ベステラは戻り試す、25年1月期は上方修正して増益幅拡大予想

 ベステラ<1433>(東証プライム)は、製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有を強みとしている。重点戦略として脱炭素解体ソリューションを推進するほか、さらなるイノベーションを産み出す土台としての人事戦略を掲げている。25年1月期は上方修正して増益幅が拡大する予想としている。前期に受注した大型工事が想定を上回るペースで順調に進捗し、スクラップ売却益や追加工事獲得なども寄与する見込みだ。老朽化プラント解体工事の増加などで中期的に事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業

 製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。主要顧客はJFEグループ、日本製鉄グループ、東京エネシス、IHIグループなどとなっている。

 20年2月にインターアクション<7725>から3Dスキャン・3Dモデリング事業およびプラント設計事業を譲り受け、新会社3Dビジュアルとして事業を開始した。21年12月には、アスベスト対策やダイオキシン対策など環境汚染対策工事に関して特殊な工事技術を保有する矢澤(東京都渋谷区)を子会社化した。23年8月には、水島コンビナートを抱える岡山県倉敷市を拠点に石油精製装置や化学装置など各種プラントの建設・メンテナンス・躯体工事を行うオダコーポレーション、およびオダコーポレーションの100%子会社でマンションや商業ビルの大規模修繕を行うTOKENを子会社化した。

 24年1月期の解体・メンテナンス事業(24年1月期第3四半期より、従来のプラント解体事業を名称変更)の完成工事高は91億36百万円、業界別構成比は電力19%、製鉄29%、石油・石化30%、ガス32%、3D1%、環境11%、その他7%だった。完成工事高のうち元請案件は32億08百万円で元請比率は35%だった。単体ベースの完成工事高は76億12百万円で工事監督者1人当たり完成工事高は1億30百万円だった。単体ベースの工事監督者数は13人増加して63人となった。受注工事高は過去最高の128億71百万円で、期末受注残高は70億87百万円となった。期末受注残高の業界別構成比は電力17%、製鉄51%、石油・石化27%、ガス1%、環境1%、その他3%となった。

■優良な顧客基盤や特許工法・知的財産の保有が強み

 大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有を強みとしている。技術関連では、球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」や火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得し、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」も開発している。さらに風力発電設備解体需要に応えるため、他社に先駆けて「マトリョーシカ式工法」「タワークレーン工法」「転倒工法」の特許工法を開発している。

 22年7月には日立パワーソリューションズと国内陸上風力発電設備の解体工事において、ベステラが保有する「発電用風車設備解体に関する特許技術(転倒工法)の実施許諾契約を締結した。22年9月には民間住宅解体分野において全国約1600社の専門工事会社と施主をマッチングするサービス「クラッソーネ」を運営するクラッソーネと資本業務提携(12.5%出資)した。

 22年10月にはクレーン測定ロボットの開発を完了し、当ロボットを用いたシステムによるクレーンレール測定サービスの提供を開始した。クレーン検査方法のデジタル技術による効率化および安全性の向上を目的としてイクシス(神奈川県川崎市)と共同開発した。

 22年12月には、一般的にガスタンクと呼ばれる球形のガスホルダーおよびこれと用途が類する円筒形タンク等の解体に関して、三谷産業<8285>と業務提携した。同社の解体技術と三谷産業のショットブラスト(表面塗装剥離)技術を融合し、除去が困難なPCB含有塗膜を安全に除去する技術を確立する。

 また22年12月には同社が保有している、陸上風力発電設備の転倒に用いる「発電用風車設備解体に関する特許技術」(転倒工法)に関して、長崎県松浦市において転倒を実施したと発表している。転倒方向を確実に制御できるため安全性が高く、大型クレーンの回送や組み立てなどで生じる費用も削減できる工法である。

■中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」

 受注環境は良好である。第5次エネルギー基本計画や、脱炭素化に向けた2050年カーボンニュートラル宣言の国策なども背景として、1960年代の高度成長期以降に建設された老朽化プラントの解体工事の増加が予想され、同社試算の市場規模は電力関連が約13兆円、製鉄関連が約2兆円、石油・石油化学関連が約8兆円、その他製造業が約20兆円+αとしている。

 22年12月公表の中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」では、基本方針に「脱炭素経営と企業風土の変革による収益力向上」を掲げ、数値目標としては26年1月期売上高120億円(脱炭素解体ソリューション90億円、DXプラントソリューション30億円)、営業利益12億円、当期純利益8億80百万円、1株当たり純利益(EPS)99円、ROE(自己資本利益率)13%、工事監督員数92人(22年1月期実績44人)としている。従来の「中期経営計画2025」の26年1月期目標値に対して売上高を20億円、営業利益を2億円、当期純利益を1億28百万円、それぞれ上方修正した。

 重点戦略として、工法によるイノベーションとしての脱炭素解体ソリューション、IT活用によるイノベーションとしてのDXプラントソリューション、さらなるイノベーションを産み出す土台としての人事戦略を掲げている。脱炭素経営を通じて企業価値・ブランド向上を実現するため、脱炭素解体に資する工法開発(リンゴ皮むき工法や風車転倒解体に続く脱炭素解体工法の開発)、解体工事のリユース・リサイクル率向上(脱炭素解体の要素技術確立とトレーサビリティ確保による付加価値創出)、脱炭素経営に紐づいた新規ビジネス創出(プラント解体工事から派生する工事以外のビジネス創出)を推進する。

