日本エム・ディ・エムは23年3月期減益、24年3月期は増益予想

(決算速報)
日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は4月28日取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。売上面はコロナ禍の影響が和らいで2桁増収だが、利益面は為替の円安影響、人件費や支払手数料の増加などで減益だった。概ね計画水準で着地した。24年3月期は日本および米国における症例数の増加や、円安影響の一巡などで増収増益予想としている。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は戻り一服となってモミ合う形だが調整一巡感を強めている。24年3月期増益予想を評価して出直りを期待したい。

■23年3月期減益着地だが計画水準、24年3月期は増益予想

23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比11.0%増の213億07百万円、営業利益が23.9%減の20億24百万円、経常利益が21.1%減の20億43百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が33.3%減の14億23百万円だった。配当は22年3月期比1円増配の13円(期末一括)とした。

売上面はコロナ禍の影響が和らいで2桁増収だが、利益面は、為替の円安影響、国内における償還価格引き下げの影響、国内体制強化に伴う人件費の増加、米国売上増加に伴う支払手数料(コミッション・ロイヤリティ)の増加、円安に伴う米国での費用(円換算後)の増加などで減益着地した。概ね計画水準で着地した。売上原価率は34.3%で2.0ポイント上昇、販管費比率は56.2%で2.4ポイント上昇した。営業外では為替差損益が改善(22年3月期は為替差損35百万円、23年3月期は為替差益1億円)した。特別利益では22年3月期計上の債務免除益3億10百万円が剥落し、特別損失では訴訟和解引当金繰入額1億円、開発検証期間中製品の販売中止による損失1億42百万円を計上した。

セグメント別(調整前)に見ると、日本国内は売上高が1.9%増の123億56百万円で営業利益が33.2%減の12億31百万円だった。売上面では22年4月の償還価格引き下げの影響に加えて、第3四半期の一部病院施設における医療従事者不足の影響で獲得症例数が減少したため、小幅増収にとどまった。利益面は体制強化に伴う人件費増加や営業活動回復に伴う広告宣伝費の増加などで減益だった。

米国は売上高が17.6%増の127億82百万円で営業利益が22.8%減の6億47百万円だった。売上面は、既存顧客向け販売促進策の効果で獲得症例数が増加したことに加えて、上期に発生したサプライチェーン問題が下期に改善し、延期していた新規顧客との販売契約を下期より順次契約した。米国の外部顧客向け売上高は米ドルベースで5.9%増の66百万USドル、円換算後で26.6%増の89億51百万円だった。このうち第4四半期は米ドルベースで10.6%増と伸長した。利益面は支払手数料(主にコミッション)や人件費の増加で減益だった。

医療機器類の地域別・品目別売上高は、日本の人工関節が0.4%増の47億38百万円、骨接合材料が5.0%増の43億22百万円、脊椎固定器具が1.9%増の31億85百万円、その他(人工骨など)が20.9%減の3億54百万円、米国の人工関節が26.5%増の89億10百万円、脊椎固定器具が54.8%増の40百万円だった。自社製品比率は80.6%で1,4ポイント上昇した。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が50億27百万円で営業利益が4億98百万円、第2四半期は売上高が49億62百万円で営業利益が4億29百万円、第3四半期は売上高が56億35百万円で営業利益が5億83百万円、第4四半期は売上高が56億83百万円で営業利益が5億14百万円だった。

24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比9.3%増の233億円、営業利益が23.5%増の25億円、経常利益が17.4%増の24億円、親会社株主帰属当期純利益が5.4%増の15億円としている。想定為替レートは1USドル=135円(23年3月期実績は1USドル=134.95円)としている。配当予想は23年3月期比1円増配の14円(期末一括)としている。連続増配予想で予想配当性向は24.5%となる。

24年3月期はコロナ禍影響がさらに和らぎ、日本および米国における症例数の増加、円安影響の一巡などで増収増益予想としている。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価は調整一巡

株価は戻り一服となってモミ合う形だが調整一巡感を強めている。24年3月期増益予想を評価して出直りを期待したい。4月28日の終値は1015円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS57円03銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS880円64銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約269億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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