【アナリスト水田雅展の銘柄分析】マルマエは売り一巡、今期業績に上振れ余地があり、切り返しのタイミング

銘柄分析

 精密部品加工のマルマエ<6264>(東マ)の株価は、8月の年初来高値1468円から利益確定売りで反落し、今期(15年8月期)減益見通しで10月16日の765円まで調整した。ただしその後は800円近辺で推移している。売りがほぼ一巡したようだ。今期業績見通しに上振れ余地があり、収益改善基調を評価して切り返しのタイミングだろう。

 半導体やFPD(フラットパネルディスプレー)などの製造装置に使用される真空部品や電極などの精密加工事業を展開し、新規分野として光学装置分野の精密加工も強化している。11年7月に事業再生ADRが成立し、売上拡大と生産性向上に取り組んでいる。

 10月14日に発表した前期(14年8月期)業績(非連結)(8月8日に増額修正)は、売上高が前々期比36.4%増の15億85百万円、営業利益が同2.1倍の2億67百万円、経常利益が同98.8%増の2億55百万円、純利益が同3.7倍の3億02百万円だった。

 半導体分野が牽引して大幅増収となり、増収効果や生産性向上効果で売上原価率は71.7%となり同2.7ポイント改善した。受注高も同43.8%増の16億21百万円と高水準だった。FPD分野が同31.1%減の4億06百万円と低調だったが、半導体分野が同49.9%増の7億69百万円と回復傾向を強め、その他分野もスマートフォン関連の新規顧客開拓などが寄与して4億45百万円と大幅に増加した。期末の受注残高は1億63百万円となり前々期末に比べて60.9%増加した。

 今期(15年8月期)の業績(非連結)見通しについては、売上高が前期比0.9%増の16億円、営業利益が同17.8%減の2億20百万円、経常利益が同21.7%減の2億円、純利益が同30.6%減の2億10百万円としている。不透明要因が多いためFPD分野とその他分野の受注を保守的な見通しとしている。

 14年9月度の月次受注残高(速報値)を見ると、半導体分野が1億05百万円、FPD分野が40百万円、その他分野が12百万円、合計が1億58百万円で、前月比では3.2%減少だが、前年同月比では44.4%増加となった。FPD分野がやや低調だったが、半導体分野が順調に推移した。今後の見通しとして半導体分野の受注・売上増加傾向が継続する見通しとしている。今期業績の会社見通しには保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。事業再生計画は順調に進展しており、一段の収益改善が期待されるだろう。

 株価の動き(14年3月1日付けで株式100分割)を見ると、8月の年初来高値1468円から利益確定売りで反落し、今期減益見通しで10月16日の765円まで調整した。ただしその後は800円近辺で推移している。売りがほぼ一巡したようだ。

 10月29日の終値802円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS120円37銭で算出)は6~7倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS86円03銭で算出)は9倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。今期業績見通しに上振れ余地があり、収益改善基調を評価して切り返しのタイミングだろう。

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