【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ネットワークバリューコンポネンツは調整の最終局面、15年12月期の収益改善を評価して切り返し

銘柄分析

 ネットワークバリューコンポネンツ<3394>(東マ)はネットワーク関連製品の輸入販売を展開している。株価は2月の年初来安値2930円に接近して調整の最終局面のようだ。15年12月期の収益改善を評価して切り返しのタイミングだろう。

 情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業(ネットワークソリューション事業およびネットワークサービス事業)を展開している。

 クラウド関連、モバイル関連、セキュリティ関連、サービス関連などを重点分野として海外の先端技術を開拓し、国内を代表するIT先進企業へ最適なソリューションとして提供する。企業内セキュリティ対策チームをバックアップするNVCプライベートSOC運用支援サービスも提供している。ライセンス収入や保守・運用収入などの売上構成比が高く、ストック型の収益構造であることも特徴だ。

15年1月にはユニファイド・セキュリティー・サービス部門を新設した。セキュリティ商材の販売・設計・ 構築・保守サービス・マネージドサービスなど、従来各部門で個別に行ってきた各種セキュリティサービスを統合し、より質の高いサービスの提供を目指す方針だ。

 中期成長に向けて先端的ネットワーク関連商品の投入、パートナー企業との協業推進などで、プロジェクト単位での受注拡大を目指している。13年5月には新日鉄住金ソリューションズ<2327>と資本・業務提携した。

 13年8月米ニクサン社のネットワーク監視ソリューション製品に関する販売代理店契約、13年10月カナダのノビフロー社が開発したオープンフロー関連製品の国内独占販売代理店契約を締結した。

 14年1月モバイル用作業報告書自動作成アプリのG-Smart社(東京都)と販売代理店契約、14年9月米スレットストップ社のリアルタイムIPおよびドメインレピュテーションサービスに係る国内販売代理店契約を締結、15年2月ネットワークセキュリティ専業メーカーであるNSFOCUS社の日本法人NSFOCUSジャパンと国内販売代理店契約を締結した。

 4月22日にはファイア・アイ社と、同社の標準型マルウェア防御システム製品についてゴールドパートナー契約を締結した。また5月20日には、標準型サイバー攻撃を強力にストップする米スレットストップ社のIPレピュテーションサービス「ThreatSTOP」を運用支援する「NVC ThreatSTOPサービス」の提供を開始すると発表した。

 5月14日に発表した今期(15年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比18.6%増の9億39百万円、営業利益が同12.4%増の48百万円、経常利益が同2.2%減の43百万円、純利益が同29.3%減の20百万円だった。

 売上面では、ネットワークソリューション事業はセキュリティ関連や無線LAN関連、ネットワークサービス事業は保守やマネージドVPNなどの自社サービスが好調に推移して大幅増収だった。

 利益面では、低採算大型案件による売上総利益率の低下、子会社イノコスの不振を、増収効果やのれん償却の減少で吸収して2桁営業増益だった。経常利益については支払手数料の増加で減益、純利益については繰延税金資産取崩の増加で減益だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(2月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比6.9%増の30億81百万円、営業利益が同6.1倍の1億76百万円、経常利益が同19.6倍の1億57百万円、そして純利益が同36.0%増の89百万円としている。配当予想は無配継続としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が30.5%、営業利益が27.3%、経常利益が27.4%、純利益が22.5%と順調な水準だ。先端的なネットワーク関連商品の投入、パートナーとの協業強化、自社サービスの強化に取り組み、セキュリティ、モバイル、クラウドの重点3分野での事業展開に注力するとしている。子会社イノコスの収益改善が課題だが、単体ベースの好調が牽引して大幅増収増益が期待される。

 株価の動きを見ると、2月の戻り高値から反落し、上値を切り下げて調整局面が続いている。ただし2月の年初来安値2930円に接近して調整の最終局面のようだ。

 5月25日の終値3025円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円06銭で算出)は31~32倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS218円52銭で算出)は14倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、52週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。15年12月期の収益改善を評価して切り返しのタイミングだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る