【どう見るこの株】鳥居薬品は研究開発費控除前営業利益の連続増益と花粉症舌下錠続伸を手掛かりに突っ込み買い一法

 鳥居薬品<4551>(東証プライム)は、休日前の10日に855円安の4175円と3営業日ぶりに急反落して引け、東証プライム市場の値下がり率ランキングのワーストワンとなった。同社株は、前週末7日に12月期決算を発表し、前12月期業績は、期中の2回の上方修正通りに大幅増益転換して着地したが、今12月期業績は、減益転換を予想し市場コンセンサスを大きく下回ったことからポジション調整売りが増勢となった。ただこの今期の減益転換業績は、研究開発を積極化することを一つの要因としており、今期の研究開発費控除前の営業利益は、連続増益となることから、大きく下落したここは突っ込み買いも一法となりそうだ。またスギ花粉の本格飛散シーズンを今年2月末から迎え、同社が製造販売しているアレルゲン免疫療法剤「シダキュア 花粉症舌下錠」の需要が続伸し、今期も同剤の2ケタ続伸が見込まれていることも側面支援しよう。

■アトピー性皮膚炎治療薬がフル寄与し「シダキュア」は今期も2ケタ増

 同社の今2025年12月期業績は、売り上げ647億円(前期比7.1%増)、営業利益41億円(同39.7%減)、経常利益45億円(同35.0%減)、純利益34億円(同32.6%減)と連続増収ながら減益転換が見込まれている。利益は、市場コンセンサスを35億円~25億円下回る。売り上げは、昨年10月に新発売したアトピー性皮膚炎治療薬「ブイタマークリーム」がフル寄与して前期の5億1000万円から45億8000万円に大きく伸びることを見込み、アレルゲン領域では「シダキュア」が、145億1000万円(前期比13.2%増)、「ミティキュア ダニ舌下錠」が123億5000万円(同9.8%増)と続伸予想にあることなどが寄与する。なかでも「シダキュア」は、花粉症が日本人の国民病といわれるほど患者が多く、同社は、この増産のために30億円を投資し、生産能力を年間25万人分から50万人分に順次増強していることが業績成長を牽引することになる。

 ただ利益については、親会社のJT<2914>(東証プライム)と連携して新規導入品の探索と開発を進めており、今期の研究開発費を64億円(前期比2.26倍)と大幅に積み増すことや新製品販売開始に伴う販売促進費用の増加などが響いて減益転換を予想している。この研究開発費を除いた今期の研究開発費控除前営業利益は、105億円(前期比9.1%増)と続伸を予想しており、業績実態を反映している。なお今期配当は、年間120円を安定継続の予定である。

■PBRは0.9倍、25日線から13%のマイナスかい離と売られ過ぎ示唆

 株価は、昨年10月の「ブイタマークリーム」発売で4180円と高値反応したあと、前期業績の2回目の上方修正で4885円と上値を伸ばして一段上げを演じた。次いで昨年12月の配当権利落ち後安値からは、今年1月早々に東京で花粉の飛散が始まったことで「シダキュア」人気を高め上場来高値5130円まで買われ二段上げを示現した。足元の株価は、昨年11月以来の安値まで大きく調整したが、PBRは0.96倍、25日移動平均線から13.0%のマイナスかい離と下げ過ぎを示唆している。高値でやや積み上がった信用買い残の整理状況をウオッチしながら逆張りのタイミングを計る一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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