ティムコ、フィッシング・アウトドア事業の有機的連携を強化、効率販売と価格改定で収益改善を加速

 ティムコ<7501>(東証スタンダード)は、フィッシング用品およびアウトドア用品の企画・開発・販売を展開している。フィッシング用品分野ではフライフィッシングのパイオニアであり、アウトドア用品分野ではオリジナル衣料ブランドFoxfireを主力としている。25年11月期は2桁増収・黒字転換予想としている。天候等の前期の悪条件の影響が一巡するほか、在庫の効率的販売策の実施や価格改定効果なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。株価は急伸して年初来高値を更新した。1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■フィッシング用品およびアウトドア用品の企画・販売

 フィッシング用品(ルアーフィッシング用品、フライフィッシング用品)およびアウトドア用品(アウトドア衣料・用品)の企画・開発・販売事業を展開している。

 フィッシング用品の分野では、日本では歴史の浅いフライフィッシングのパイオニアであり、竿から衣料品に至るまで全てのフライ用品を取り扱う唯一の企業であることなどを特徴・強みとしている。アウトドア用品の分野では、自社オリジナルブランドのアウトドア衣料ブランドFoxfireを主力としている。

 24年11月期のセグメント別売上高はフィッシング事業が8億02百万円、アウトドア事業が23億89百万円、その他(不動産賃貸収入)が19百万円、セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)はフィッシング事業が54百万円、アウトドア事業が92百万円、その他が12百万円、全社費用等調整額が▲1億89百万円だった。

 全社ベースの売上高の新製品比率は57.1%、自社企画品比率は94.4%、国内自社通販売上高(主にアウトドア用品)はFoxfire会員制度本格稼働の効果により前期比7.9%増の1億23百万円、自社EC比率は3.9%、自主管理EC(自社およびECモール等の自社管理取引)比率は8.6%、輸出売上(主にフィッシング用品)比率は4.9%、仕入の輸入比率は9.8%だった。

■共同事業も推進

 21年11月に同社、スノーピーク、アイビック、アイビック食品の4社共同で、キャンプ・フィッシング・食を融合した体験型施設などを展開するキャンパーズアンドアングラーズ(以下、C&A)を設立した。23年4月には複合リゾート「エンゼルフォレスト白河高原」内に、スノーピークの直営店スノーピーク白河高原とのコラボショップとして、フィッシングエリア併設直営店Foxfire白河高原を開業した。また23年9月には、C&Aが体験型アウトドアショップ第1号店「C&A北広島店」(北海道北広島市)をオープンした。

 さらに24年4月には群馬県上野村、上野村漁業協同組合、スノーピークおよび同社の4者が、上野村の地域循環共生圏の実現に向けた包括連携協定を締結した。関東でも屈指の清流として知られる神流川など、河川環境や自然環境といった村のフィールドを活かした体験イベントなどを企画していく予定としている。なお25年3月にスノーピークとの資本提携を解消したが、業務提携は継続する。

■顧客接点の強化、EC分野の拡大、海外展開を推進

 中期的な目標値としては、27年11月期売上高41億64百万円、営業利益2億63百万円、営業利益率6.3%、1株当たり利益(EPS)63円90銭、株主資本利益率(ROE)3.4%を掲げている。基本戦略として顧客接点の強化、EC分野の拡大、海外への展開を推進している。

 顧客接点の強化では、SNSやHPなどによる情報発信の強化、会員制度の拡充、イベントやスクールなどの充実などの施策により、会員数を現在(24年11月期)の約4.7万人から3年後の27年11月期に約7.7万人、5年後の29年11月期に10万人以上へ拡大することを目指す。

 EC分野の拡大では、24年11月に実施したTIMCOホームページのリニューアル効果に加え、全アイテムの自社ECスタート、自社ECと外部ECの連動による自主管理ECの拡大、グローバルECの展開などの施策により、自社EC比率を現在の約3.9%から3年後に6.0%、自主管理EC比率を現在の8.6%から3年後に12.1%へ、さらに将来的には25%へ引き上げることを目指す。

