建設技術研究所、AIモデル・ゲームエンジンを用いた洪水リスク予測DX技術を開発

■水防災対策の迅速化と防災行動の自分事化を目指して

 建設技術研究所<9621>(東証プライム)は7月23日、流域面積の小さい河川・ダムを対象に、降雨予測情報取得の低コスト化、洪水予測の高度化および洪水時における住民の逃げ遅れゼロを目的に、「WEB気象情報からの予測雨量データ取得」「AIモデルによる予測レーダ雨量の補正と強雨域探査機能」「ゲームエンジンを用いた洪水の可視化技術」開発したと発表し、これらの技術を通じて、洪水リスク予測精度の向上、非常時における対策の迅速化および地域住民の防災意識の向上が期待できるとした。

■洪水予測に関するDX技術を用いて、流域の水防災への一層の貢献を目指す

<開発の背景>
 近年、気候変動などに伴う洪水被害への対応として、さまざまな管理主体において流域治水の取り組みが推進されている。そのうち、中小河川や中小河川に築造されている小規模なダムでは、河川水位の予測やダム等の運用を支援するシステムの導入が検討されている。

 しかし、必要な気象情報を得るにはサービス利用料などの経費が発生し、システム導入の足かせとなっている。また、このような流域では面積が小さいため、予測降雨の雨域がずれることの影響が大きいなどの課題もある。さらに、数値やグラフなどを用いたリスク表示では危険の切迫性が適切に伝わらず、住民の避難に結びつかないことがある。

<開発した技術の概要と特徴>
 開発した技術は、「WEB気象情報からの予測雨量データ取得」「AIモデルによる予測レーダ雨量の補正と強雨域探査機能」「ゲームエンジンを用いた洪水の可視化技術」の3つ。

●WEB気象情報からの予測雨量データ取得
 WEBで無償提供されている予測レーダ雨量画像から予測雨量値を抽出し、安価に流域平均雨量を自動取得するシステムを構築した。

●AIモデルによる予測レーダ雨量の補正と強雨域探査機能
 AIモデルにより予測レーダ雨量の強度および空間分布を補正するとともに、完全に再現が困難であった強雨域の位置を見逃さないための降雨探索機能を開発。この機能により、約2割程度の精度向上が望める。

●ゲームエンジンを用いた洪水の可視化技術
 予測情報から下流河川の状況、水面の高さとうねりなどをゲームエンジン(unity)でリアルに再現するとともに、災害時の視界や音についてもイメージできる可視化手法を開発した。

<今後の展望>
 中小河川流域の降雨予測データを安価に提供できるとともに、洪水リスクを精度よく予測し、浸水被害の危険性を関係者や地域住民にわかりやすく伝えることは、今後の流域治水施策や住民の防災意識の向上に資するものと考える。当社は、今回開発した洪水予測に関するDX技術を用いて、流域の水防災への一層の貢献を目指す。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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