ファーストコーポレーションは戻り試す、21年5月期増益予想

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 ファーストコーポレーション<1430>(東1)は造注方式を特徴として、分譲マンション建設に特化したゼネコンである。造注の強化と再開発事業への参画など利益率向上を図っている。21年5月期は完成工事利益率が上昇して増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は3月の安値で底打ちして水準を切り上げている。月足チャートで見ると長期の抵抗線だった9ヶ月移動平均線を突破してきた。戻りを試す展開を期待したい。

■分譲マンション建設に特化したゼネコン、造注方式が特徴

 東京圏(1都3県)を中心に、分譲マンション建設に特化したゼネコンである。造注方式による大手マンション・デベロッパーからの特命受注と高利益率、品質へのこだわりによる安心・安全なマンション供給を特徴としている。

 造注方式というのは、当社がマンション用地を開発し、マンション・デベロッパーに対して土地・建物を一体とする事業プランを提案し、マンション・デベロッパーから特命で建築を請け負うという受注方式である。入札方式に比べて好条件での請負が可能となる。大手を中心とする優良なマンション・デベロッパーである。

 品質に関しては「安全と品質の最優先」を掲げて、施工品質管理標準・マニュアル類の整備、階層別研修会の実施、施工検討会による安全で堅実な施工計画の策定、巡回検査による正確性の担保など、良質で均一な品質を維持するための取り組みを推進している。また第三者機関による検査導入については、施主が第三者機関による検査を実施しない場合でも、建造物の安全性を確保するために重要な杭工事、配筋工事、レディーミクストコンクリートを対象として、当社が自前で第三者機関による検査を導入するなど、安心・安全なマンション供給に向けた体制を整備している。

 完成工事高の収益認識は工事進行基準だが、不動産売上(マンション用地販売)によって四半期業績が変動する可能性がある。利益還元方針は、配当性向30%以上で経営成績や内部留保確保等を勘案して決定するとしている。

■利益率向上を図る

 中期経営計画「Innovation2020」では目標数値を、23年5月期売上高260億円、営業利益22億54百万円、経常利益22億円、純利益14億82百万円、受注高220億円としている。

 業容の拡大と利益水準の向上に継続的に取り組むとともに、重点施策として中核事業(造注方式、建築事業)強化の継続、再開発事業への注力、事業領域拡大(大規模修繕、収益不動産など)による新たな価値創出、人材の確保・育成および働き方改革の推進に取り組む。

 19年2月にはJR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に関する基本協定書を締結し、共同施工者として参画(22年度工事完了予定)としている。他の再開発案件にも積極的に参画していく方針だ。

 また中期的な定量目標としては、完成工事総利益率13%以上、売上高営業利益率8%以上、自己資本純利益率(ROE)20%以上、自己資本比率50%以上を目指すとしている。造注比率向上と生産性向上による利益率の底上げ、内部留保の蓄積による自己資本の充実、手持不動産の売却および有利子の圧縮による財務体質の向上を図る方針だ。

■21年5月期増益予想

 21年5月期業績(非連結)予想は、売上高が20年5月期比9.9%減の211億円、営業利益が11.7%増の15億円、経常利益が9.5%増の14億20百万円、純利益が9.5%増の9億55百万円としている。配当予想は2円増配の22円(期末一括)としている。

 不動産売上と共同事業収入の減少で全体として減収だが、大型造注案件の受注と進行工事数の増加で完成工事高の拡大および利益率の上昇を見込み、増益予想としている。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年11月末、保有期間に応じた内容に変更

 株主優待制度は毎年11月末日現在の株主を対象としてクオカードを贈呈する。なお20年11月末日適用から、保有株式数および保有期間に応じた優待内容(詳細は会社HP参照)に変更する。

■株価は戻り試す

 5月26日発表の自己株式取得(上限100万株・7億円、取得期間20年6月1日~21年5月31日)は、7月31日時点で累計取得株式数21万4200株となった。
 
 株価は3月の安値で底打ちして水準を切り上げている。月足チャートで見ると長期の抵抗線だった9ヶ月移動平均線を突破してきた。戻りを試す展開を期待したい。8月14日の終値は609円、今期予想PER(会社予想EPS73円90銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想22円で算出)は約3.6%、前期実績PBR(前期実績BPS466円55銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約81億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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