トレジャー・ファクトリーは上値試す、22年2月期大幅増収増益予想

日インタビュ新聞ロゴ

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップを複数業態で全国展開している。22年2月期は大幅増収増益予想としている。過去最高水準となる新規出店、EC販売の拡大、自社オークションの拡大、DXへの取り組みなどを推進して、大量出店に備えた採用増に伴う人件費増加などを吸収する見込みだ。収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■リユースショップを展開

 総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力として、リユースショップを複数業態で首都圏直営店中心に全国展開している。

 周辺事業・新規事業としては、引越事業のトレファク引越、BtoBオークション事業のトレファク、不動産仲介事業のトレファク不動産、生前整理・終活時のリユースを請け負うレガシー事業、ECドレスレンタル事業のCariruなどを推進している。

 19年1月にシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月に総合不動産会社のビーロットと業務提携、静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化した。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで3店舗を展開している。21年4月には台湾に現地法人を設立した。

 21年3月1日時点の店舗数は、グループ合計206店舗(タイの3店舗を含むトレジャー・ファクトリー67店舗、トレファクスタイル55店舗、トレファクスポーツ6店舗、ユーズレット8店舗、ブランドコレクト3店舗、トレファクマーケット1店舗、カインドオル38店舗、ゴルフキッズ15店舗、ピックアップ13店舗)となった。

 なお収益面では、引越しシーズンにあたる第1四半期(3月~5月)の利益率が高く、第2四半期(6月~8月)の構成比が小さい季節特性がある。

■中期経営計画で成長加速

 中期経営計画を策定し、目標値に24年2月期売上高278億円、経常利益13億円、経常利益率4.7%を掲げた。既存店の成長は概ね前年並みを想定している。成長を加速させるための戦略として新規出店、新規事業、海外事業、M&Aの4つの分野に投資を継続しながら、収益拡大、収益率向上、ガバナンス整備を進める。

 リユース事業の成長では、グループ全体で年間20店以上の出店、リアル×WEBによる深化、DXによる業務効率化を推進する。新規事業への投資では、オークションや引越等の新規事業への投資継続と収益柱への育成、リユースと周辺事業を組み合わせた生活密着の不用品売買プラットフォームの構築を推進する。海外事業ではタイ事業の黒字化、台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。

 なおSDGsの一環として、プロサッカークラブ「FC東京」とクラブスポンサー契約を締結している。

■22年2月期大幅増収増益予想

 22年2月期の連結業績予想は、売上高が21年2月期比20.8%増の226億36百万円、営業利益が7.5倍の8億04百万円、経常利益が4.7倍の8億18百万円、親会社株主帰属当期純利益が5億37百万円(21年2月期は1億34百万円の赤字)としている。また配当予想は6円増配の16円(第2四半期末8円、期末8円)である。

 期前半は新型コロナウイルスのマイナス影響を想定するが、期後半に向けてマイナス影響が徐々に和らぐ。過去最高水準の新規出店(年間15店舗~20店舗の計画)で、新規エリアへの展開と大商圏への出店を継続する。EC販売の拡大、第3の販売チャネルとしての自社オークションの拡大も推進する。さらにDXへの取り組みなどを推進し、ユーザビリティーの向上、査定システムの機能向上、EC出品作業の効率化なども推進する。

 コスト面では、大量出店に備えた採用増に伴う人件費増加など、成長投資を継続して費用が増加(新規出店、ITやWebの強化、海外展開などで1億円超の支出を計画)するが、増収効果や効率化で吸収する見込みだ。収益拡大を期待したい。

 なお月次売上(単体直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、21年4月は全店165.5%、既存店159.0%だった。前年は緊急事態宣言で4月上旬から店舗休業・短縮営業を実施した。衣類・ブランド品が反動増となった。新規出店は1店舗だった。

■株主優待制度は2月末の株主対象

 株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は上値試す

 株価は水準を切り上げて年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月19日の終値は1136円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円50銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS382円08銭で算出)は約3.0倍、時価総額は約132億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る