【注目銘柄】ヒーハイストは業績下方修正を織り込み優待制度の権利取りが拡大

 ヒーハイスト<6433>(東証スタンダード)は、大発会の前日6日に13円高の391円と大幅続伸して引け、取引時間中には399円と買われる場面もあり、昨年12月18日につけた昨年来高値413円を意識する動きを強めた。同社株は、昨年11月12日に今2025年3月期業績を下方修正し、連続赤字となったが、その後12月4日に発表した株主優待制度の新設で、配当と優待制度を合わせた総合利回りが7.9%と高まることから、業績下方修正は織り込み済みとして優待制度の権利を取る買い物が拡大した。同社が世界で唯一、製品化している転がり案内方式の球面軸受(SRJ)で軸短タイプをラインアップに追加し、AI(人工知能)需要の高まりを背景に半導体供給能力の強化向けに引き合いが増加していることもフォローの材料視されている。

■今期予定配当の1円との合計で総合利回りはなお7.9%

 株主優待制度の新設は、東証スタンダード市場の上場基準のうち同社の2024年3月末時点での流通株式の時価増額が、8億3000万円と基準の10億円を下回っており、2025年3月末を期限とする適合計画を充足させるために総合利回りを最大で12%となるように設定され取締役会決議された。優待内容は、100株以上の保有株主に3000円分のQUOカードを贈呈し、今2025年3月期予定の1円の配当と合わせて、1月6日終値現在での総合利回りはなお7.9%となる。

 一方、今2025年3月期業績は、売り上げが期初予想より1億9500万円、利益が1億400万円~1億3800万円それぞれ引き下げられ、売り上げ22億5700万円(前期比2.3%減)、営業利益1億1500万円の赤字(前期は1億5800万円の赤字)、経常利益1億3700万円の赤字(同1億5600万円の赤字)、純利益9100万円の赤字(同2億7400万円の赤字)と水面下の業績推移を見込んでいる。今期第2四半期(2024年4月~9月期)の精密部品加工の売り上げは、レース用部品の売り上げ増で2億8599万円(前年同期比39.1%増)、ユニット製品の売り上げも、転がり案内方式のSJRの売り上げ増で9600万円(同1.5%増)となったが、直動機器の売り上げが、需要回復の遅れと中国市場からの受注停滞で6億9410万円(同16.0%減)と伸び悩み、固定費などの増加も重なったことが要因となった。なお軸短SJRは、2026年にシリーズ全体で2億円の売り上げを見込んでいる。

■ストップ高を交えてつけた昨年来高値を上抜き2019年11月高値を意識

 株価は、昨年8月の相場暴落時に200円安値に突っ込み、その後は売られ過ぎとしてリバウンド、昨年11月の今期業績の下方修正でも230円安値で持ちこたえた。12月の株主優待制度の新設ではストップ高を交えて昨年来高値413円まで74%高と急伸し足元では高値保ち合いを続けてきた。赤字継続でPER評価は不可だが、総合利回りは7.9%、PBRも0.82倍と割り負けており、昨年来高値413円奪回から、2019年11月高値516円が次の上値フシとして意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る