アスカネットは24年4月期3Q累計減益、通期減益予想

(決算速報)
 アスカネット<2438>(東証グロース)は3月11日の取引時間終了後に24年4月第3四半期累計連結業績を発表した。23年12月4日付でBETを子会社化したことに伴い第3四半期から連結決算に移行したため、23年4月期第3四半期累計の非連結業績との単純比較で見ると減益だった。フォトブック事業の需要回復が遅れていることに加え、フューネラル事業における人件費増加などが影響した。通期連結業績予想(3月11日付で公表)は23年4月期の非連結業績との単純比較で減益予想とした。BETの新規連結(3ヶ月分を連結)が貢献するが、人件費などの増加に加え、M&A関連費用なども影響する見込みだ。株価は反発力が鈍く安値圏だ。目先的には24年4月期連結業績予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。

■24年4月期3Q累計減益、通期も減益予想

 24年4月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が52億01百万円、営業利益が3億36百万円、経常利益が3億56百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2億32百万円だった。23年12月4日付でBETを子会社化したことに伴い第3四半期から連結決算に移行したため、23年4月期第3四半期累計の非連結業績との単純比較で見ると売上高は0%増収、営業利益は30%減益、経常利益は28%減益、親会社株主帰属四半期純利益は34%減益となる。フォトブック事業の需要回復が遅れていることに加え、フューネラル事業における人件費増加などが影響した。

 セグメント別(内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は売上高が24億05百万円で営業利益が5億32百万円(前年同期は売上高が23億43百万円で営業利益が5億75百万円)だった。売上面は、葬儀施行件数に前期の反動減が見られたものの、自社営業強化による新規顧客獲得により画像処理収入などが堅調だった。利益面は、人員不足となっていた画像加工部門のオペレーターを積極的に採用(新卒)したことに加えて、前期末にベースアップを実施したため人件費が増加して減益だった。

 写真集関連のフォトブック事業は売上高が26億87百万円で営業利益が5億15百万円(同、売上高が27億33百万円で営業利益が5億83百万円)だった。売上面は、プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」が前期にコロナ禍待機の解消でウエディング関連が増加していた反動で苦戦したことに加え、一般消費者向け「マイブック」とOEMが海外旅行回復遅れや撮影写真アウトプット減少の影響で厳しい状況が継続した。利益面は、コスト削減を推進したものの、稼働率の低下、固定費の負担増加、原材料価格の上昇などの影響を受けた。

 空中結像プレートASKA3Dの空中ディスプレイ事業は、売上高が1億13百万円で営業利益が2億34百万円の損失(同、売上高が1億28百万円で営業利益が2億24百万円の損失)だった。国内はサイネージや空中操作案件を中心に堅調だったが、海外の案件の進捗遅れが継続した。利益面は、仕損じの減少や採算の良い案件の増加で粗利率が上昇したが、人件費、研究開発費、特許関連費用の増加などが影響した。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期(非連結)は売上高が16億09百万円で営業利益が28百万円、第2四半期(非連結)は売上高が16億42百万円で営業利益が62百万円、第3四半期(連結)は売上高が19億50百万円で営業利益が2億46百万円だった。下期の構成比が高い季節特性がある。

 通期の連結業績予想(3月11日付で公表)は売上高が70億90百万円、営業利益が4億44百万円、経常利益が4億69百万円、親会社株主帰属当期純利益が3億10百万円としている。配当予想は据え置いて23年4月期比2円減配の7円(期末一括)としている。予想配当性向は37.2%となる。

 23年4月期の非連結業績との単純比較で見ると、売上高は2%増収、営業利益は24%減益、経常利益は24%減益、親会社株主帰属当期純利益は36%減益の形となる。BETの新規連結(PLは3ヶ月分を連結)が貢献するが、人件費などの増加に加え、M&A関連費用なども影響する見込みだ。

 第3四半期累計の進捗率は売上高73%、営業利益76%、経常利益76%、親会社株主帰属当期純利益75%となる。下期偏重の季節要因があり、フューネラル事業において新卒オペレーターが戦力化することなども勘案すれば、通期会社予想の達成は可能だろうと考えられる。

■株価は下値限定的

 株価は反発力が鈍く安値圏だ。目先的には24年4月期連結業績予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。3月11日の終値は644円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS18円81銭で算出)は約34倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約1.1%、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS373円19銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約112億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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