【アナリスト水田雅展の銘柄分析】松田産業は16年3月期営業利益横ばいだが会社予想に上振れ余地

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 松田産業<7456>(東1)は貴金属リサイクル事業を主力として農林水産品販売事業も展開している。株価は高値圏で堅調に推移している。16年3月期営業利益横ばい予想に対するネガティブ反応も限定的のようだ。会社予想は保守的な印象が強く上振れ余地があるだろう。指標面の割安感も評価してモミ合い上放れ展開が期待される。

 貴金属リサイクルを主力とする貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充、貴金属原料の確保と化成品などの製品販売強化、および製品・技術開発強化を推進している。

 海外は貴金属関連事業で中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開し、ベトナムでは貴金属製錬工場の建設を進めている。食品関連事業は中国、タイに拠点展開している。

 3月13日、監査等委員会設置会社に移行すると発表した。6月下旬開催予定の第66回定時株主総会に付議する。過半数を社外取締役で構成する監査等委員会の設置により、業務執行の適法性・妥当性の監査・監督機能の強化、およびコーポレートガバナンス体制の一層の強化を図ることで、より透明性の高い経営の実現を目指すとしている。

 5月11日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比8.5%増の1795億23百万円、営業利益が同20.2%増の54億10百万円、経常利益が同19.2%増の58億32百万円、純利益が同4.7%増の33億42百万円だった。

 配当予想は同1円増配の年間25円(第2四半期末12円、期末13円)とした。配当性向は19.9%となる。なおROEは同0.1ポイント低下して6.8%、自己資本比率は同1.8ポイント低下して69.7%となった。

 純利益は法人税等の増加で小幅増益にとどまったが、貴金属関連事業、食品関連事業とも好調に推移して大幅営業増益だった。経常利益は営業外収益での持分法投資利益の増加も寄与した。

 セグメント別(セグメント間取引消去前)に見ると、貴金属関連事業は売上高が同5.4%増の1244億78百万円、営業利益が同20.0%増の44億62百万円だった。貴金属部門では電子材料等の販売数量が減少したが、貴金属製品の販売数量が銀を除いて増加した。銀を除いた貴金属相場の上昇も寄与した。環境部門は写真感材回収銀の販売数量減少と銀価格の低下で減収だった。

 食品関連事業は売上高が同16.4%増の551億14百万円、営業利益が同20.8%増の9億48百万円だった。水産品、畜産品、農産品の販売数量増加や価格上昇などで増収増益だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)429億40百万円、第2四半期(7月~9月)446億83百万円、第3四半期(10月~12月)469億16百万円、第4四半期(1月~3月)449億84百万円で、営業利益は第1四半期9億31百万円、第2四半期10億79百万円、第3四半期16億86百万円、第4四半期17億14百万円だった。半導体・電子部品業界の生産が回復基調で営業損益は拡大基調だ。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月11日公表)は売上高が前期比3.1%増の1850億円、営業利益が同0.2%減の54億円、経常利益が同0.6%減の58億円、純利益が同16.7%増の39億円としている。配当予想は普通配当26円に株式公開20周年記念配当2円を加えて、同3円増配の年間28円(第2四半期末14円、期末14円)とした。

 景気回復に伴って半導体・電子部品業界の生産増加が予想され、貴金属関連事業で回収・販売数量の増加が予想される。貴金属相場の上昇も寄与して増収増益基調だろう。会社予想は景気の不透明感も考慮して営業利益横ばいだが、保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。

 株価の動きを見ると、3月高値1635円後は上げ一服となったが、高値圏1500円~1600円近辺で堅調に推移している。16年3月期営業利益横ばい予想に対するネガティブ反応も限定的のようだ。

 5月22日の終値1523円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円55銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1923円86銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込む形になったが、モミ合いレンジ内の動きだ。指標面には割安感があり、26週移動平均線が接近してモミ合い上放れの展開が期待される。

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