【マーケットセンサー】長嶋茂雄が象徴した昭和と、現代の求めるヒーロー像

■昭和が去り、令和の象徴が浮かび上がる

 昭和の象徴がまた一人、静かに舞台を去った。長嶋茂雄氏の訃報は、あの時代を生きた多くの人々にとって「昭和が遠くなった」と感じさせる出来事だった。読売巨人軍の黄金時代を牽引し、9連覇という前人未踏の偉業を成し遂げた長嶋氏は、単なる野球選手にとどまらず、「メークドラマ」といった流行語を生み出すなど、国民的アイコンでもあった。『巨人・大鵬・卵焼き』というフレーズが当時の空気をよく表している。ハングリーながらも未来を信じ、夢を語れた時代。その象徴が、長嶋氏だった。

■令和に輝く3つの星―大谷・藤井・大の里

 その昭和が去ったあと、令和という不透明な時代に人々の希望となりうるスターが現れている。その筆頭が大谷翔平選手だ。2024年、メジャーでホームラン50本・盗塁50の「50-50」を史上初達成。彼の規格外の実績は、米国でも大きな尊敬を集め、日本人としての誇りを喚起している。加えて将棋界では、藤井聡太七冠が登場。最年少で八冠を制した圧倒的実力に加え、人工知能をも凌駕する手筋に棋界全体が注目している。そして相撲界では『大の里』が、初土俵からわずか13場所で横綱に昇進し、日本相撲の新たな希望として国内外で話題を集める。この3人の活躍は、単なるスポーツの枠を超え、日本社会の停滞を打破する象徴ともなっている。

■スターの光は経済をも動かす

 この「スター効果」は、すでに株式市場にも波及している。伊藤園<2593>(東証プライム)は、大谷選手を起用した「おーいお茶 PURE」シリーズがヒットし、販売初週で1000万本を突破。CM効果も相まって株価が急伸した。また、同社は将棋の王位戦スポンサーでもあり、藤井七冠の活躍ともリンクしている。こうした「文化系スター」と企業の結びつきが、投資家にとっても新たな視点を提供している。米中の経済摩擦やトランプリスク、主要会議の集中などで先行きの見通しは読みにくいが、だからこそ、相場に左右されにくい構造的な人気を持つ関連株に注目する余地がある。地に足のついたスターへの信頼と共に歩む「推し活投資」は、これからの時代において「ベストではなく、より良い」選択肢となるかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る