And Doホールディングス、25年6月期増収増益予想、低PERや高配当利回りが魅力

 And Doホールディングス<3457>(東証プライム)は住まいのワンストップサービスを展開している。ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて、不動産×金融サービスの深化による高収益化を目指す不動産テック企業である。25年6月期も増収増益で連続増配予想としている。第1四半期は減収減益だったが、概ね計画水準の進捗としている。積極的な事業展開で通期ベースでの収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い形だが、低PERや高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 FCチェーンネットワーク構築による不動産情報のオープン化と、時代に即した不動産ソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーとして、住まいのワンストップサービスを展開している。さらに不動産×金融サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

 不動産流通事業で創業した後、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開して業容を拡大した。そして22年1月1日付で事業持株会社に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)し、商号をAnd Doホールディングスに変更した。

 24年4月にはハウスドゥ住宅販売が経済産業省の「IT導入補助金2024」でIT導入支援業者として採択(7度目の採択)され、不動産売買仲介WEBシステム「DO NETWORK」および不動産賃貸仲介WEBシステム「ハウスドゥ業務支援システム」が補助金対象ツールとして登録された。

■ストック収益型事業が収益柱

 ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進める。

 23年6月期のセグメント別営業利益構成比(全社費用等調整前)は、成長強化事業が91%(フランチャイズ事業が24%、ハウス・リースバック事業が38%、金融事業が1%、不動産売買事業が28%)、不動産流通事業が7%、リフォーム事業が3%、その他が▲0%だった。不動産売買事業は大型物件などによって構成比が変動しやすい。

 フランチャイズ事業の累計加盟店舗数は、24年6月期末時点で23年6月期末比15店舗増加して707店舗となった。20年9月に全国47都道府県すべてに出店契約を達成し、21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新している。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。23年3月には、持分法適用会社(現地合弁会社)であるタイのH-DO社がタイのAAA社とFC契約を締結し、タイでのFC1号店をオープンした。

 ハウス・リースバック事業では、24年6月期期末の保有件数が23年6月期末比86件減少して587件、保有物件総額(簿価ベース)が17億21百万円減少して85億12百万円となった。契約件数は23年6月期比81件減少の1157件、物件取得数は24件増加の1171件だった。

 金融事業では、リバースモーゲージの24年6月期の新規保証件数が23年6月期比124件増加の545件、期末保証残高が76億72百万円増加の208億41百万円、不動産担保融資の期末融資残高が6億22百万円減少の18億53百万円となった。リバースモーゲージ保証事業は地域金融機関等との提携を推進(24年2月末時点で提携金融機関数50を達成)するとともに、リバースモーゲージのさらなる普及拡大に向けて銀行代理業許可を取得している。なお不動産担保融資については戦略的に縮小させている。24年3月には、老後の資金づくりに悩むシニア層と金融機関をつなぐマッチングサイト「シニア向けローン相談所」を開設した。

 23年7月には、IoTでスマートな宿泊体験を提供する宿泊施設LUXE TECH VILLA(ラグジュテックヴィラ)の第1号を奄美大島にオープンした。また24年3月には建売ブランド「SHIRO」提供開始を発表した。

 なお不動産売買事業の拡大に向けて、子会社のハウスドゥ・ジャパンが24年10月19日付で大阪府高槻市に新規出店した。16店舗目の買取専門店となる。

■M&A・アライアンスも活用

 業容拡大やサービスラインナップ充実に向けたM&A・アライアンスでは、19年8月に小山建設グループを子会社化、21年7月に不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>と業務提携、21年9月に識学<7049>と業務提携、22年5月にドキュサイン・ジャパンと不動産売買取引における電子契約システムで業務提携、22年12月に総合生活トラブル解決サービスのジャパンベストレスキューシステム(JBR)<2453>と提携、23年1月にハウスドゥ住宅販売が住宅購入支援サービス「ゼロテ」を開発・提供するGOGENと業務提携、23年3月にハウスドゥ住宅販売が完全会員制の家探しサービスHousii(ハウシー)を展開するSpeeeと業務提携、24年6月にハウスドゥ住宅販売がドローン屋根外装点検サービスを展開するCLUEと業務提携した。

 24年10月には子会社のハウスドゥ住宅販売が、次世代不動産取引DXエンゲージメントプラットフォーム「Musubell(ムスベル)for仲介」を提供するデジタルガレージ<4819>と業務提携した。

■中期経営計画(23年6月期~25年6月期)

 中期経営計画(23年6月期~25年6月期)では目標数値に、25年6月期の売上高518億19百万円、営業利益41億79百万円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円、経常利益率7.7%を掲げている。配当性向は30%以上を基本水準とする。

 事業セグメント別の25年6月期の計画は、フランチャイズ事業の売上高41.8億円で営業利益29.0億円、ハウス・リースバック事業の売上高214.2億円で営業利益28.3億円、金融事業の売上高14.1億円で営業利益6.0億円、不動産売買事業の売上高207.6億円で営業利益18.0億円、不動産流通事業の売上高20.4億円で営業利益6.4億円、リフォーム事業の売上高27.0億円で営業利益2.3億円としている。

