【株式市場特集】株主優待制度、企業の新たな株主還元戦略として台頭

■年初から57銘柄が優待新設、40銘柄超が拡充・変更

 株主優待制度は従来、配当増加や自社株買いといった主要な株主還元策に比べて二次的な位置づけだった。しかし近年、優待制度の新設や拡充を発表した企業の株価がストップ高になるなど市場の反応が顕著になり、その評価が変化している。業績好調のトヨタも優待制度を導入し、この流れを加速させた。本年1月から2月7日までに57銘柄が優待制度を新設し、40銘柄以上が制度を変更・拡充した。これらには業績上方修正や増配と併せて優待を導入した企業や、無配でも優待導入で総合利回りを大幅に向上させた企業など多様なケースがある。優待制度の内容を詳細に検討し安全重視で銘柄選択することも有効な投資戦略と言えるだろう。

■増配、株式分割との同時発表銘柄では総合利回りが大幅アップのバリュー株も

 フルセット材料の一環として優待制度の新設を発表したバリュー株をコード番号順にあげるとJPホールディングス<2749>(東証プライム)、ラクーンホールディングス<3031>(東証プライム)、イード<6038>(東証グロース)となり、増配や業績上方修正、株式分割などを同時発表している。優待制度新設で総合利回りが5%以上に倍増するバリュー株は、同じくrobot home<1435>(東証スタンダード)、レントラックス<6045>(東証グロース)、GMOメディア<6180>(東証グロース)、カヤクスグループ<7686>(東証スタンダード)、大栄環境<9336>(東証プライム)、日本テレビホールディングス<9404>(東証プライム)などと続く。

 業績を下方修正しながらも優待制度新設で総合利回りが5~6%となるバリューがNITTAN<6493>(東証スタンダード)とKPPグループホールディングス<9274>(東証プライム)である。無配継続ながら「配当より優待制度」として優待制度を新設し総合利回りが3%~5%へ高まる銘柄にはアウンコンサルティング<2459>(東証スタンダード)、ランシステム<3326>(東証スタンダード)、ジーネクスト<4179>(東証グロース)、リビングプラットフォーム<7091>(東証グロース)、フーディソン<7114>(東証グロース)などがあり、優待制度の権利取りも一法となりそうだ。

■優待制度新設・拡充・変更で劇的変化の値ごろ妙味株にもスポットライト

 優待制度を拡充・変更して総合利回りが、劇的に高まりスポットライトが当たりそうな値ごろ妙味株もある。発表の時系列的にあげるとRIZAPグループ<2928>(札証アンビシャス)、シー・ヴイ・エス・ベイエリア<2687>(東証スタンダード)、伊豆ジャボテンリゾート<6819>(東証スタンダード)、窪田製薬<4596>(東証グロース)、新田ゼラチン<4977>(東証スタンダード)、フジオーゼックス<7299>(東証スタンダード)、テーオーホールディングス<9812>(東証スタンダード)、セキド<9878>(東証スタンダード)、富士山マガジンサービス<3138>(東証グロース)などとなる。多くが自社製品や自社サービスの利用券・割引券となっているが、趣味と実益を兼ねてマニア向けの権利取りが想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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