【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ソフトクリエイトHDは中期成長力を評価してモミ合い上放れ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ECサイト構築ソフトのソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1)の株価は、9月の戻り高値1001円から反落後は概ね900円を挟むレンジでモミ合う展開だ。ただし10月の直近安値860円水準まで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。中期成長力を評価する流れに変化はなく、調整が一巡してモミ合い上放れの展開だろう。

 ECソリューション事業(ECサイト構築ソフト「ecbeing」の販売からECサイト構築・運用支援、データセンターでのホスティングサービス提供、ECプロモーション提供までの総合サービス)を主力として、SI事業(自社グループ開発ソフトの販売、基幹系システムの受託開発など)、物品販売事業(法人向けIT機器販売など)も展開している。

 顧客のEC事業立ち上げ時の戦略コンサルティングから、ECサイト構築・運用支援、さらにリスティング広告・SEO対策などのプロモーションサービスまで総合的なサービスを提供していることが強みだ。ECサイト構築実績は前期(14年3月期)までの累計で中堅・大手優良企業向けを中心に国内断トツ首位の826社に達し、ECサイト構築実績の積み上げに伴う運用支援・保守などストック型収益が拡大基調である。

 中期成長戦略としては、単なるECシステム提供企業からeビジネス総合デベロッパーへの発展を目指して、インターネット広告や運用支援などデジタルマーケティング市場にも積極展開してビジネス領域を拡大している。アライアンス戦略では13年5月に日本ユニシス<8056>と資本・業務提携、13年9月に東芝テック<6588>と業務提携している。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.3%減の115億円、営業利益が同2.2%増の15億01百万円、経常利益が同0.6%増の15億10百万円、純利益が同4.8%増の8億円、そして配当予想(9月6日に増額修正)が前期比3円増配の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 セグメント別売上高の計画は、ECソリューション事業が同10.9%増の59億円、SI事業が同4.2%減の23億円、物品販売事業が同23.3%減の33億円としている。物品販売事業がウインドウズXPサポート終了に伴う入れ替え需要の反動影響を受けるため全体としては減収見通しだ。

 ただし主力のECソリューション事業は中堅・大手優良企業のECサイト構築需要の増加に伴って、ECサイト構築ソフト「ecbeing」の販売やカスタマイズが好調に推移する。期末ECサイト累計構築数は前期末比90社増加の916社となる計画だ。ネット広告需要の増加でデジタルマーケティングビジネスも拡大する。利益面ではECソリューション事業の好調で開発費、広告宣伝費、人件費などの増加を吸収して増益見通しとしている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比8.5%増収、同8.9%営業増益、同10.6%経常増益、同58.8%最終増益だった。主力のECソリューション事業が同17.0%増収と全体を牽引して増収増益だった。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.5%、営業利益が44.4%、経常利益が46.4%、純利益が57.9%である。ストック型収益が拡大基調であることを考慮すれば概ね順調な水準であり、通期会社見通しには上振れ余地があるだろう。EC関連市場は拡大基調であり、国内断トツ首位のECサイト構築実績を武器として中期的にも収益拡大基調だろう。

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株数に応じてオリジナルQUOカードを贈呈(3000株以上保有株主に対してQUOカード3000円分など、詳細は会社ホームページを参照)し、2年超の継続保有株主に対しては長期保有優待制度も実施している。

 株価の動きを見ると、9月の戻り高値1001円から反落後は概ね900円を挟むレンジでモミ合う展開だ。ただし10月の直近安値860円水準まで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。

 12月19日の終値918円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS59円55銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS419円95銭で算出)は2.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって下値切り上げの形だ。中期成長力を評価する流れに変化はなく、調整が一巡してモミ合い上放れの展開だろう。

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