【業績で見る株価】加賀電子は四半期ごとの業績回復が目立ちPBRなど割安、業績予想を増額修正

■外国人が1兆円強を買い越し、バリュー株投資が大型株のあと中小型株に波及する可能性が

加賀電子<8154>(東1)は11月初旬に今3月期の連結業績予想の増額修正を発表した。第2四半期までの業績推移をみると、営業利益は第1四半期の3ヵ月間(4~6月)が16.6億円、続く第2四半期の3ヵ月間(7~9月)は27.8億円。回復傾向が顕著だ。

 直近の株価水準(2010円前後)はPER5.5倍になり、PBRは0.6倍前後。このところの株式市場では、外国人の売買動向が11月第1週(11月2日~6日)だけで1兆円を超える買い越しとなり、この間、「PBR0.5倍の日本製鉄(5401)は第2週にまたがって20%高、0.7倍の郵船(9101)も13%高など、割安に放置されているバリュー株が狙われている」(証券会社ノストラテジスト)という。

 日本製鉄や日本郵船は典型的な景気回復関連株だが、海外の中長期運用資金は、こうしたセクターの中で大型株への買いが一巡したあと、中小型株にキメ細かく買い手を入れてくる傾向があるとされる。加賀電子の場合も、こうした動向を踏まえて注目しておく余地が大きいといえる。

■営業利益は従来予想を50%上回る75億円に増額修正

 増額修正では、8月に開示した予想額に比べ、連結売上高を2.5%上回る4100億円に、営業利益は同じく50.0%上回る75億円に引き上げた。純利益は100億円のまま据え置いたが、上期にエクセル社の買収にともなう負ののれん発生益(79億63百万円)を特別利益として計上した。

■EMSを積極展開し完成品量産型ではなく基盤実装など高品質・高精度で差別化

 2019年1月に富士通エレクトロニクスをグループに迎え入れて以降、EMS(受託製造)ビジネスを積極展開し、直近では、商社ビジネスで培ったグローバルな調達ネットワークを活かし、世界19拠点に自社工場を開設している。

 月3000モデル、100枚単位の多品種・小ロットの基板でも受託できるフレキシブルな生産体制などが特色で、同じEMS事業でも、台湾のスマホ組立などに代表される「完成品の組立工程」事業は大規模な設備投資による「規模」のビジネスにならざるを得ないのに対し、加賀電子のEMS事業は高い精度が求められる電子部品の基板実装など、高度な生産技術力をベースとして品質・信頼性の高さを差別化ポイントとしている。(HC)

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