インフォマートは23年12月期増益予想、さらに2回目の上振れの可能性

(決算速報)
インフォマート<2492>(東証プライム)は、7月31日の取引時間終了後に23年12月期第2四半期累計連結業績(7月21日付で2回目の上方修正)を発表した。利用企業数が順調に増加し、前回予想(23年4月28日付の上方修正値に対して減益幅が縮小して着地した。そして通期は従来の減益予想から一転して増益予想(7月21日付で上方修正)とした。利用企業数が順調に増加し、販管費が想定を下回ることも寄与する見込みだ。修正後の通期予想に対する第2四半期累計の利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることやストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は2回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は底放れの形となって戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■23年12月期は一転増益予想、さらに2回目の上振れの可能性

23年12月期第2四半期累計連結業績(7月21日付で2回目の上方修正)は、売上高が前年同期比18.7%増の62億69百万円、営業利益が17.3%減の3億65百万円、経常利益が24.9%減の3億10百万円、親会社株主帰属四半期純利益が20.8%減の2億17百万円だった。

利用企業数が順調に増加し、前回予想(23年4月28日付の上方修正値、売上高61億18百万円、営業利益2億円、経常利益1億63百万円、親会社株主帰属四半期純利益1億20百万円)に対して、減益幅が縮小して着地した。

前年同期比では、ソフトウェア償却費や手数料など原価の増加、人件費や販売促進費など販管費の増加により減益だった。営業利益▲77百万円の要因分析は、BtoB-PF ES事業の売上増加+6億27百万円、BtoB-PF FOOD事業の売上増加+3億57百万円、データセンター費の増加▲76百万円、ソフトウェア償却費の増加▲2億06百万円、手数料等の増加▲1億94百万円、人件費の増加▲1億95百万円、販売促進費の増加▲1億34百万円、その他販管費の増加▲2億55百万円だった。

BtoB-PF FOOD事業の売上高は前年同期比9.6%増の40億94百万円だった。BtoBプラットフォーム受発注、受発注ライト、TANOMUの利用企業数が順調に増加し、フード業界の買い手企業(外食チェーン、ホテル、給食等)および店舗からのシステム使用料売上が増加した。外食の復調に伴う食材流通金額の増加により、売り手企業からの従量制システム使用料も増加した。

BtoB-PF ES事業の売上高は40.6%増の21億75百万円だった。BtoBプラットフォーム請求書は、企業のデジタル化推進、インボイス制度の開始と電子帳簿保存法改正に向けた顧客ニーズの高まりも背景として受取モデル・発行モデルの利用企業数が増加した。TEADEの利用も拡大した。

23年12月期第2四半期末時点の全社ベースの利用企業数は22年12月期末比9.2%増の90万1715社、事業所数は10.4%増の168万5343事業所となった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が30億16百万円で営業利益が1億66百万円、第2四半期は売上高が32億53百万円で営業利益が1億99百万円だった。

そして通期連結業績予想(7月21日付で上方修正)は売上高が22年12月期比19.3%増の131億32百万円、営業利益が21.6%増の6億40百万円、経常利益が15.2%増の5億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が24.4%増の3億56百万円としている。配当予想(7月21日付で上方修正)は22年12月期比25銭増配の97銭(第2四半期末48銭、期末49銭)としている。

前回予想(2月14日付公表値)に対して、売上高は2億円、営業利益は3億40百万円、経常利益は3億18百万円、親会社株主帰属当期純利益は2億09百万円、それぞれ上回り、従来の減益予想から一転して増益予想とした。利用企業数が順調に増加して売上高が想定を上回り、販管費が人件費を中心に想定を下回ることも寄与する見込みだ。営業利益の上方修正幅3億40百万円の内訳は増収で2億円、コスト未発生で1億39百万円としている。

修正後の売上高計画は、BtoB-PF FOOD事業が9.3%増の84億42百万円(前回予想は7.9%増の83億35百万円)で、BtoB-PF ES事業が43.1%増の46億89百万円(同40.2%増の45億96百万円)としている。コスト面の計画は売上原価が22.2%増の57億93百万円(同20.0%増の56億89百万円)で、販管費が16.7%増の66億99百万円(同21.0%増の69億42百万円)としている。売上原価ではサーバー増強に伴うデータセンター費の増加が概ね一巡するが、BtoBプラットフォーム請求書に関するアライアンスパートナー経由の新規有料契約数の増加に伴って紹介手数料が想定よりも増加する見込みだ。販管費では保守的に計画した人件費などの未発生により想定を下回る見込みとなった。

修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48%、営業利益が57%、経常利益が58%、親会社株主帰属当期純利益が61%である。利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることや、ストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は2回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は底放れの形となって戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月31日の終値は423円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円56銭で算出)は約271倍、今期予想配当利回り(会社予想の97銭で算出)は約0.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円59銭で算出)は約8.5倍、そして時価総額は約1097億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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