【株式評論家の視点】アライドテレシスの今期は赤字幅縮小、関連会社上場で売却益

株式評論家の視点

アライドテレシスホールディングス<6835>(東2)は、ダイレクトタッチのソリューション営業を推進するほか、高付加価値サービスの販売を強化している。技術面ではソフトウェアでネットワークを制御するSDNや、IPカメラに各種センサーを統合したセキュリティ監視プラットフォーム『Envigilant』などの最新の技術開発に取り組んでいる。中でも、市場の関心が高いSDN関連の製品開発と拡販に注力し、『2つのSDN』を戦略として掲げ、昨年国際的な賞を受賞するなど好評を得ている『AMF』機能のソフトウェアライセンス拡販を図っているほか、もう一つのSDNとして『Secure Enterprise SDN Solution』を開発し、製品化を進めている。

今2015年12月期・第2四半期業績実績は、売上高131億3300万円(前年同期比5.6%減)、営業損益20億4800万円の赤字(同14億5700万円の赤字)、経常損益18億5500円の赤字(同19億9600万円の赤字)、最終損益21億3300万円の赤字(同20億5500万円の赤字)に着地。

通期業績予想は、売上高336億円(前期比11.2%増)、営業損益5億4000万円の赤字(同18億4300万円の赤字)、経常損益7億円の赤字(同3億6700万円の赤字)、最終損益16億円の赤字(同39億5400万円の赤字)と赤字幅縮小を見込んでいる。

第2四半期では、案件ベースでの販売は堅調に推移したものの、国内の代理店間接販売の取引量が縮小、アジア・オセアニアでの販売鈍化、円安進行により研究開発費が増加、欧州での組織再編の実施を含め全般的な経費圧縮を図ったほか、減価償却費の減少により販売費及び一般管理費はほぼ横ばいも赤字幅は広がったが、第3四半期において持分法適用関連会社であるアイビーシー株式会社のマザーズ市場への上場(9月15日予定)に伴い、保有株式の55%(129,800株)を売却し、特別利益3億円(見込み)を計上する見通しで、通期業績に与える影響については、現在精査中としている。

株価は、 1月9日につけた年初来高値107円から8月25日に年初来の安値54円まで5割の調整を挟んで8月31日高値69円と上昇。その後、モミ合っている。

8月31日に同社のグループ会社、Allied Telesis Asia Pacific Ltd(本社:シンガポール)が提供するソリューションが、メインコントラクターの三菱重工業を通じて、スリランカにおける南部高速道路の交通管制システムのICTインフラに採用され、2015年7月に完工と発表。今回導入された交通管制システムは、高速道路の利用者へ、雨天時や交通事故発生時に各種交通情報を適切に提供し、渋滞や二次被害を防ぎ、安全で円滑な高速道路交通を実現していくためのシステム。今後も、海外におけるICTインフラ構築に貢献する、ICTソリューションとサービスを提供することへの期待感が高まる。ここから年初来の安値に接近する場面に注目したい。(アナリスト&株式評論家・信濃川)

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