アルコニックスは24年3月期1Q大幅減益、通期は下期からの需要回復で利益横ばい予想を据え置き

(決算速報)
 アルコニックス<3036>(東証プライム)は8月7日の取引時間中に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。資源高などにより好調だった前年同期との比較で非鉄金属市況の下落、スマホ関連の需要減少、コスト増加分の価格転嫁のタイムラグなどにより減収・大幅減益だった。ただし通期の利益横ばい予想を据え置いた。下期に向けて自動車やスマホ関連の生産が持ち直す見込みとしている。経常利益は23年3月期第4四半期をボトムとして回復基調であり、積極的な事業展開で下期の収益回復基調を期待したい。株価は小幅レンジでモミ合う形だ。そして第1四半期業績に対するネガティブ反応は限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡してモミ合いから上放れの展開を期待したい。

■24年3月期1Q大幅減益、下期からの需要回復で通期予想据え置き

 24年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比9.5%減の423億70百万円、営業利益が59.4%減の15億95百万円、経常利益が64.0%減の15億30百万円、親会社株主帰属四半期純利益が68.4%減の8億58百万円だった。

 資源高などにより好調だった前年同期との比較で、非鉄金属市況の下落、スマホ関連の需要減少、コスト増加分の価格転嫁のタイムラグなどにより減収・大幅減益だった。経常利益▲27億円の要因分析は、市況・為替要因(特にニッケルの市況下落)で▲13億円、数量要因で▲2億円、その他要因(レアメタル・レアアース取引や製造セグメントにおける売上総利益変動)で▲2億円、販管費増加(フル連結した製造子会社2社の販管費、および連結全体での人員増加)等で▲5億円、営業外損益で▲3億円としている。なお特別利益では前年同期計上の負ののれん発生益1億84百万円が剥落した。

 セグメント別利益(セグメント間利益消去前経常利益)は、商社流通の電子機能材がニッケル市況下落やスマホ向け電池材料の取扱数量減少などで76.2%減の4億36百万円、商社流通のアルミ銅が前年の市況高騰の反動や伸銅品の在庫調整局面などの影響で80.9%減の1億83百万円、製造の装置材料がコスト増加分の価格転嫁のタイムラグなどで99百万円の損失(前年同期は4億26百万円の利益)、製造の金属加工が新規連結効果で2桁増収だがコスト増加分の価格転嫁のタイムラグなどで3.0%減の10億06百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比4.3%増の1860億円、営業利益が0.1%増の84億円、経常利益が0.3%増の82億円、親会社株主帰属当期純利益が0.2%増の55億円としている。配当予想は23年3月期と同額の54円(第2四半期末27円、期末27円)としている。

 第1四半期は大幅減益だったが、下期に向けて自動車やスマホ関連の生産が持ち直す見込み、増収・利益横ばい予想としている。セグメント別利益(セグメント間利益消去前経常利益)は、商社流通の電子機能材が41.7%減の21億円、商社流通のアルミ銅が23.2%減の9億円、製造の装置材料が60.2%増の16億円、製造の金属加工が49.0%増の36億円としている。

 経常利益の四半期別推移を見ると、23年3月期第1四半期が42億51百万円、第2四半期が18億54百万円、第3四半期が15億45百万円、第4四半期が5億26百万円、そして24年3月期第1四半期が15億95百万円となる。経常利益は23年3月期第4四半期をボトムとして回復基調であり、積極的な事業展開で下期の収益回復基調を期待したい。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は動意に乏しく小幅レンジでモミ合う形だ。そして第1四半期業績に対するネガティブ反応は限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡してモミ合いから上放れの展開を期待したい。8月7日の終値は1368円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS182円68銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の54円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2075円25銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約425億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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