クレスコは24年3月期も増収増益予想、さらに自己株式取得・消却も発表

(決算速報)
クレスコ<4674>(東証プライム)は5月10日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。増収増益で着地した。ITサービス事業の受注が高水準に推移して売上高と営業利益は計画を上回った。そして24年3月期も増収増益予想としている。人材投資の増加で上期は営業減益だが、通期ベースでは受注が高水準に推移して費用増加を吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得および自己株式消却を発表している。株価は3月の年初来安値圏から反発して水準を切り上げている。好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■23年3月期増収増益着地、24年3月期も増収増益予想

23年3月期の連結業績は、売上高が22年3月期比8.8%増の483億68百万円、営業利益が12.1%増の49億98百万円、経常利益が7.4%増の51億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.8%増の33億28百万円だった。配当(23年3月7日付で期末4円上方修正)は22年3月期比6円増配の50円(第2四半期末23円、期末27円=普通配当23円+創立35周年記念配当4円)としている。

増収増益で着地した。営業外費用でデリバティブ評価損が増加し、特別損失では投資有価証券評価損やコーポレートロゴ変更費用などを計上したが、ITサービス事業の受注が高水準に推移して売上高と営業利益は計画を上回った。

ITサービス事業は、売上高が7.7%増の456億12百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が11.1%増の63億54百万円だった。全体として受注が高水準に推移した。

このうちエンタープライズは、売上高が3.4%増の188億39百万円、利益が5.3%増の23億74百万円だった。運輸分野および人材紹介・人材派遣分野で大型案件が収束したが、流通サービス分野、建設・不動産分野、情報・通信・広告分野および公共分野で新規案件獲得を含めて売上拡大した。

金融は売上高が3.1%増の141億15百万円、利益が5.9%増の18億20百万円だった。主に銀行分野で基盤構築・移行案件が増加した。

製造は売上高が21.3%増の126億57百万円、利益が23.8%増の21億59百万円だった。機械・エレクトロニクス分野や自動車・輸送機器分野において、クラウド・セキュリティ案件や先行投資目的の案件が増加した。自動車・輸送機器分野の新規顧客獲得も寄与した。

デジタルソリューション事業は売上高が30.7%増の27億55百万円で、利益が14.3%増の1億65百万円だった。主力のクラウドサービス「Creage」やRPAライセンスの販売が増加し、増収効果でコスト増加を吸収した。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が113億81百万円で営業利益が8億91百万円、第2四半期は売上高が119億28百万円で営業利益が13億54百万円、第3四半期は売上高が120億67百万円で営業利益が14億52百万円、第4四半期は売上高が129億92百万円で営業利益が13億01百万円だった。

24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比8.5%増の525億円、営業利益が5.0%増の52億50百万円、経常利益が4.6%増の53億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が7.6%増の35億82百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。記念配当4円を落とすため普通配当ベースでは4円増配となる。

教育研修プログラムの実施・強化、給与水準の引き上げ、過去最大規模の新卒社員採用など、人材投資の増加で上期は営業減益(前年同期比7.4%減の20億80百万円)の計画だが、通期ベースでは受注が高水準に推移して費用増加を吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

なお、自己株式取得(上限50万株・10億円、取得期間23年5月11日~23年11月30日)、および自己株式消却(100万株、消却予定日は自己株式取得完了後に公表)を発表している。

■株価は戻り試す

株価は3月の年初来安値圏から反発して水準を切り上げている。好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。5月10日の終値は1798円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS170円00銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1160円39銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約414億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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