【アナリスト水田雅展の銘柄分析】電算システムは高値更新の展開、15年12月期増収増益予想を評価

銘柄分析

 電算システム<3630>(東1)は情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開している。株価は6月30日の上場来高値1849円から地合い悪化も影響して一旦反落したが素早く切り返した。15年12月期増収増益予想を評価して上値追いの展開だろう。マイナンバー制度やサイバーセキュリティ関連も注目材料のようだ。

■情報サービス事業と収納代行サービス事業を展開

 情報サービス事業(SI・ソフト開発、情報処理サービス、商品販売)と、収納代行サービス事業(コンビニ収納代行、郵便振替決済代行、ネットショッピング決済、電子マネー決済など)を展開し、クラウドサービスや電子マネーなどへの対応を強化している。

 収納代行サービスは97年にIT企業として初めて、コンビニエンスストアを利用した料金支払(収納代行)サービスを開始した。現在は総合決済サービスプロバイダーとして、全国7万以上のコンビニエンスストアおよび郵便局窓口でサービスを提供し、年間取扱件数は1億45百万件に達している。

 中期成長に向けたM&A・アライアンス戦略も推進している。13年10月にNTTドコモ<9437>と業務提携して、米グーグルの企業向けクラウドビジネスに関する戦略的パートナーとして連携を強化した。

 14年9月にはガーデンネットワークを子会社化した。全国約2000ヶ所のガソリンスタンド向けに勘定系システムや情報系システムを提供し、当社と商圏が競合していないため、エネルギー業界向けITサービス提供拡大に向けてシナジー効果が期待される。

 15年6月にはStratosMedia社(オーストラリア)が提供するウェブ型デジタルサイネージシステムStratosMedia(ストラタスメディア)の日本国内初の販売代理店契約を締結した。クラウドサーバで提供データが配信されるため、簡単に高品質な画像と情報の配信を実現する。

■15年12月期は増収増益予想

 今期(15年12月期)の連結業績予想(1月30日公表)は売上高が前期比13.2%増の300億円、営業利益が同4.0%増の12億円、経常利益が同4.0%増の12億10百万円、純利益が同8.7%増の7億45百万円としている。配当予想は同1円増配の年間23円(第2四半期末11円、期末12円)で、予想配当性向は30.1%となる。

 情報サービス事業のSI・ソフト開発は大口取引先のIT投資予算抑制でやや低調となるようだが、情報処理サービスではBPO(情報処理アウトソーシング)業務の量的拡大、サービスのワンストップ化による質的充実、効率的な人員配置と作業の効率化が進展し、ガーデンネットワークの通期連結も寄与する。収納代行サービス事業では、非対面取引市場向け決済サービスの拡大、国内送金サービスの拡大、国際送金サービスの拡大に取り組む方針としている。

 第1四半期(1月~3月)は前年同期比1.0%減収、同32.6%営業減益、同32.4%経常減益、同28.4%最終減益だった。収納代行サービス事業は新規取引先獲得も寄与して増収増益だったが、情報サービス事業が前年同期のWindowsXPサポート終了や消費増税前の駆け込み需要の反動で減収減益となり、全体でも減収減益だった。

 セグメント別に見ると、情報サービス事業は売上高が同5.3%減の38億83百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同45.7%減の2億35百万円だった。ギフト処理サービスや請求書代行などが順調で、ガーデンネットワークの連結も寄与したが、駆け込み需要の反動影響で減収減益だった。

 収納代行サービス事業は売上高が同5.1%増の30億93百万円、営業利益が同13.1%増の1億15百万円だった。地方自治体を含む新規取引先獲得に加えて、通信販売業、ネットショップ、公金収納など既存取引先における収納件数も増加した。スーパーマーケットやドラッグストアなどのチェーン店舗向け収納窓口サービス導入店舗数も順調に増加しているようだ。

 第1四半期は特需の反動影響で減収減益だったが、通期予想に対する進捗率は売上高が23.3%、営業利益が29.8%、経常利益が29.9%、純利益が29.3%と高水準である。通期ベースでは好業績が期待される。

 中期経営計画では目標数値として、16年12月期売上高350億円(情報サービス事業194億円、収納代行サービス事業156億円)、営業利益18億20百万円、経常利益18億20百万円、純利益11億62百万円を掲げている。クラウドサービスを第3の柱に育成する方針であり、中期的に収益拡大基調が期待される。

■株価は高値更新の展開

 株価の動きを見ると高値更新の展開だ。14年12月の1765円を突破して6月30日の上場来高値1849円まで上伸した。その後は利益確定売りや全般地合い悪化の影響で7月9日に1600円まで調整する場面があったが、素早く切り返して15日には1775円まで戻している。15年12月期増収増益予想に加えて、マイナンバー制度やサイバーセキュリティ関連としても注目されているようだ。

 7月15日の終値1771円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS76円33銭で算出)は23~24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS776円68銭で算出)は2.3倍近辺である。

 日足チャートで見ると地合い悪化で一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。15年12月期増収増益予想を評価して上値追いの展開だろう。

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