 投資計画としては3年総額35億円の積極投資を実行する。内訳は、脱炭素解体ソリューションで13億円(工法開発、実証実験、M&A)、DXプラントソリューション16億50百万円(AUSE、天井クレーンロボ、遠隔・無人化施工、ロボット・システム開発、M&A)、人事戦略5億50百万円(採用・紹介、教育、M&A)としている。株主還元については配当性向40%を目安として安定的な配当を実施する。

 サステナビリティ経営に関しては21年12月にサステナビリティ基本方針を制定し、サステナビリティ委員会を設置した。23年8月には、探求型学習を通して社会参加の機会を提供しているUnpacked(東京都港区)と、Unpackedの主軸事業である「みらい事業部」(法人×U18で新しい価値を創出することを目的としたU18の企画開発チーム)でパートナーシップ提携した。24年4月には定年後再雇用制度を見直して整備した。定年後の役職・職務・等級が定年前と変わらない場合、定年前の給与を100%維持することとした。

■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。

 22年12月公表の新中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」で掲げた重点施策の着実な遂行によって業績目標の達成に取り組むとともに、プラント解体業界のリーディングカンパニーとしての社会的サステナビリティへの貢献と利益成長の両立、リスク管理体制の強化やコンプライアンスの徹底などコーポレート・ガバナンスの一層の充実に取り組むことで、さらなる企業価値の向上(時価総額の向上)を図る。流通株式数については第三者割当による第9回および第10回新株予約権(行使価額修正条項付)の行使により、流通株式数の増加を見込んでいる。これらの取り組みによって26年1月期までにプライム市場上場維持基準適合を目指すとしている。

 24年4月にはプライム市場上場維持基準適合に向けた計画に基づく進捗状況を開示した。24年1月31日時点で流通株式時価総額が基準を充たしていないが、引き続き「脱炭素アクションプラン2025」で掲げた重点施策の着実な遂行によって業績目標の達成に取り組み、企業価値の向上(時価総額の増大)に努め、26年1月期までにプライム市場上場維持基準適合を目指すとしている。

 なお24年4月には「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」をリリースした。直近4ヶ年については一過性の赤字工事の影響でROEが低下したが、中期経営計画「脱炭素アクションプラン2025」最終年度の26年1月期には一過性要因が消滅し、規模拡大によるスケールメリットにより収益体質の改善が図られる見込みであり、ROE13%以上(エクイティ・スプレッド7%)の目標を達成するとともに、PBRのさらなる向上を目指すとしている。

■25年1月期は上方修正して増益幅拡大予想

 25年1月期の連結業績予想(24年6月7日付で上方修正)は、売上高が24年1月期比17.1%増の110億円、営業利益が102.5%増の5億円、経常利益が47.2%増の6億円、親会社株主帰属当期純利益が73.1%増の4億円としている。配当予想は据え置いて24年1月期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。予想配当性向は44.3%となる。

 第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比92.4%増の29億58百万円、営業利益が17百万円(前年同期は35百万円の損失)、経常利益が15百万円(同37百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が29百万円の損失(同31百万円の損失)だった。

 豊富な受注残を背景に第1四半期として過去最高の売上高となり、不採算工事清算の影響などを吸収して営業・経常黒字転換した。完成工事高は95.7%増の28億87百万円、売上総利益は79.7%増の3億92百万円、販管費は47.8%増の3億75百万円だった。

 セグメント別に見ると、解体・メンテナンス事業の売上高が95.7%増の28億87百万円で営業利益(全社費用等調整前)が85.4%増の3億73百万円、その他事業(人材サービス事業など)の売上高が15.1%増の71百万円で営業利益が12.4%増の19百万円だった。

 完成工事高の業界別構成比は電力が26%、製鉄が21%、石油・石化が34%、ガスが2%、3Dが1%、環境が6%、その他が10%だった。完成工事高に占める元請案件は13億91百万円で元請比率は過去最高の48%となった。単体ベースの完成工事高は25億52百万円で、工事監督者1人当たり完成工事高は35百万円だった。また第1四半期末時点の受注残高は71億10百万円で、業界別構成比は電力が27%、製鉄が47%、石油・石化が23%、環境が1%、その他が2%となっている。

 通期の連結業績予想は、期初計画に対して売上高を10億円、営業利益を80百万円、経常利益を80百万円、親会社株主帰属当期純利益を50百万円、それぞれ上方修正した。前期に受注した大型工事が想定を上回るペースで順調に進捗し、スクラップ売却益や追加工事獲得なども寄与する見込みだ。なお不採算工事清算の影響は第1四半期で終了し、第2四半期以降は利益率が上昇する見込みとしている。老朽化プラント解体工事の増加などで中期的に事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお株主還元方針を変更し、累進配当を継続的に実施していくことを基本方針とした。配当性向は40%を目安とすることに加え、DOE(株主資本配当率)3.5%以上を目安に累進的に配当する。25年1月期より適用する。

■株主優待制度は毎年1月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年1月31日現在1単元(100株)以上保有株主を対象に保有株式数に応じてクオカードを贈呈する。なお23年1月31日対象分から制度拡充(詳細は会社HP参照)を実施した。5単元(500株)以上保有株主を対象とするベステラ・プレミアム優待倶楽部を新設し、保有株式数に応じて商品に交換可能な優待ポイントを贈呈する。またベステラ・プレミアム優待倶楽部を通じて株主管理のDX化も促進する。

■株価は戻り試す

 株価は反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。6月21日の終値は999円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円14銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS461円31銭で算出)は約2.2倍、そして時価総額は約90億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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