星光PMCは急伸して基調転換、23年12月期収益拡大期待

 星光PMC<4963>(東証プライム)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開している。成長戦略として、製品/事業地域/事業領域の全てにおけるポートフォリオ変革推進による稼ぐ力の強化を掲げ、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)などの拡販も推進している。22年12月期は原材料価格高騰の影響で減益予想だが、23年12月期は製品価格への転嫁、高付加価値製品の拡販、成長投資の成果など積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏でモミ合う展開だったが、調整一巡して急伸の形となっている。そして週足チャートで見ると、抵抗線となっていた26週移動平均線を突破した。指標面の割安感も評価材料であり、基調転換して出直りを期待したい。

■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開

 DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、樹脂事業(印刷インキ用樹脂、記録材料用樹脂、次世代素材CNF、および台湾・新綜工業の粘着剤)、化成品事業(子会社KJケミカルズの機能性モノマー)を展開している。

 22年1月には新綜工業(台湾)の株式を追加取得して出資比率を92.80%に引き上げた。先進精密産業において需要が拡大基調の粘着剤事業の海外展開を強化する。23年1月には、キチンナノファイバーの研究開発・製造販売を展開する鳥取大学発ベンチャーであるマリンナノファイバー(鳥取県鳥取市)の株式85.4%取得が完了して子会社化した。ナノファイバー技術をコアとしたさらなる事業ポートフォリオ拡大を推進する。

 21年12月期のセグメント別売上高構成比は製紙用薬品事業が57%、樹脂事業が26%、化成品事業が17%で、セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は製紙用薬品事業が36%、樹脂事業が24%、化成品事業が40%だった。

■中期経営計画「OPEN 2024」

 22年2月に、長期ビジョン「VISION 2030」を達成するためのアクションプランとして、新中期経営計画「OPEN 2024」を発表した。

 目標数値として、最終年度24年12月期売上高390億円、営業利益37.5億円、営業利益率9.6%、EBITDA(営業利益+減価償却費)57.5億円、ROE8.4%、海外売上高比率40%以上、New Green Index130以上を掲げた。

 セグメント別は、製紙用薬品事業の売上高が210億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が15億円、樹脂事業の売上高が110億円で利益が17.5億円、化成品事業の売上高が70億円で利益が9億円としている。

 基本方針として、製品/事業地域/事業領域の全てにおけるポートフォリオ変革推進による稼ぐ力の強化、ESG経営(GHG排出量削減、環境戦略製品の拡販)、人財育成・組織づくり、DXを推進する。

 製紙用薬品事業では国内シェア拡大、アジア地域での製造・販売拡大、バイオフィルムコントロール剤等の新事業、樹脂事業では製品ポートフォリオ変革、UV硬化型粘着剤拡販、アジア地域での市場拡大、CNFの用途拡大・採用拡大、AgNW(銀ナノワイヤインク)の新規採用、化成品事業では生産キャパ拡充、海外販路・市場開拓パートナーの拡充、機能性溶剤の拡販を推進する。

 サステナビリティに関する取り組みでは、22年2月にはサステナビリティ委員会を設置するとともに、サステナビリティ基本方針を策定した。22年5月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明するとともに、同提言に賛同する企業・金融機関等で構成されるTCFDコンソーシアムに加入した。

 長期ビジョン「VISION 2030」における戦略投資枠としては、22年~30年の9年間合計300億円を設定している。内訳は成長投資枠150億円、協業やM&A等による事業規模拡大を図るための投資枠150億円としている。

■CNF配合樹脂や脱プラ製品の拡販を推進

 次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。

 18年1月CNF配合樹脂「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化として、アシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料に「STARCEL」が採用され、全世界で累計500万足以上販売されている。19年10月には環境省NCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクト製作のコンセプトカーに採用された。

 20年8月にはNEDO助成事業の「革新的CNF製造プロセス技術の開発」の助成先に採択された。事業期間は20年度~24年度である。さらに自動車用部材への採用を目指して検討を継続している。

 この他の新製品・注目製品として、脱プラスチック・包装材料の紙化を推進する紙塗工用耐水・耐油オールアクリルエマルションなどの拡販も推進している。

 さらに、紙の包装に耐水性、耐油性、バリア性、シール性を持たせる機能性コート剤「SEIKOATシリーズ」については、食品包装材用として生産ライン試験が進んでおり、食品包装材用途やカップ用途などで23年3月期中の実績化を目指している。また、造水膜などに発生するバイオフィルムの形成を抑えるバイオフィルムコントロール剤「BRシリーズ」については、実証試験で有効性が確認され、実用化に向けて製造設備のスケールアップを進めている。

