神鋼商事は調整一巡、22年3月期大幅増益予想

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 神鋼商事<8075>(東1)は鉄鋼や非鉄金属関連などを扱う商社である。KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社としてグローバルビジネスの深化を追求している。22年3月期は需要が回復基調で大幅増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は5月の年初来高値圏から一旦反落したが、指標面の割安感も見直し材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社

 神戸製鋼所<5406>系で、鉄鋼製品(鋼板製品、線材製品など)、鉄鋼原料(輸入鉄鋼原料、合金鉄、コークスブリーズなど)、非鉄金属(銅製品、アルミ製品、非鉄金属地金・スクラップなど)、機械・情報(ゴム・タイヤ機械、製鉄・非鉄機械、化学機械、環境関連機器、電池用材料、液晶用材料、PC部品など)、溶接材料・機器(溶接材料、溶接関連機器、溶接ロボットシステムなど)を扱う商社である。M&Aも積極活用して、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社としてグローバルビジネスの深化を追求している。

 21年3月期のセグメント別経常利益構成比は鉄鋼が15%、鉄鋼原料が8%、非鉄金属が46%、機械・情報が30%、溶材が4%、その他が▲2%だった。鉄鋼、鉄鋼原料、非鉄金属は、取扱数量と市況の影響を受けて収益が変動しやすい特性がある。

■重点分野はEV・自動車軽量化と資源循環型ビジネス

 新中期経営計画(22年3月期~24年3月期)では、EV・自動車軽量化と資源循環型ビジネスを重点分野と定めた。そして目標数値に、最終年度24年3月期の経常利益95億円(鉄鋼41億円、鉄鋼原料13億円、非鉄金属23億円、機械・情報13億円、溶材5億円)以上、ROE9%以上を掲げた。

 投資額は3年合計200億円とした。内訳は自動車向け鋼材加工事業20億円、環境リサイクル事業30億円、アルミ加工事業80億円、M&Aによる流通再編20億円、その他・海外チャンネル拡大・サプライチェーン強化50億円である。

 鉄鋼は海外(中国、米国など)拡販や海外現地需要取り込み、鉄鋼原料は鉄スクラップとバイオマス燃料の取り扱い拡大、非鉄金属は半導体・自動車向け部材やエアコン用銅管の取り扱い拡大、機械・情報は建設機械部品の海外取り扱い拡大、溶材はM&Aによる流通再編や販売機能の強化を推進する。

 株主還元の基本方針は、財務体質の強化と将来の事業展開に必要な内部留保等を考慮しつつ、連結配当性向30%を目標に、安定的な配当を維持するとした。

 SDGsへの取り組みでは、鉄スクラップ、バイオマス燃料、雑電線屑などの取り扱い拡大や再資源化の推進を目指している。

■22年3月期は需要回復で増益予想

 22年3月期の連結業績予想は、売上高(収益認識に関する企業会計基準第29号適用のため21年3月期との比較は非記載)が4080億円、営業利益が21年3月期比14.5%増の51億円、経常利益が27.9%増の52億円、親会社株主帰属当期純利益が36.5%増の30億円としている。配当予想は50円増配の100円(第2四半期末50円、期末50円)である。

 セグメント別の経常利益の計画は、鉄鋼が18億円増の24億円、鉄鋼原料が1億円増の4億円、非鉄金属が2億円減の17億円、機械・情報が5億円減の7億円、溶材が2億円増の3億円としている。需要が回復基調であり、収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は5月の年初来高値圏から一旦反落したが、指標面の割安感も見直し材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。7月19日の終値は2289円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS338円80銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の100円で算出)は約4.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS6295円46銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約203億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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