日本製鉄グループが米鉄鋼最大手USスチールを買収、先進国最大の市場での高級鋼需要など期待

■鉄鋼業界は20年前に国内外で合併や連携、これに続く再編が胎動の見方

 日本製鉄<5401>(東証プライム)は12月18日夜、米国子会社による米製鉄最大手のUSスチール(United States Steel Corporation)の買収・合併を発表した。

 USスチールと日本の製鉄会社との資本提携や戦略的提携では、2001年1月に神戸製鋼所<5406>(東証プライム)がUSスチールと「自動車用鋼板技術に関する全面提携」を発表し、注目を集めたことがある。

 日本製鉄は18日夜、米国子会社による米製鉄最大手のUSスチールの買収・合併を発表した。「米国鋼材市場は国内需要が今後も安定的に伸長すると見込まれていることに加えて、先進国最大の市場であり、高水準の高級鋼需要が期待できることから、当社の培ってきた技術力・商品力を活かせる地域」であり、「本買収は、当社の海外事業戦略に合致するだけなく、規模及び成長率が世界的に見ても大きいインド、ASEANに加えて、先進国である米国に鉄源一貫製鉄所を持つことによるグローバル事業拠点の多様化の観点からも、大きな意義のある投資と判断」した。

 USスチールは、23年8月に外部からの資本受け入れなどの「身売り」を含めた新路線を明らかにしていたとされる。これに欧州・インド地域の鉄鋼最大手アルセロール・ミッタルなどが触手を伸ばしていたと伝えられていた。

 アルセロール・ミッタルは、2006年にミッタル・スチール(オランダ)、アルセロール(ルクセンブルク)、ユジノール(仏)の統合によってスタートした世界的大手。日本製鉄は、2001年に旧・ユジノールと、やはり自動車用鋼板などで戦略提携したことがある。この頃は、日本の鉄鋼会社は米ベツレヘム・スチールや独ティッセン・クルップなどとの提携を相次いで発表し、注目を集めた。これら約20年前の国際連携に続いて、自動車の軽量化に向けた新素材の開発・低コスト化に向けた業界再編の動きが国際規模で胎動し始めたとの見方も出ている。

 日本製鉄グループは、「グローバル粗鋼1億トン体制」を目指しており、一貫生産体制の拡大に当たっては、買収・資本参加(ブラウンフィールド)等による一貫製鉄所の取得、既存拠点の能力拡張を基本戦略としており、2019年12月にインドのEssar Steel India Limited(現AM/NS India)、22年3月にタイのGsteel及びGJ steelを買収致した。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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