【株式市場特集】原油関連株はWTI価格の動きを見極めつつボトムアウト先取りも一考余地

 原油関連株は、FOMC後にWTI価格がどう動くか見極めつつ、ボトムアウトを先取りし早手回しの対処も一考余地が出てくるとするのが、当特集の問題提起である。

 ロングスパンに視野を広げると、注目材料となるのが、石油・天然ガスの開発権益の相次ぐ取得である。仮に今後、軍事情勢の変化からウクライナとロシアが停戦することにでもなれば、エネルギー安全保障関連の石油・天然ガス開発株として「停戦の配当」期待の買い物が入る可能性があるからで、ウクライナ・ロシアの軍事優劣をウオッチしつつ関連のエネルギー開発関連株までマークする余地が出てきそうだ。

■WTI価格下落も修正想定価格はキープして低PER・PBR、高配当利回り

 INPEXと同様に今期業績を上方修正した鉱業株、石油元売り株をあげると石油資源開発<1662>(東証プライム)、K&Oエナジーグループ<1663>(東証プライム)、出光興産<5019>(東証プライム)、富士石油<5017>(東証プライム)と続く。このうち石油資源開発は、CIF(運賃保険料込み)価格を期初予想の1バーレル=70ドルから90ドルへ、出光興産はドバイ原油を同じく100ドルから102ドルへ、富士石油もドバイ原油を同じく80ドルから90ドルへそれぞれ引き上げ、想定為替レートも円安方向に見直したことによる上方修正で、ドバイ原油は足元で91ドル台で推移している。

 投資採算的にも、富士石油のPER1.2倍を筆頭にいずれも3倍~10倍、PBRは0.3倍から0.7倍と超割安でINPEXと同様に今期配当を増配した石油資源開発の年間配当利回りは5.9%とINPEXの3.9%を上回る。年初来高値から14%~19%調整している出光興産や富士石油は、INPEXと同様に売られ過ぎを示唆している。

■ロングスパンの「停戦の配当」では石油・天然ガス・再生エネ開発関連株も浮上

 ロングスパンでの「停戦の配当」関連では、あの「ベルリンの壁」が崩壊し、東西ドイツの統一や冷戦終結が実現した1989年に「平和の配当」を囃し立てた相場展開が想起される。当時バブル相場下にあった東京市場では、東ドイツの復興需要、東側諸国の市場開放などを囃し立て、日経平均株価は、3000円も上乗せして史上最高値3万8915円まで買い進まれた。停戦が実現すれば今度は、エネルギー安全保障問題がクローズアップされ「停戦の配当」期待につながる展開も想定範囲内になる。

 脱ロシアのエネルギー開発の再開である。日本の石油産業は、下流部門のみの片肺飛行といわれたが、上流部門も強化する「和製メジャー」化である。まずこのシナリオをサポートするプラントエンジニアリング株の日揮ホールディングス<1963>(東証プライム)、東洋エンジニアリング<6330>(東証プライム)、千代田化工建設<6366>(東証スタンダード)にスポットライトが当たる。次いで石油海洋開発の三井海洋開発<6269>(東証プライム)、掘削工具の鉱研工業<6297>(東証スタンダード)などに輪を広げ戦列拡大が期待されることになりそうだ。また再生エネルギーも含めて資源開発のリスクを取る商社株の伊藤忠商事<8001>(東証プライム)、丸紅<8002>(東証プライム)、豊田通商<8015>(東証プライム)、三井物産<8031>(東証プライム)、住友商事<8053>(東証プライム)、三菱商事<8058>(東証プライム)などもこの一角に位置する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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