【どう見るこの相場】中国ショックの行方

どう見るこの相場

■上海総合指数3000ポイント維持できても先進国へ脱皮できるかどうか世界の眼はさらに厳しく

<Q>中国の通貨・元、切り下げで日米のマーケットが荒れているようだ。しかし、おおもとの中国の株は堅調のようだが。

<A>通貨を2%切り下げたことで11日のNYダウは212ドル下げ、12日の日経平均は327円安となった。12日の上海総合指数は下げてはいるが41ポイント安の3886ポイントにとどまり、先の安値3597ポイント(7月8日)には余裕のある水準だ。

<Q>なぜ、中国株価は堅調か。

<A>1つには、中国政府が売買を停止するなどいろいろな策で株価を支えていることがあるだろう。もう一つは元が安くなる効果で輸出競争力が増して中国経済が上向くという期待があるものとみられる。

<Q>しかし、世界の株価は下げている。

<A>やはり、GDPで日本を抜き、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国となった今日、世界経済への影響は無視できない。最近騒がれたギリシャの比ではないということがある。当然、米国経済は影響を受ける。日本では対中貿易等の取引は縮小しているものの、建設機械、化粧品などの取引は多く、12日のマーケットではコーセの株価が大きく下げている。仮に、中国経済が長期停滞に移れば、日本へのインバウンド効果も薄れる心配がある。

<Q>中国は人口13億人の大国だから中長期的には成長が期待できるのでは。

<A>人口の多いことは経済発展にとって武器だから大いに期待できる。ただ、GDP規模では世界第2位だが、1人当りGDPということでは、お世辞にも立派とは言えない。1人当り所得を伸ばすことができるかどうかが今後のポイントといえる。中国に対し言われるところの、「中所得国の罠」といわれる点を抜け出すことができるかどうかだろう。

<Q>どういうことか

<A>中国は豊富な労働力と、とくに安い賃金を武器に低所得国から中所得国となったが、低賃金を使うことができなくなっているため、ここからは技術力、勤勉性などで国際競争力を高めることができるかどうかにかかっている。身近なところでは、中国の人が自国の食品は安心して口にできないと言っている状況を打破できるが勝負だろう。上海総合指数は3000ポイントを維持できたとしても世界の見る眼は中国が先進国に変身できるかどうかについて益々、厳しくなるだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る