 成長強化事業の主要指標の計画(25年6月期)は、フランチャイズ累計加盟店舗数が865店舗、ハウス・リースバック事業の年間仕入契約数が1440件、リバースモーゲージ保証残高が506億円、リバースモーゲージ提携金融機関が100行、不動産売買のたな卸資産残高が140億円としている。

 成長戦略として、成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業)のさらなる拡大、不動産×金融サービスの深化、高収益体質化の促進を推進する。

 23年6月には、Sanu社が提供する新たな法人向け会員制宿泊サービス「SANU 2nd Home(サヌセカンドホーム)の導入を発表した。福利厚生の一環として社員に対し、都市生活だけでは得られない創造的なインスピレーションとの出会いを提供する。

■25年6月期増収増益・連続増配予想

 25年6月期の連結業績予想は売上高が24年6月期比3.6%増の700億円、営業利益が11.5%増の40億円、経常利益が15.7%増の40億円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%増の26億40百万円としている。配当予想については24年6月期比2円増配の45円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は33.9%となる。

 セグメント別利益(調整前営業利益)の計画は、フランチャイズ事業が9.4%増の22億円、ハウス・リースバック事業が1.3%増の32億50百万円、金融事業が128.2%増の2億40百万円、不動産売買事業が19.4%増の28億50百万円、不動産流通事業が10.0%減の5億20百万円、リフォーム事業が14.6%減の2億円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比5.5%減の145億45百万円、営業利益が60.4%減の3億84百万円、経常利益が65.4%減の2億92百万円、親会社株主帰属四半期純利益が74.3%減の1億43百万円だった。減収減益だった。ハウス・リースバック事業におけるファンドへの譲渡未実施、不動産売買事業における前期の高粗利案件の反動や先行投資などが影響した。ただし概ね計画水準の進捗としている。

 フランチャイズ事業は売上高(調整前)が0.1%増の7億99百万円、利益(調整前営業利益)が1.5%増の4億97百万円だった。店舗数増加により、小幅ながら増収増益ペースに回復した。累計加盟店数(レントドゥ含む)は12店舗増加して708店舗、累計開店店舗数は7店舗増加して636店舗となった。

 ハウス・リースバック事業は、売上高が50.3%減の31億14百万円で、利益が52.1%減の3億71百万円だった。HLBファンドへの譲渡未実施のため大幅減収減益だった。契約件数は14件減少して287件、物件取得数は69件減少して231件、期末保有物件数は18件増加して729件、期末保有物件総額(退去分除く取得時価格累計)は6億20百万円減少して106億26百万円となった。なお営業外収益の匿名組合投資利益として計上しているHLBファンドからの利益分配86百万円(前年同期は18百万円)をセグメント業績に含めると、セグメント営業利益は42.3%減の4億57百万円となる。

 金融事業は売上高が19.2%増の1億32百万円、利益が148.0%増の40百万円だった。リバースモーゲージ保証(新規保証件数は15件減少して130件、保証残高は80億42百万円増加して229億76百万円)の伸長により増収増益だった。なお不動産担保融資は戦略的に縮小(融資残高は4億70百万円減少して18億19百万円)している。

 不動産売買事業は売上高が33.0%増の97億81百万円、利益が25.6%減の5億68百万円だった。取引件数の増加(111件増加の283件)で増収だが、前期の高粗利案件の反動や先行投資(人員増強や新規出店によるエリア拡大)の影響で減益だった。

 不動産流通事業は売上高が20.2%減の3億44百万円、利益が32.3%減の1億02百万円だった。店舗統合および成長強化事業への人員シフトに伴う仲介件数の減少(60件減少の373件)により減収減益だった。

 リフォーム事業は、売上高が15.4%減の5億14百万円、利益が7.3%減の48百万円だった。契約件数の減少(45件減少の346件)および完工件数の減少(49件減少の344件)により減収減益だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、増収増益・連続増配予想としている。フランチャイズ事業は引き続き都市部の開発に注力し、人材やプロモーションへの積極投資を行う。ハウス・リースバック事業は不動産売買事業とのバランスを見つつ、取得件数の拡大を目指す。金融は保証残高の積み上げを加速し、付随する不動産取引の獲得によりグループ収益への貢献を目指す。不動産売買事業は回転率にも留意し、グループ業績の牽引役としてさらなる飛躍を図る方針だ。第1四半期は減収減益だったが、概ね計画水準の進捗としている。積極的な事業展開で通期ベースでの収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は23年6月期末対象から再開した。毎年6月末日現在の5単元(500株)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて、株主限定特設ウェブサイト「And Doホールディングス・プレミアム優待倶楽部」で商品に交換できるポイントを贈呈する。

■株価は調整一巡

 株価は反発力の鈍い形だが、低PERや高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。11月26日の終値は991円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS132円62銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の45円で算出)は4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS865円07銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約197億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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