Jトラストは24年12月期減益予想だが保守的

(決算速報)
 Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は、2月13日の取引時間終了後に23年12月期連結業績を発表した。営業収益は各事業が伸長し、大幅増収で過去最高と順調だった。営業利益は韓国およびモンゴル事業において22年12月期に計上した負ののれん発生益の剥落により減益だが、当期利益は繰延税金資産取崩により増益だった。24年12月期は不動産事業において23年12月期に計上した負ののれん発生益の剥落により減益予想としているが、保守的な印象が強い。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。なお自己株式取得・消却および株主優待制度内容変更も発表した。株価は急落してモミ合いから下放れの形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。

■23年12月期営業減益・最終増益、24年12月期減益予想

 23年12月期の連結業績(IFRS)は営業収益が22年12月期比39.3%増の1142億79百万円、営業利益が44.8%減の80億59百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が26.3%増の159億51百万円だった。配当は22年12月期比4円増配の14円(第2四半期末1円、期末13円)とした。連続大幅増配予想で配当性向は11.9%となる。

 営業収益は各事業が伸長し、大幅増収で過去最高と順調だった。営業利益は韓国およびモンゴル事業において22年12月期に計上した負ののれん発生益の反動により減益だが、当期利益は繰延税金資産取崩により増益だった。

 日本金融事業の営業利益は18.4%増の46億56百万円だった。営業収益はJTG証券およびNexus Cardの連結、割賦取扱高増加などにより大幅増収となり、利益面は債権回収や保証事業の好調推移、証券業務における外国為替売買・換算損の減少などにより、販管費の増加、前期のJTG証券の取得に伴う負ののれん発生益の反動影響などを吸収した。

 韓国およびモンゴル金融事業の営業利益は33億34百万円の損失(22年12月期は144億37百万円の利益)だった。JT親愛貯蓄銀行の連結も寄与して大幅増収だが、前期のJT親愛貯蓄銀行の取得に伴って計上した負ののれん発生益(97億円)の剥落、貯蓄銀行業における預金利息費用の増加、景気悪化および債権不良化による貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の増加などにより大幅減益だった。

 東南アジア金融事業の営業利益は10億19百万円の損失(同2億48百万円の利益)だった。銀行業における貸出金増加や保有有価証券増加に伴う利息収支増加などで大幅増収だが、預金残高の増加や基準金利の上昇に伴う預金利息費用の増加で減益だった。

 不動産事業の営業利益は108億10百万円(同94百万円)だった。Jグランドの不動産販売収益の増加、グローベルスの連結に加えて、吸収合併したミライノベートの取得に係る負ののれん発生益計上が寄与した。

 投資事業の営業利益は20億72百万円の損失(同22億05百万円の損失)で、その他事業の営業利益は55百万円の損失(同1億08百万円の利益)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が261億36百万円、営業利益が92億93百万円、純利益が91億24百万円、第2四半期は営業収益が275億13百万円、営業利益が6億88百万円の損失、純利益が69億07百万円、第3四半期は営業収益が309億28百万円、営業利益が25億29百万円、純利益が23億09百万円、第4四半期は営業収益が297億02百万円、営業利益が30億75百万円の損失、純利益が23億89百万円の損失だった。なお収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで変動する可能性がある。

 24年12月期の連結業績予想は営業収益が23年12月期比12.0%増の1280億円、営業利益が8.2%減の74億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が59.9%減の64億円としている。配当予想は23年12月期と同額の14円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 セグメント別営業利益計画は、日本金融事業が22.9%増の57億22百万円、韓国およびモンゴル金融事業が8億37百万円(23年12月期は33億34百万円の損失)、東南アジア金融事業が17億32百万円(同10億19百万円の損失)、不動産事業が89.5%減の11億33百万円、投資事業が1億53百万円(同20億72百万円の損失)、その他事業が50百万円(同55百万円の損失)としている。

 日本金融事業は信用保証業務、債権回収業務、証券業務が順調に伸長して大幅増益を見込む。韓国およびモンゴル金融事業は質の成長を目指し、貯蓄銀行業務と債権回収業務による安定的な利息収益計上を見込む。東南アジア金融事業は、インドネシアでは銀行業務の積極的な貸出残高の増強など、債権回収業務の買取債権増加による収益機会の拡大、カンボジアでは富裕者層顧客のニーズを汲み取った商品開発などを推進する。不動産事業では総合不動産会社として商品ブランド認知に注力する。投資事業では裁判費用等の回収コストを抑制しつつ、GL社に対する債権回収強化を図る。

 24年12月期は不動産事業において23年12月期に計上した負ののれん発生益の剥落により減益予想としているが、保守的な印象が強い。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は急落してモミ合いから下放れの形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。2月14日の終値は425円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円61銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1104円10銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約625億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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