【株式市場特集】為替と金利動向も見据え、相場の方向性を探る

 政局の不安定化や予想外のノーベル賞受賞など、「ざんねん」な展開が続いた前週から一転、今週は企業業績発表に注目が集まる。特に証券株の決算速報値や日本取引所グループの好調な業績、ディスコの2Q個別売上高・出荷額の動向が、今後の相場の方向性を左右する可能性がある。3連休明けの今週、企業業績が「ざんねん」な結果になるか、それとも「期待通り」の快挙となるか、為替相場や金利動向も含めて注視する必要がある。

■証券株は2Q業績発表に先立ち中間配当増配も相次ぎ高配当利回り

 証券株で決算速報値を発表しているのは、中堅証券中心である。このなかでもまず注目したいのは、今年9月末に2Q決算速報値の開示を前に未定としていた今期中間配当の増配を公表した証券各社である。コード番号順にあげると今村証券<7175>(東証スタンダード)、丸三証券<8613>(東証プライム)、東海東京フィナンシャル・グループ<8616>(東証プライム)、水戸証券<8622>(東証プライム)、いちよし証券<8624>(東証プライム)、松井証券<8628>(東証プライム)、極東証券、アイザワ証券グループ<8708>(東証プライム)と続く。

 この中間配当に未定としている期末配当を前期並みと想定して上乗せすると、例えば極東証券の年間配当利回りは9.12%、水戸証券は7.24%、丸三証券は6.25%、アイザワ証券Gは6.09%となり、5%以上の高配当銘柄のオンパレードとなる。今期2Q決算開示時に期末配当の増配を発表すれば、配当利回りはさらに好転する。業績ガイダンスを開示しないため予想PERは算定できないが、PBRは揃って1倍割れと出遅れており、買いカタリストとなりそうだ。

■主力株は円安・ドル安の為替動向、AI関連需要などのカタリストが左右

 今期1Qに過去最高純利益を更新した441社の好業績要因は、さまざまである。もっとも大きな要因は、円安・ドル高である。代表株のトヨタ自動車<7203>(東証プライム)では、今期1Qの対ドル為替レートが、1ドル=156円と前年同期の1ドル=137円より大幅な円安となり3700億円も利益を押し上げたが、今期通期想定レートは、期初予想の1ドル=145円を据え置いた。その後の為替レートは、一時1ドル=139円台まで円高・ドル安に振れ、足元では149円台までリバウンドしており、この為替要因が11月6日発表予定の今期2Q業績にどう織り込まれるのか要注目となる。同様に1Q純利益が過去最高となったマツダ<7261>(東証プライム)、ホンダ<7267>(東証プライム)、スズキ<7269>(東証プライム)の自動車株も、トヨタと同じく低PER・高配当利回り水準にあり、波及効果が期待される。

 為替レートの高安は、インバウンド需要の消長にも関連しており、このインバウンド関連需要で1Qに過去最高純益となった東急<9005>(東証プライム)、京王電鉄<9008>(東証プライム)、西武ホールディングス<9024>(東証プライム)、ディスコ次第でAI関連人気増幅期待の東京エレクトロン<8035>(東証プライム)、SCREENホールディングス<7735>(東証プライム)、金利上昇による運用環境好転を受けて1Q純益過去最高となったMS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725>(東証プライム)、SOMPOホールディングス<8630>(東証プライム)、東京海上ホールディングス<8766>(東証プライム)の損保3社なども「ざんねん」か「期待通り」か業績相場の方向性を試してみる余地はありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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