ハウスドゥは売られ過ぎ感、22年6月期大幅増収増益予想で収益拡大基調

 ハウスドゥ<3457>(東1)は住まいのワンストップサービスを展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。12月20日にはサステナビリティ委員会設置を発表した。なお22年1月1日付で事業持株会社体制に移行して商号をAnd Do ホールディングスに変更予定である。22年6月期は大幅増収増益予想(レンジ予想)としている。住宅需要が堅調であり、ハウス・リースバック事業など成長強化事業が牽引して収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 住まいのワンストップサービスを展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

 不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。

 FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションなど顧客接点・地域密着ネットワークを構築し、売買仲介を起点として住まい関連サービスにつなげる事業シナジーを強みとしている。さらに不動産事業を通じて世の中を安心、便利なサービスを提供する「不動産コンビニ」構想も掲げている。

 なお22年1月1日付で事業持株会社体制に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)して商号をAnd Do ホールディングスに変更予定である。

■ストック収益型事業が収益柱

 ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業(不動産担保ローン事業、リバースモーゲージ保証事業)を成長強化事業と位置付けて、収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進めている。

 21年6月期のセグメント別営業利益構成比は、成長強化事業が66.7%(フランチャイズ事業が37.6%、ハウス・リースバック事業が27.9%、金融事業が1.3%)、不動産売買事業が18.3%、不動産流通事業が10.1%、リフォーム事業が2.9%、小山建設グループが2.2%、その他が0.2%だった。なお21年3月期は不動産売買事業が大幅に増加したため、成長強化事業の構成比は20年6月期の77.2%に対して10.5ポイント低下した。

 なお22年1月1日付で事業持株会社体制に移行することに伴って、22年6月期第3四半期からセグメント区分を変更し、小山建設グループの事業を不動産売買事業、不動産流通事業、ハウス・リースバック事業に振り分ける。

 フランチャイズ事業の加盟契約数は21年6月30日現在で702店舗(直営29店舗、FC673店舗、うちオープン準備中86店舗)となった。20年9月には山形県の企業とフランチャイズ契約を締結し、全国47都道府県すべてに出店契約を達成している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。なお21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新した。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。

 ハウス・リースバック事業では、21年6月期末の保有物件数が20年6月期末比122件増加の339件、保有物件総額が12億65百万円増加の45億94百万円となった。契約件数は243件増加の903件、物件取得数は167件増加の801件だった。

 金融事業では、21年6月期のリバースモーゲージ保証件数が76件増加の221件、期末リバースモーゲージ保証残高が19億43百万円増加の53億43百万円、不動産担保融資実行件数が20年6月期比40件減少の167件、期末不動産担保融資残高が13億01百万円減少の97億44百万円となった。リバースモーゲージ保証事業では地域金融機関との提携を推進し、提携金融機関は21年8月16日現在で26金融機関となった。

■ハウス・リースバック事業や保証事業を強化

 中期経営計画では目標数値を、22年6月期売上高381億50百万円~414億円、営業利益30億54百万円~37億54百万円、経常利益28億円~35億円、親会社株主帰属当期純利益18億48百万円~23億10百万円としている。

 重点戦略として、フランチャイズ事業の店舗数拡大、ハウス・リースバック事業の仕入強化、リバースモーゲージ保証事業の拡大、海外展開、M&Aへの積極的取り組みなどを推進する。また20年8月にはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部を設立した。グループの事業展開におけるDX推進に向けた環境整備および具体的な取り組みを促進する。

 M&A・アライアンスでは、19年8月に埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月に子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。21年3月にはJSB(京都市)と提携した。JSBが運営するサービス付高齢者向け住宅の入居希望者に対して、自宅や遊休不動産の査定・売却・有効活用などに関する不動産ソリューションサービスを提供する。

 21年7月には加盟店を対象とする業務支援サービスの利用に関して、不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>と業務提携した。21年9月には識学<7049>と業務提携した。識学の「成長する組織つくり」を加盟店が導入することで加盟店の組織力および業績拡大につなげる。

