ソフトクリエイトホールディングスは上値試す、24年3月期2桁増収増益予想で25年3月期も収益拡大基調

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。24年3月は2桁増収増益予想(23年10月24日付で上方修正)としている。第3四半期累計の進捗率が高水準であり、クラウドサービスの収益が積み上がる収益構造なども勘案すれば、通期会社予想に再上振れの可能性がありそうだ。さらに積極的な事業展開で25年3月期も収益拡大基調だろう。株価はモミ合いから上放れの形となって徐々に水準を切り上げている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

 ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。

 23年3月期は、ECソリューション事業の売上高が22年3月期比14.9%増の133億18百万円で経常利益(全社費用等調整前)が7.8%増の33億65百万円、ITソリューション事業の売上高が13.4%増の109億34百万円で経常利益が9.1%増の26億19百万円だった。売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築ecbeingが16.8%増の93億円、デジタルマーケティングが2.4%増の28億円、クラウドサービスが36.2%増の12億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が19.1%増の55億円、パッケージが0.6%減の17億円、ITクラウドが16.3%増の19億円、IT機器販売が9.8%増の18億円だった。

 ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。市場シェアは15年連続1位(出典:富士キメラ総研のソフトウェアビジネス新市場2023年版による「ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査」で市場シェア57.1%)である。

 22年2月にはecbeingが、海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo」を展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingが、MicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、強力な自然言語処理モデル「ChatGPT」を組み込んだAIチャットボットシステム「AIデジタルスタッフ」をリリースした。

 ITソリューション事業は、連結子会社ソフトクリエイトの自社開発「SCクラウド」、不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」、システムインテグレーション・IT機器販売、および連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型「AgileWorks」、クラウド型「X-point Cloud」)を主力としている。

 23年7月にはソフトクリエイトが、日本マイクロソフトの「マイクロソフトジャパンパートナーオブザイヤー2023」において、「Secure identities and access アワード」および「Community Response アワード」の2部門でダブル受賞した。

 エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は4000社を突破している。そしてクラウド型「X-point Cloud」は、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。また23年12月には「X-point Cloud」が、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する令和3年度改正基準の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得した。

 成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービス「メルカート」、ビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「Revico」、「サイトミライズ」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」など)の拡販にも注力している。

■24年3月期2桁増収増益予想、さらに再上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想(23年10月24日付で上方修正)については、売上高が23年3月期比14.2%増の277億02百万円、営業利益が17.5%増の50億79百万円、経常利益が18.1%増の53億円、親会社株主帰属当期純利益が13.2%増の31億円としている。配当予想(配当性向目標を従来の30%から40%に引き上げて、23年10月24日付で第2四半期末9円、期末9円、合計18円上方修正)は48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。23年4月1日付の株式2分割遡及修正後で見ると、23年3月期の25円に対して23円増配(4期連続増配)となる。大幅増配予想で予想配当性向は38.9%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比16.3%増の207億71百万円、営業利益が20.5%増の40億72百万円、経常利益が21.1%増の43億23百万円、親会社株主帰属四半期純利益が24.3%増の26億25百万円だった。

 大幅増収増益だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、コスト増加を吸収した。経常利益(前年同期比+7.6億円)の増減要因分析は、売上総利益増加で+12.2億円、人件費増加で▲1.0億円、採用費・研修費増加で▲0.3億円、広告費増加で▲1.1億円、研究開発費増加で▲0.4億円、その他経費増加で▲1.8億円としている。

 ECソリューション事業は売上高が16.8%増の115億82百万円で利益(全社費用等調整前経常利益)が14.5%増の31億51百万円だった。主力のECサイト構築ecbeingをはじめ、各事業が好調に推移した。売上高の内訳はECサイト構築が11.1%増の76.9億円、デジタルマーケティングが27.9%増の26.8億円、ECクラウドサービスが35.4%増の12.1億円だった。

 ITソリューション事業は、売上高が15.6%増の91億89百万円で、利益が2.4%増の20億36百万円だった。利益面ではPC買替需要によるIT機器販売増加や先行投資などの影響で利益率が低下したが、売上面は順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が14.4%増の44.9億円、ITパッケージが2.6%減の12.9億円、ITクラウドサービスが19.1%増の16.8億円、IT機器が34.3%増の17.3億円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が66億54百万円で経常利益が13億55百万円、第2四半期は売上高が71億98百万円で経常利益が14億97百万円、第3四半期は売上高が69億19百万円で経常利益が13億81百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費や広告費などの増加を吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が15.2%増の153億円、ITソリューション事業が13.1%増の124億円としている。経常利益(前年同期比+8.2億円)の増減要因分析(見込み)は、売上総利益増加で+15.8億円、人件費増加で▲2.6億円、採用費増加で▲1.0億円、広告費増加で▲2.0億円、その他経費増加(税金等)で▲2.0億円としている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高75%、営業利益80%、経常利益82%、親会社株主帰属当期純利益85%だった。第3四半期累計の進捗率が高水準であり、クラウドサービスの収益が積み上がる収益構造なども勘案すれば、通期会社予想に再上振れの可能性がありそうだ。さらに積極的な事業展開で25年3月期も収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。なお株式2分割(基準日23年3月31日、効力発生日23年4月1日)に伴って、株主優待を23年9月末対象から増額(詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 株価(23年4月1日付で株式2分割)はモミ合いから上放れの形となって徐々に水準を切り上げている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月13日の終値は1949円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS123円52銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の48円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS600円51銭で算出)は約3.2倍、そして時価総額は約537億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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