【忠田公夫の経済&マーケット展望】日本株の買い場接近、NYダウは量的緩和終了を織込み中

忠田公夫の経済&マーケット展望

7月5日付けの当欄でテクニカル分析の視点に立脚して、「6月29日にNYダウが終値ベースで、3月2日の1万8288ドルの高値と5月19日の1万8312ドルの高値(ダブルトップ)の間の安値1万7635ドルを静かに割り込んだ事実(6月29日の終値1万7596ドル)を見過ごしてはならない。今後3週間で1万8150ドルをブレイクできないようだと、さらなる下値模索を余儀なくされそうだ」と指摘した。

NYダウはその後、7月16日に終値で1万8120ドルまで反発したものの、これが戻り高値となり、8月25日には1万5666ドルまで下落するに至ったのである。

では、今回のNYダウの下落は一体、何を示唆しているのだろうか。08年9月のリーマン・ショック後の未曽有の金融危機(当時、グリーンスパン元FRB議長は50年に一度の危機と形容した)を克服するために、米国政府は財政支出や不良債権処理策などあらゆる対策を講じたのは周知の通り。

なかでも、FRBが3度にわたり実施した量的緩和策(QE1・QE2・QE3)による市場への大量の資金供給が、資産価格の大幅な上昇や新興国におけるドル建て資金の調達に多大の貢献をしてきた。

このような努力が結実し、NYダウは09年3月9日の終値6547ドルを大底として、今年5月19日の同1万8312ドルの高値まで、6年2か月余りの間に1万2千ドル近い大幅な値上がり(時価総額の大幅な拡大は米国経済に膨大な資産効果をもたらした)を実現したのである。

この株価上昇の原動力とも言える量的緩和策が終了し、FRBは諸情勢をよく見極めたうえで、最初の利上げを遠からず実施しようとしている。つれて、米国の投資信託やヘッジファンド、年金などが新興国に投資してきた大量の資金にも少なからず影響が及ぶことは不可避と見られる。

つまり、今回の大幅な下げは、量的緩和策による米国経済の正常化を先取りして上昇してきた相場がいったん終わりを告げたことを物語っているのではないだろうか。下げを増幅した中国リスクへの警戒は怠れないが、好業績の日本株の買い場は徐々に接近しつつある、と見ている。(忠田公夫=アナリスト)

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