■22年6月期大幅増収増益予想

 22年6月期の連結業績予想(レンジ予想、収益認識基準適用だが影響軽微)は、売上高が391億円~444億38百万円(21年6月期比0.2%増~13.8%増)、営業利益が29億73百万円~36億73百万円(同14.8%増~41.9%増)、経常利益が28億円~35億円(同11.4%増~39.2%増)、親会社株主帰属当期純利益が18億48百万円~23億10百万円(同14.3%増~42.9%増)としている。配当予想は未定としている。

 セグメント別営業利益(調整前)計画は、フランチャイズ事業が8.2%増益、ハウス・リースバック事業が27.0%増益~41.3%増益、金融事業が31.4%増益~110.6%増益、不動産売買事業が20.4%減益~16.9%増益、不動産流通事業が4.6%増益、リフォーム事業が37.7%増益、小山建設グループが47.9%増益としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比47.1%増の110億71百万円、営業利益が2.5倍の7億92百万円、経常利益が2.7倍の7億04百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.7倍の4億14百万円だった。

 成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業)への投資で人件費や広告宣伝費が増加したが、好調な不動産売買事業が牽引して大幅増収増益となり、第1四半期として過去最高を大幅に更新した。収益認識基準適用の影響額は、売上高が33百万円増加、営業利益、経常利益、税前利益がそれぞれ35百万円増加だった。

 フランチャイズ事業は売上高が6.2%増の8億71百万円、営業利益が8.7%増の6億04百万円だった。加盟店舗数の増加で増収増益と順調だった。レントドゥを含む累計加盟店数は前年同期比39店舗増加の698店舗(うち開店店舗数は49店舗増加の619店舗)となった。なお21年6月期末との比較では複数店舗加盟企業の退会で4店舗減少した。

 ハウス・リースバック事業は売上高が4.2%減の10億62百万円、営業利益が22百万円の赤字(前年同期は14百万円の赤字)だった。流動化を抑制したため減収減益だが、仕入契約件数は34件増加の230件、累計保有物件数は203件増加の541件、保有物件総額は20億28百万円増加の68億66百万円となり、第2四半期以降の流動化に向けてストックが充実している。

 金融事業は売上高が16.5%減の2億30百万円で、営業利益が46.7%増の36百万円だった。不動産担保融資は高収益化に向けて残高を縮小(27億93百万円減少の82億97百万円)したが、リバースモーゲージ保証が伸長(新規保証件数が69件増加の96件、保証残高が31億33百万円増加の66億93百万円)し、販管費抑制も寄与して利益向上した。

 不動産売買事業は売上高が2.1倍の75億71百万円で、営業利益が3.4倍の9億64百万円だった。取引件数は154件で21件減少したが、住宅需要が高水準に推移して大幅増収増益だった。営業利益は通期予想(8億61百万円~12億65百万円)の下限値を上回った。

 不動産流通(仲介)事業は売上高が6.9%増の5億97百万円で営業利益が店舗統合や生産性向上も寄与して35.6%増の2億08百万円、リフォーム事業は受注回復して売上高が8.8%増の6億21百万円で営業利益が51.4%増の25百万円、小山建設グループは前期の収益不動産売却の反動により売上高が63.8%減の2億73百万円で営業利益が27百万円の赤字(同1億26百万円の黒字)だった。

 通期予想は据え置いて大幅増収増益予想(レンジ予想)としている。レンジ予想の上限値に対する第1四半期の進捗率は売上高が24.9%、営業利益が21.6%、経常利益が20.1%、親会社株主帰属当期純利益が17.9%と概ね順調である。また12月21日にはHLB9号に対するハウス・リースバック資産の信託受益権譲渡(対象不動産件数259件、譲渡価格41億80百万円、帳簿価格31億93百万円)が完了したと発表している。住宅需要が堅調であり、ハウス・リースバック事業など成長強化事業が牽引して収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は22年6月末日対象をもって廃止

 株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施しているが、21年2月に株主優待制度廃止を発表した。株主還元の公平性を意識した取り組みを進めるべく、22年6月末日対象をもって株主優待制度を廃止し、翌期以降は配当性向基準引き上げで配当として還元(詳細は会社HP参照)する。

■株価は売られ過ぎ感

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認しており、21年10月18日開催の取締役会においてプライム市場の選択・申請を決議した。所定のスケジュールに基づいて手続を進める。

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。12月27日の終値は888円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS上限値118円13銭で算出)は約8倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS656円34銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約174億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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