供開始すると発表した。19年10月から北関東エリアで「KEIAIでんき」の販売を開始した。20年2月にはカインズと業務提携した。また20年5月にはセゾンファンデックスと業務提携してリースバック事業に参入した。

■21年3月期連結業績・配当予想は未定

 20年3月期連結業績は、売上高が19年3月期比17.1%増の1207億10百万円、営業利益が8.0%増の64億25百万円、経常利益が9.5%増の63億17百万円、純利益が3.6%増の35億84百万円だった。配当は8円減配の76円(第2四半期末42円、期末34円)とした。

 分譲住宅事業が5.7%増収、中古住宅事業が10.1%増収、よかタウン事業が29.3%増収、旭ハウジング事業が33.0%増収と伸長し、M&A(フレスコ事業、建新事業)も寄与して増収増益だった。なお特別損失に投資有価証券評価損3億52百万円を計上した。

 21年3月期の連結業績・配当予想は新型コロナウイルスで不透明感が強いため未定(売上高は20年3月期並みの1220億円程度を想定)としている。不動産需要については20年4月~6月を底辺として徐々に回復し、21年から前年並みに回復すると想定している。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待は9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日時点で1単元以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は反発の動き

 株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。5月22日の終値は1382円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1268円29銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約197億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る