【編集長の視点】加賀電子は今期予想業績未定も中期計画を手掛かりに割安修正期待で反発

加賀電子<8154>(東1)は、前日28日に67円高の2402円と続伸。同社株は、今年5月21日に3月期決算を発表、前2020年3月期業績は、期初予想を2回も上方修正して着地し、今2021年3月期業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を合理的に算出することは困難として予想を未定としたが、推進中の中期経営計画で最終年度の次期2022年3月期に業績高成長を計画していることを手掛かりに割安修正買いが再燃した。テクニカル的にも、25日移動平均線が75日線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を鮮明化しており、昨年12月10日高値2714円から6カ月目の高値期日を前に期日向かいの買い物もオンしている。

■最終年度の2022年3月期の営2業利益は130億円に設定

 同社の前2020年3月期業績は、今年2月6日、5月12日と上方修正が続き、売り上げ4436億1500万円(前期比51.5%増)、営業利益100億1400万円(同32.3%増)、経常利益101億3700万円(同29.0%増)、純利益58億5200万円(同27.0%減)となった。2019年1月に子会社化した富士通エレクトロニクスが、車載機器向けを中心に新収益基盤として加わり、EMS(電子機器の開発・生産受託)ビジネスでは車載向け、空調向けが堅調に推移し、情報機器でもPC製品販売ビジネスが、Windows10切り替え需要を取り込んで伸長したことなどが寄与したもので、営業利益、経常利益は過去最高を更新した。純利益は、前々期に計上した負ののれん発生益(約82億円)の一巡や保有株式評価損の影響で減益転換したが、減益率そのものは期初予想より縮小させた。

 今2021年3月期予想業績は未定としているが、同社は、電子部品商社のナンバーワンを目指して中期3カ年経営計画を推進しており、この最終年度の2022年3月期の業績目標は、売り上げ5000億円、営業利益130億円、ROE(株主資本利益率)8.0%以上、連結配当性向25%~35%確保と設定している。前2020年3月期配当は、この配当政策に従って期初予想の60円から年間70円に増配しており、2021年3月期業績についても、2020年4月1日に完全子会社化した同じ電子部品商社のエクセルの寄与もオンして期待を高めている。

■GC示現で高値期日向かいに弾みをつけ昨年12月高値に照準

 株価は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)、世界同時株安により突っ込んだ年初来安値1481円からテレワーク関連のM&Aや関連ソフトの発売、さらに業績再上方修正・増配の好材料が続いて2402円の戻り高値まで62%高し、上昇トレンド転換を示唆するGCを示現した。PBRは0.8倍、PERも前期実績ベースで10.9倍と割安であり、高値期日向かいで昨年12月高値2714円奪回を加速させよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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