建設技術研究所は戻り試す、20年12月期増収増益予想で2Q累計進捗率順調

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 建設技術研究所<9621>(東1)は総合建設コンサルタントの大手で、マルチインフラ企業を目指している。20年12月期増収増益予想である。第2四半期累計は営業微減益だったが、進捗率は順調だった。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は第2四半期累計業績を好感する動きとなり、モミ合いから上放れの形となった。戻りを試す展開を期待したい。

■総合建設コンサルタント大手

 総合建設コンサルタントの大手である。河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持っている。海外では英Waterman Group Plc(ロンドン証券取引所上場)を連結子会社化している。

 19年12月期のセグメント別構成比は、売上高が国内建設コンサルティング事業73%、海外建設コンサルティング事業27%、営業利益(連結調整前)が国内建設コンサルティング事業90%、海外建設コンサルティング事業10%だった。収益面では公共事業への依存度が高い。

■マルチインフラ企業目指す

 CTIグループ中長期ビジョン「CLAVIS2025」では、目標数値(19年改訂)として25年の売上高850億円(国内60億円、海外250億円)、営業利益60億円を掲げている。マルチインフラ企業、グローバル企業、アクティブ企業を目指し、グループ一体となった事業拡大を推進している。

 18年2月にはAIベンチャーの知能技術と資本業務提携、18年10月にはエスプール<2471>と契約して障がい者雇用のCTIフレッシュグリーン農場を開園している。また連結子会社の建設技研インターナショナルの株式を追加取得(20年8月末日予定)して完全子会社化する。

■20年12月期増収増益予想で2Q累計進捗率順調

 20年12月期連結業績予想は、売上高が19年12月期比3.8%増の650億円、営業利益が3.1%増の44億円、経常利益が2.3%増の45億円、純利益が3.3%増の29億円としている。受注高の計画は9.5%減の640億円である。配当予想は19年12月期と同額の35円(期末一括)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比1.1%減の320億93百万円、営業利益が1.5%減の26億57百万円、経常利益が1.4%減の27億12百万円、純利益が5.2%増の17億96百万円だった。受注高は9.9%減の374億71百万円だった。

 海外事業において新型コロナウイルスの影響で、新規案件の発注遅延や一部プロジェクトの進行遅延や工期延長が発生したが、全体として新型コロナウイルスの影響は限定的だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高49.4%、営業利益60.4%と順調だった。防災・減災対策など国土強靭化計画の推進も背景として、通期ベースで収益拡大を期待したい。

 なお8月20日には、従業員1名が新型コロナウイルスに感染していることが8月19日に判明したと発表している。ただし当該従業員が勤務するフロアの職員の健康チェックを行い、発熱や体調不良者がいないことを確認した。また当該従業員が勤務するフロアを8月20日~8月23日の間閉鎖するが、業績への影響は軽微だろう。

■株価は戻り試す

 株価は第2四半期累計業績を好感する動きとなり、モミ合いから上放れの形となった。戻りを試す展開を期待したい。8月20日の終値は1860円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS205円09銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の35円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2169円53銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約263億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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