【Newsで一枚】京写は京大と実用化目指す次世代無線を来年度量産化へ、今期増配も

京写 児嶋一登 社長

京写<6837>(JQ・売買単位1000株)は7月末に発表した第1四半期(4~6月)の前年同期比減益をものともせず8月11日には849円の年初来高値を更新、2001年以来の水準に値を上げ4ケタをうかがう展開となっている。児嶋一登社長に聞いた。

<Q>先ず、2016年3月期・第1四半期の前年同期比23.2%減益の理由は。

<A>長尺基板を中国で製造して日本で販売しているが円安、人件費増などの影響でこの分野が苦戦した。前期、第4四半期からの悪い状態が尾を引いた。7月までに価格改定を進めたことで下期(第3四半期)から回復する。売上については両面プリント配線基板が車載関係に非常に好調で第1四半期の売上は前年同期比12.8%伸びた。

<Q>車載関係では。

<A>LED関係が伸びている。現在、テールランプ向けが中心だが、今後、ヘッドライトへのLED使用が増えるものとみている。放熱性などの品質、精度がよりいっそう求められるため当社の技術力が発揮できるものとみている。ただ、品質に応えるためには自社生産の強化が必要で片面配線プリント基板に比べると両面プリント配線基板の生産力が遅れているので今後、両面プリント配線基板だけで15~20億円の設備投資が発生する。ヘッドライトにLEDが使われることでそれだけ需要が大きいということだ。

<Q>通期(16年3月期)見通しは。

<A>売上13.1%増の200億円、営業利益31.0%増の12億円、純益31.3%増の9億円、1株利益62.7円の見通し。配当は年8円を予定しているが、配当性向が約13%と目安としている20%を下回るので、第3四半期時点で改めて考えたい。

<Q>マーケットで関心の京都大学との提携案件については。

<A>京都大学とは2年前から付き合いがある。次世代無線開発では第一人者の教授から実用化に対し協力要請があった。電波障害を受けることが少なく大量の情報を安定して送ることが可能でセキュリティにも優れている。基本特許は大学側が持っているので、今後は実用化に際しての特許を京大と共同で取得する。

<Q>需要規模は。

<A>分からないというのが正直なところだ。有線並みの情報伝達性能があり伝達距離も長い。たとえば、話題となっている身近な例では「ドローン」が新技術を使えば操縦不能に陥ることはない。とくに、産業用に実用化を目指しているので需要規模としてはそうとう大きいとみている。実装関係、産業用ロボット関係などが有力な需要先となるだろう。

<Q>いつから。

<A>16年3月末くらいまでにサンプル提供を始め、来期中には量産の目処をつけたいと思っている。生産はファブレスを考えているが、製造依頼先は京大と同じ京都関係のメーカーになるのではないかと思われる。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る