 22年12月には、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/カーボンリサイクル・次世代火力推進事業/カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発」の委託先として採択され、九州大学・東北大学との共同研究を実施すると発表している。九州大学と東北大学が木材や二酸化炭素を原料とした新たなバイオリファイナリーの確立、東北大学と同社がバイオリファイナリーで得られた原料からのバイオポリマー合成と新たな用途開拓に取り組む。事業期間は22年度~24年度としている。

■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。新中期経営計画「OPEN 2024」の着実な遂行による業績の向上、IR・ガバナンス機能の強化などで企業価値の向上に取り組むとともに、取引先等の事業会社との株式保有関係解消などを通じて流通株式比率の向上、流通株式時価総額の増大を図り、24年12月期末までにプライム市場の上場維持基準適合を目指すとしている。

■22年12月期減益予想だが23年12月期収益拡大期待

 22年12月期連結業績予想(収益認識会計基準適用だが影響軽微、22年8月9日付で売上高を下方修正、営業利益を据え置き、為替差益計上により経常利益と親会社株主帰属当期純利益を上方修正)は売上高が21年12月期比5.8%増の328億40百万円、営業利益が28.9%減の20億40百万円、経常利益が14.3%減の26億90百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.4%減の19億70百万円としている。配当予想は21年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比5.0%増の241億62百万円、営業利益が30.0%減の15億90百万円、経常利益が3.1%減の23億89百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.3%増の17億60百万円だった。

 差別化製品の市場投入効果なども寄与して増収だったが、原材料価格高騰や成長投資費用増加などの影響で営業減益だった。ただし営業外収益で、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する評価替えによる為替差益が増加(前年同期は93百万円計上、今期は6億48百万円計上)したため、経常利益は営業利益に比べて減益幅が縮小し、親会社株主帰属四半期純利益は増益だった。

 製紙用薬品事業は売上高が13.3%増の146億64百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が25.1%減の7億15百万円だった。国内外における差別化商品の拡販や国内板紙向けの堅調な販売で増収だが、原材料価格高騰の影響で減益だった。樹脂事業は売上高が16.1%減の51億64百万円で、セグメント利益が62.7%減の2億64百万円だった。印刷インキ用樹脂は増収だったが、粘着剤や記録材料用樹脂が低調だった。化成品事業は売上高が10.6%増の43億33百万円で、セグメント利益が11.4%減の8億73百万円だった。主力製品の輸出売上増加などで増収だが、利益面は原材料価格高騰の影響を受けて減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期売上高が75億30百万円、営業利益が5億81百万円、経常利益が8億49百万円、第2四半期は売上高が84億08百万円、営業利益が5億39百万円、経常利益が8億96百万円、第3四半期は売上高が82億24百万円、営業利益が4億70百万円、経常利益が6億44百万円だった。

 通期予想は据え置いている。ナフサを中心とする原材料価格の一段の上昇が見込まれるが、製品価格への転嫁、差別化製品の拡販、諸経費の減少などで吸収する見込みとしている。経常利益と親会社株主帰属当期純利益については為替差益計上を考慮している。

 営業利益8億27百万円減益の要因別増減分析見込みは、数量・品目構成で+2億52百万円、製品価格値上げで+22億85百万円、原料価格上昇で▲30億37百万円、製造経費増加で▲3億57百万円、販管費抑制で+30百万円としている。設備投資額は1億90百万円増加の30億75百万円、減価償却費は1億91百万円増加の14億83百万円、研究開発費は86百万円減少の17億52百万円の計画としている。

 セグメント別計画は、製紙用薬品事業の売上高が13.3%増の198億90百万円で営業利益が18.3%減の9億75百万円、樹脂事業の売上高が11.0%減の71億90百万円で営業利益が48.4%減の4億14百万円、化成品事業の売上高が6.8%増の57億60百万円で営業利益が24.2%減の9億95百万円としている。

 製紙用薬品事業は原燃料価格上昇やベトナム新工場立ち上げ(22年9月生産開始予定)に伴う償却費増加で減益だが、下期は増益を見込んでいる。樹脂事業は中国等の経済減速の影響による販売減少を見込んでいる。化成品事業は原燃料価格上昇や設備増強投資に伴う償却費の増加で減益だが、利益率は引き続き高い水準を見込んでいる。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が73.6%、営業利益が77.9%、経常利益が88.8%、親会社株主帰属当期純利益が89.3%と順調だった。通期会社予想の達成は可能だろう。22年12月期は原材料価格高騰の影響で営業利益成長が減速する形だが、23年12月期は製品価格への転嫁、高付加価値製品の拡販、成長投資の成果など積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は急伸して基調転換

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏でモミ合う展開だったが、調整一巡して急伸の形となっている。そして週足チャートで見ると、抵抗線となっていた26週移動平均線を突破した。指標面の割安感も評価材料であり、基調転換して出直りを期待したい。1月25日の終値は567円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS64円97銭で算出)は約9倍、前期推定配当利回り(会社予想16円で算出)は約2.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS979円59銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約172億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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