【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エストラストは調整の最終局面、低PERを見直し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エストラスト<3280>(東1)は山口県および福岡県を地盤とする不動産デベロッパーである。株価は全般地合い悪化も影響して再び水準を切り下げたが、7月の年初来安値に接近して調整の最終局面のようだ。1桁台の低PERも見直して反発のタイミングだろう。

■山口県・福岡県を地盤とする不動産デベロッパー

 山口県および福岡県を地盤とする不動産デベロッパーである。一次取得ファミリー型の新築分譲マンション「オーヴィジョン」シリーズ、およびハイクオリティ・ミドルプライスの新築戸建住宅「オーヴィジョンホーム」の不動産分譲事業を主力として、不動産賃貸事業、および「オーヴィジョン」マンション管理受託の不動産管理事業(連結子会社トラストコミュニティ)も展開している。

 15年2月期末時点でマンション供給は累計68棟・3389戸となった。そして14年のマンション販売実績は九州・山口エリアで5位、山口県では1位(13年に続いて2年連続の1位)である。

 重点エリアである福岡県での事業展開加速に向けて、13年6月に第三者割当増資によって、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>傘下の福岡銀行との関係を強化している。また14年3月には山口県内最大のオフィス街に立地する下関第一生命ビルディング(山口県下関市)を取得して、不動産賃貸事業の収益基盤を強化した。

 15年1月には「オーヴィジョン下関海峡テラス」「オーヴィジョン広島パークサイド」「オーヴィジョン飯塚本町」の各プロジェクト、15年4月には「オーヴィジョン新下関駅南」プロジェクト、15年5月には「オーヴィジョン新山口駅ネクシア」「オーヴィジョン青山グランテラス」の各プロジェクト、15年6月には「オーヴィジョン舞鶴」プロジェクト、15年8月には「オーヴィジョン防府駅天神口」プロジェクトが始動した。

■16年2月期は営業微減益の会社予想だが増額余地

 15年2月期の四半期推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)3億60百万円、第2四半期(6月~8月)48億84百万円、第3四半期(9月~11月)49億65百万円、第4四半期(12月~2月)17億32百万円で、営業利益は第1四半期2億12百万円の赤字、第2四半期6億50百万円、第3四半期7億32百万円、第4四半期8百万円だった。引き渡し物件によって変動する収益構造だ。

 また15年2月期の配当性向は9.6%だった。そしてROEは14年2月期比8.7ポイント低下して21.3%、自己資本比率は同6.3ポイント上昇して28.5%だった。

 今期(16年2月期)の連結業績予想(4月9日公表)は、売上高が前期比9.7%増の131億円、営業利益が同3.3%減の11億40百万円、経常利益が同1.7%増の9億70百万円、純利益が同2.4%増の6億円としている。

 配当予想は年間8円(第2四半期末4円、期末4円)としている。予想配当性向は8.2%となる。前期比2円減配の形だが、前期の年間10円には第2四半期末の市場変更記念配当2円を含んでいるため、普通配当ベースでは前期と同額である。

 第1四半期(3月~5月)は売上高が前年同期比4.7倍の17億01百万円、営業利益が2億32百万円(前年同期は2億12百万円の赤字)、経常利益が1億89百万円(同2億88百万円の赤字)、純利益が1億13百万円(同1億77百万円の赤字)だった。

 不動産事業における引き渡し戸数は分譲マンションが0戸(前年同期比1戸減少)、分譲戸建が9戸(同1戸減少)だったが、分譲マンション開発目的で取得した不動産の売却で大幅増収となり、各利益とも黒字化した。また不動産管理事業のマンション管理戸数は2139戸(同429戸増加)で順調に増加している。

 通期ベースでの不動産販売事業における引き渡し予定戸数は、分譲マンションが同59戸減少の370戸、分譲戸建が同29戸増加の65戸としている。そして分譲マンションは引き渡し予定戸数370戸に対して、第1四半期末時点で306戸が契約済みであり、契約進捗率は82.7%に達している。なお売上高の計画はマンション分譲が同3.4%増の108億78百万円、戸建が同84.6%増の17億20百万円としている。

 分譲マンション引き渡し戸数の減少、分譲マンション建設費の上昇、プロジェクト先行費用などを考慮して、会社予想は増収ながら営業利益は微減益としている。ただし契約済みの分譲マンションおよび戸建住宅の引き渡しが順調に進み、不動産管理事業の管理戸数増加や不動産賃貸事業のポートフォリオ充実も寄与する。会社予想は保守的な印象も強く増額余地があるだろう。

■九州・山口エリアでのNO.1デベロッパーを目指す

 中期経営計画では九州・山口エリアでのNO.1デベロッパーを目指し、福岡県および九州主要都市への進出加速、九州・山口エリアでのマンション年間供給500戸体制構築、山口県での戸建住宅年間供給100戸体制の構築、ストック型ビジネスとなる不動産管理事業でのマンション管理戸数拡大、不動産賃貸事業での収益物件長期保有による収益基盤強化などを推進している。

 目標値としては16年2月期の新築分譲マンション引き渡し戸数494戸、売上高130億円、営業利益12億50百万円、経常利益12億円、純利益7億20百万円を掲げている。

 16年2月期業績の会社予想では、分譲マンション引き渡し戸数および利益が計画未達成の形となるが、約3年分の供給物件(事業用地取得済プロジェクト17棟、計画戸数1186戸、総売上高305億円、および分譲開始プロジェクト6棟、分譲中プロジェクト488戸、分譲中売上高124億円)を確保済みである。中期成長シナリオに変化はないだろう。

 事業展開の重点エリアとしている福岡市では、国家戦略特区に指定されたことも背景として、一段と人口増加傾向を強めることが予想される。日銀の金融緩和やアベノミクス重点戦略「地方創生」も追い風だ。成長市場への事業展開を加速して中期的に収益拡大基調が期待される。

■株価は調整の最終局面、低PERを見直し

 株価の動きを見ると、7月9日の年初来安値590円から一旦反発したが、地合い悪化の影響も受けて再び水準を切り下げた。8月21日は悪地合いの中で604円まで調整する場面があった。ただし年初来安値を割り込むことなく終値では614円まで戻している。下値を確認した形であり、調整の最終局面のようだ。

 8月21日の終値614円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS97円29銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS551円06銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえているが、7月の年初来安値に接近して調整の最終局面のようだ。1桁台の低PERを見直して反発のタイミングだろう。

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