【注目銘柄】トーエネックは分割権利落ち後高値更新、連続最高業績・増配を手掛かりに内需割安株買いが増勢

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 トーエネック<1946>(東証プライム)は、前日9日に34円高の1274円と高値引けで続伸し、終値で今年7月3日につけた株式分割の権利落ち高値1273円を更新した。米国が、日本への相互関税を25%に引き上げ8月1日から発動すると通知してきて以来、「トランプ関税」の影響の相対的に軽微な内需関連のディフェンシブ買いが強まっており、この一環として電気工事株として今2026年3月期業績が、連続して過去最高を更新し、配当も連続増配を予想している同社株に割安修正期待の買い物が増勢となった。テクニカル的にも、分割権利落ち後の高値追いの過程で25日移動平均線が、75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆し、足元の調整場面でも25日線で下値をキープしたこともフォローの材料視されている。

■戦略的な営業活動強化で配電線工事、屋内線工事の受注が続伸

 同社の今2026年3月期業績は、売り上げ2770億円(前期比2.2%増)、営業利益180億円(同12.2%増)、経常利益170億円(同10.7%増)、純利益120億円(同11.5%増)と予想され、前期の過去最高を連続更新する。前期末の繰越工事高は、前々期の大型太陽光発電工事の反動で1253億9800万円(同4.5%減)となるが、受注高は、成長の見込めるカーボンニュートラルやDX関連の分野や首都圏、近畿圏、アジアなどのエリアへの戦略的な営業活動を強化し、設備工事の配電線工事の同2.5%増、屋内線工事の0.5%増、通信工事の5.4%増、さらにエネルギー事業の5.8%増の続伸などから2250億円(同1.7%増)を計画し、原材料価格の上昇にはさらに価格転嫁を進めることなどが要因となる。

 配当は、昨年9月30日を基準日に株式分割(1株を5株に分割)を実施し、株式分割を考慮した前期年間配当を250円(前々期実績200円)に増配し、今期も、連結配当性向30%以上で業績に応じた利益還元を目指す配当方針に従って52円を予定しており、連結配当性向は40.2%と前期と同様に40%台をキープする。分割考慮では年間260円となり、連続増配となる。

■GC示現でPER9倍、PBR0.8倍、配当利回り4%の修正に弾み

 株価は、株式分割で上場来高値6450円まで好感高し、大株主の中部電力<9502>(東証プライム)の政策保有株の売出し(売出価格4859円)を嫌って3670円と下ぶれる場面もあったが、4790円で分割権利を落とした。権利落ち後は落ち後の理論価格を下回る875円へ調整したが、前期第3四半期の好決算で1064円と持ち直し、トランプ関税による世界同時株安で分割権利落ち後安値796円へ再調整し、売られ過ぎ修正に今期業績の連続過去最高・連続増配が続いて分割権利落ち後高値追いと上値を伸ばし、GCを示現して上昇トレンド転換を鮮明化した。PERは9.85倍、PBRは0.836、年間配当利回りは4.08%となお割安であり、一段の上値評価が続こう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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