マーケットエンタープライズは24年6月期大幅増収増益予想

(決算速報)
マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は8月14日に23年6月期連結業績を発表した。大幅増収で黒字転換した。そして24年6月期も大幅増収増益予想としている。第1四半期は新規拠点開発に伴って費用が先行するが、通期ベースでは全セグメントが順調に拡大する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は決算発表を機に急落の形となったが、目先的な利益確定売りが一巡して出直りを期待したい。

■23年6月期大幅増収・黒字転換、24年6月期大幅増収増益予想

23年6月期の連結業績は、売上高が22年6月期比27.3%増の152億57百万円、営業利益が94百万円(22年6月期は3億19百万円の損失)、経常利益が2億78百万円(同3億28百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が2億90百万円(同4億04百万円の損失)だった。

大幅増収で黒字転換した。営業利益+4億13百万円の要因分析は増収要因+11億65百万円、粗利益率改善+3億87百万円、人件費・採用費増加▲5億円、広告宣伝費増加▲2億75百万円、その他販管費増加▲2億30百万円、拠点関連費増加▲72百万円、信託型ストックオプション一時費用▲60百万円だった。

計画との比較では、売上高は全体としては計画水準だったものの、ネット型リユース事業の売上高が計画を下回ったことに加えて、信託型ストックオプション関連費用計上や新規拠点開設前倒しに伴う費用増加など一過性要因により、営業利益は計画を2億05百万円下回った。経常利益については、SBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約により発生したデリバティブ評価益2億19百万円を計上して計画水準で着地した。親会社株主帰属当期純利益については、投資有価証券売却益3億45百万円を計上して計画を上回った。

ネット型リユース事業は、売上高が26.6%増の83億92百万円(計画は98億04百万円)で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が195.6%増の3億29百万円だった。売上高の内訳は個人向けリユースが19.6%増の61億46百万円、マシナリー(農機具)が54.1%増の21億04百万円、おいくらが12.8%増の1億41百万円だった。個人向けリユースがバイヤーの採用・育成遅延などにより、おいくらが従量課金から月額課金への変更に伴う一時的現象により、いずれも計画を下回ったものの、前期比では各事業とも大幅伸長した。

メディア事業は、売上高が29.4%増の7億75百万円で、利益が28.3%増の4億43百万円だった。主力のモバイル通信分野を中心に、グループ内外各分野への送客数が増加した。

モバイル通信事業は、メディア事業との連携強化や新規回線獲得数の増加などにより、売上高が27.6%増の62億04百万円、利益が236.8%増の4億54百万円だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が36億71百万円で営業利益が57百万円の損失、第2四半期は売上高が37億15百万円で営業利益が14百万円、第3四半期は売上高が37億76百万円で営業利益が83百万円、第4四半期は売上高が40億94百万円で営業利益が55百万円だった。なお第4四半期は一過性要因を除くベースでは1億15百万円だった。第2四半期から営業黒字基調となった。

24年6月期の連結業績予想は、売上高が23年6月期比31.1%増の200億円、営業利益が745.3%増の8億円、経常利益が167.5%増の7億45百万円、親会社株主帰属当期純利益が27.4%増の3億70百万円としている。全セグメントとも伸長して大幅増収増益予想としている。

セグメント別売上高の計画は、ネット型リユース事業が45.4%増の122億円(個人向けリユースが46.4%増の90億円、マシナリーが42.6%増の30億円、おいくらが41.2%増の8億円)、メディア事業が3.1%増の8億円、モバイル通信事業が12.8%増の70億円としている。

24年6月期も大幅増収増益予想としている。第1四半期は新規拠点開発に伴って費用が先行するが、通期ベースでは全セグメントが順調に拡大する見込みだ。なお、前期計上したSBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約により発生したデリバティブ評価益については、23年6月末現在と同等の株価水準を前提としている。特別利益では投資有価証券売却益が剥落する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は目先的な利益確定売り一巡

株価は決算発表を機に急落の形となったが、目先的な利益確定売りが一巡して出直りを期待したい。8月15日の終値は1227円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS69円50銭で算出)は約18倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS253円92銭で算出)は約4.8倍、時価総額は約65億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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