【どう見るこの相場】ビッグ・イベント控えの「まだはもう」銘柄に中国関連株と証券株が有力候補

どう見るこの相場

 「もうはまだなり まだはもうなり」と相場格言は教えている。相場が、大天井や大底を形成する際の市場センチメントと投資家マインドの綾を浮き彫りにしたものだ。しかし、きょうの週明け以降、国内、海外でビッグ・イベントが目白押しとなっているのである。このイベントを前に「もう」織り込んだのか、「まだ」織り込んでいないのか、強気か弱気か、売りか買いか大いに気になるともろで、「もうはまだなり まだはもうなり」か自問自答している投資家は少なくないだろう。

 ビッグ・イベントは、まず3月期決算会社の第2四半期(2Q)業績の発表で、10月26日の日本電産<6594>(東1)を皮切りに、主力株の発表が本格化し、この日には臨時国会が召集され、11月3日は、米国の大統領選挙の投票日である。決算発表では、先行して10月9日に2月期決算の2Q業績を開示した安川電機<6506>(東1)の株価が、急落したあとリバウンドするなど方向性が定まらず、日本電産の発表でトレンドに変化が出るか注目されている。臨時国会も、日本学術会議の任命権問題などの国会論戦の波風で、菅内閣の内閣支持率に大きな変動が起きるのか起きないのか、政策関連株に影響することになる。

困るのは、海の向こうの日本の投資家が選挙権を持たない米国の大統領選挙である。いろいろ選挙情勢報道に接すると、11月3日に投票が終わっても、どうもイベント通過とはなってくれない可能性もまだ残っているようなのである。仮に世論調査通りに民主党が、ホワイトハウスも上院や下院の議席数でも共和党を上回って圧勝しても、トランプ大統領が、潔く敗北を認めるかは不確かで法廷闘争まで長引く懸念も伝えられているからだ。日米のマーケットでは、バイデン候補の勝利を見越して再生エネルギー関連株を買い、当選後の大型経済対策発動を先取りしてグロース株を売って景気敏感株を買い、さらに為替相場も、国債の大量発行・長期金利上昇を想定してドル安・円高含みとなっている。しかし選挙そのものが、4年前のトランプ候補の逆転勝利が再現するとの観測もあり、そうなると相場の「ちゃぶ台返し」はないとはいえない。

 「まだはもうなり」か「もうはまだなり」か気迷いが高まる相場環境下では、「トップ・ダウン」ではなく「ボトム・アップ」の投資スタンスの方がリスクを最小化できるはずだ。「森を見ずに木を見る」個別銘柄ベースのチャレンジである。これまで業績を上方修正したり好決算を発表した銘柄から似ているパターンを抽出し想像力を働かせるのである。このパターンから「まだはもうなり」を示唆する銘柄が浮上してくれば、これをターゲットにビッグ・イベントを大過なくブレーク・スルーできる余地が生じてくる。前週末16日に業績の上方修正や好決算を発表した銘柄から中国関連株と証券株に「まだはもうなり」の可能性があるとしてアプローチしてみたい。まず小型の割安株からトライして主力株へのレベル・アップが期待される。

【関連記事情報】
【特集】上方修正や好決算の発表銘柄から中国関連と証券株に「まだはもうなり」の可能性

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  2. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  3. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  4. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  5. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  6. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る