京都大学・NTTなどが世界初証明、量子超越性と暗号の安全性は等価

■従来とは異なるアプローチによる量子計算機の優位性を特徴付ける新たな理論的基盤

 京都大学基礎物理学研究所とNTT<9432>(東証プライム)の研究開発を担うNTT社会情報研究所の研究グループは6月23日、量子計算機が従来の計算機を上回る性能を持つ「量子超越性」と、「暗号の安全性」が等価であることを世界で初めて証明したと発表した。この成果は、量子計算機が優位性を持つための「必要十分条件」を初めて明確にした画期的なものである。量子計算理論と暗号理論という、これまで別々に発展してきた分野の根源的な結びつきを示した。この研究成果は、国際会議「STOC 2025」で発表される。

 これまで量子超越性が存在する条件は、素因数分解の困難性などが知られていたが、それらはあくまで十分条件であり、必要不可欠な条件かは不明であった。同研究グループは、この根本的な問いに答えるため、量子計算機を持つ者(証明者)と持たない者(検証者)が対話を通じて能力を検証する「非効率検証可能量子性証明(IV−PoQ)」という仕組みに着目した。そして、この検証が成り立つための必要十分条件が、ある種の暗号機能の安全性と数学的に一致することを突き止めた。これにより、量子超越性の存在と暗号の安全性が表裏一体の関係にあることが理論的に裏付けられた。

 この発見は、量子計算と情報セキュリティの両分野に大きな影響を与える。特に注目点は、もし量子超越性が存在しない場合、現在安全とされている多くの暗号が破綻しうるという点である。これには、広く利用される古典暗号や、将来の量子計算機にも対抗できるとされる耐量子計算機暗号も含まれる。つまり、量子超越性の存在自体が、現代社会を支える情報セキュリティの基盤と密接に結びついていることを示唆する。同成果は、今後の量子超越性の実証実験や、より安全な暗号の構築に向けた研究を加速させる重要な理論的基盤となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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