【どう見るこの相場】9月相場、配当に注目!高配当利回り銘柄がチャンス到来か

■「ホンダラ行進曲相場」の最終イベントの中間配当権利取りではランク上位銘柄をマーク

 株式相場は、まるで「ハナ肇とクレイジーキャッツ」のかつてのヒット曲の『ホンダラ行進曲』のようである。「クレージーキャッツ」も『ホンダラ行進曲』もご存じの投資家は、もう少数派かもしれないが、そのヒット曲の歌詞には「一つ山越しゃホンダラダホイホイ 二つ越してもホンダラダホイホイ、越しても越してもホンダラホダラダホイホイ」とある。この歌詞の「山」を「重要イベント」に置き換えるとまさに現下の株式マーケットに似てくる。重要イベントが、エンドレスに続き、そのイベントに付き合って一喜一憂していたら神経と体力(金力)の消耗ははなはだしく、それこそ「ホンダラホダラダホイホイ」と放り出したくなってくる。

 7月末の日本銀行の金融政策決定会合とFRB(米連邦制度準備理事会)のFOMC(公開市場委員会)では、日経平均株価は、過去最大の下落幅と上昇幅を演じて乱高下し、その前後の主要経済指標の発表に振り回され、8月23日の経済シンポジウム「ジャクソンホール」会議でのパウエルFRB議長の講演では、円高・ドル安の洗礼を受け、8月28日の米半導体大手のエヌビディアの5~7月期決算発表では、同社の業績そのものは市場予想を上回ったものの、株価は材料出尽くし感から急落し、半導体株がツレ安する肩透かしを食らった。前週末30日のエヌビディアの株価は、3日ぶりに反発したが、週明け以降の東京市場での反応は、まだ紆余曲折があるかもしれない。

 9月相場も、重要イベントが目白押しである。まず「一寸先は闇」の日米両国の政治状況がある。7日に立憲民主党の代表選挙が告示され、次いで12日には自民党の総裁選挙が告示され、米国の大統領選挙では9月10日にハリス副大統領とトランプ前大統領との初めてのテレビ討論会が予定されている。17日、18日にはFRBのFOMC、19日、20日には日銀の金融政策決定会合が予定され、前回の7月と異なって無風通過となるか注目される。そして最後のビッグ・イベントとなるのが、9月中間期末の配当権利取りで、権利付き最終売買日は26日になる。

 株式投資のリターンには、「キャピタルゲイン(値上がり益)」と「インカムゲイン(配当金収入)」がある。このリターンに関して「投資家は失望した投機家である」とする相場格言がある。短期に利ザヤ取りを狙った投機家が、その目論見が外れて配当狙いの長期投資に切り換える苦しい投資決断を示している。キャピタルゲイン狙いの投資家が積極的なプロ投資家、インカムゲイン狙いの投資家は保守的な投資初心者との市場コンセンサスも含意している。

 しかしである。上場会社は、今年1月の新NISA(少額投資非課税制度)のスタート以来、ますます増配、自己株式取得、株式分割などの株主還元策を積極化させている。増配は、日本経済新聞の報道によれば2025年3月期の配当金総額が、前期比8%増の約18兆円となり、4年連続して過去最高になるとしている。このうち、個人投資家の保有比率約20%から家計には約3.6兆円が流入し資産効果による消費喚起で景気押し上げ効果を発揮したと分析された。9月末は中間配当となり、中間配当を実施しない上場会社もあるから、配当金総額は年間の半分以下となるが、それにしてもあと1カ月弱、この眠っているお宝を放っとく手はない。

 しかも昨今は、この配当権利取りが「配当の再投資」として決算期末の需給要因としても注目されているのである。配当の再投資とは、株価は理論上、配当金額だけ下がるが、機関投資家がこれをカバーするために将来受け取る配当金額だけ指数先物に買いを入れる投資アクションで、配当金総額が大きければ大きいほど株価押し上げ効果が強くなるとされている。これが権利付き最終売買日から翌日の権利落ち日にかけてクローズアップされてくる。

 ということであれば、9月末の中間配当権利取りは見逃せない重要イベントとなる。マークするのは、高配当利回りの各種ランキングで上位にランクインされている銘柄である。例えば日本郵船<9101>(東証プライム)を筆頭にした海運大手3社は、業績の上方修正とともに配当も増配し、年間配当利回りは5%を超え、株価は、コンテナ船運賃の高安により乱高下するものの底固さを示す要因にもなっているとされている。現在の海運業界のベースは、あの第一次世界大戦当時の船成金時代に形成されたが、当時は10割配当を実施する船会社もあり、そのDNAが連綿と引き継がれているのかもしれない。日本郵船に至っては、PERも5倍台で前週末30日に年初来高値を更新した。

 全市場の高配当利回りランキングで9月中間配当を予定している上位銘柄、10年以上増配を続ける銘柄で構成される配当貴族指数の連動するETF(上場投資信託)や投資信託に組み入れられている上位銘柄、9月末に株式分割の権利取り最終売買日を迎える銘柄のうち高配当上位銘柄などをマークして9月の「ホンダラ行進曲相場」のフィナーレを飾りたいものである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■銀座の呉服店「むら田」店主・村田あき子の語りをまとめた書籍  KADOKAWA<9468>(東証…
  2. ■長時間立ち仕事や長距離歩行の負担軽減、安全で快適な勤務環境を整備  日本航空(JAL)<9201…
  3. ■「ポケモンフォレスト」と「カヤツリタウン」2エリア構成、冒険とイベントを一体化  よみうりランド…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  2. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  3. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  4. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  5. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  6. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る