 海外への展開では、フライ用品のグローバルブランド化、ルアー用品の欧米市場向け拡大、フライ用品・ルアー用品のアジア圏への展開、Foxfireのグローバル展開などの施策により、輸出比率を現在の4.9%から3年後に8.7%へ、さらに将来的には20%へ引き上げることを目指す。

 なお22年11月末時点の流通株式時価総額がスタンダード市場における上場維持基準に適合しない状況となったため、23年2月24日に上場維持基準適合に向けた計画書を発表、24年2月に計画期間の変更を発表した。企業価値の向上(時価総額の増大)に向けて業績の向上を図るため、基本戦略である顧客接点の強化、EC分野の拡大、海外への展開を推進するほか、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携を強化し、全社的な収益力向上に取り組むとしている。さらにIR活動をいっそう強化して、投資家や株主とのコミュニケーションを高める方針だ。計画期間については25年11月末としている。

 25年3月にはスノーピークとの資本提携を解消(業務提携は継続)し、これに伴って同社株式の立会外分売を実施した。同社株式の流動性向上、株式分布状況改善などが期待される。

■25年11月期2桁増収・黒字転換予想で収益改善基調

 25年11月期の業績(非連結)予想は売上高が前期比12.7%増の36億20百万円、営業利益が1億03百万円(前期は30百万円の損失)、経常利益が1億06百万円(同24百万円の損失)、当期純利益が67百万円(同1億09百万円の損失)としている。配当予想は前期と同額の12円(期末一括)としている。予想配当性向は44.4%となる。

 セグメント別の売上高計画はフィッシング事業が17.3%増の9億41百万円、アウトドア事業が11.3%増の26億60百万円、その他(主に不動産賃貸収入売上)が横ばいの19百万円としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比3.9%増の7億68百万円、営業利益が37百万円の損失(前年同期は38百万円の損失)、経常利益が33百万円の損失(同37百万円の損失)、四半期純利益が39百万円の損失(同43百万円の損失)だった。小幅ながら増収で赤字縮小した。

 フィッシング事業は、売上高が2.6%減の1億67百万円、営業利益(全社費用等調整前)が9百万円の損失(同3百万円の損失)だった。販売先小売店における在庫調整が緩やかに進んだ一方で、気温低下や大雪によりシーズン開始が遅延した。商品別では、フライ用品はフライライン(フライフィッシング用釣り糸)や消耗品を中心に販売回復が見られたが、ルアー用品がシーズン立ち上がり遅れの影響を受けた。

 アウトドア事業は売上高が5.8%増の5億95百万円、営業利益が65.3%増の15百万円だった。寒気の影響でセール中心の防寒衣料や防寒小物の販売が好調だった一方で、春夏物衣料の動き出しが遅れた。

 その他(主に不動産賃貸収入売上)は、賃貸面積増加により売上高が22.7%増の5百万円、営業利益が28.4%増の4百万円だった。

 通期業績予想は据え置いて2桁増収・黒字転換予想としている。前期の悪条件(フィッシング事業における在庫調整局面、アウトドア事業における暖冬・記録的高温など)の影響が一巡するほか、フィッシング事業ではキャンプ等のアウトドア・アクティビティとの融合による釣り人口拡大促進、インターネットを活用した販促強化、アウトドア事業では自社アウトドア衣料「フォックスファイヤー」ブランド認知度向上、顧客数増加に向けた商品開発強化、在庫の効率的販売策の実施、直営店舗の業務効率化などを推進する。なお25年4月1日出荷分よりフィッシング用品の一部製品の価格改定を実施した。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。

■株主優待制度は毎年11月末の株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は、毎年11月30日現在の株主を対象として、保有株式数に応じてFoxfire Store20%OFFお買物優待券を贈呈している。

■株価は年初来高値更新

 株価は急伸して年初来高値を更新した。その後は一旦反落したが、1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。6月17日の終値は897円、今期予想PER(会社予想のEPS27円05銭で算出)は約33倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約1.3%、前期実績PBR(前期実績のBPS1827円68銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約30億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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