【編集長の視点】SCAT、増配&記念優待で「高利回り銘柄」に浮上、V字回復期待で株価再上昇へ
- 2025/7/16 08:28
- 編集長の視点

■重複上場の記念優待策を手掛かりに総合利回り買いが交錯
SCAT<3974>(東証スタンダード)は、前日15日に1円安の473円と3営業日続落して引けた。東証スタンダード市場指数が、5.52ポイント安の1387.98と3営業日ぶりに反落したことから、7月11日に年初来高値486円をつけた同社株にも目先の利益を確定する売り物が増勢となった。ただ引け値が始値を小幅に上回る日足の陽線を示現しており、押し目買いも交錯した。今年7月14日に名古屋証券所のメイン市場上場が承認され、東証スタンダード市場との重複上場となったが、これと同時に重複上場記念の株主優待策を発表しており、今2025年10月期の中間配当の増配と合わせて総合利回りが高いとして買い手掛かりとなった。今10月期業績が、V字回復と予想されていることも合わせて見直されている。
■中間配当増配に続く記念優待策で総合利回りは5%超にアップ
同社は、2016年12月に旧商号のティビィシィ・スキャットとして東証ジャスダック市場に新規株式公開(IPO)され、2023年5月に現商号のSCATに商号が変更され、2024年4月に東証の市場区分再編に伴い東証スタンダード市場に上場市場が変更された。今回の名証メイン市場への重複上場は、拠点オフィスを設置している名古屋地区を重要な営業エリアとしてさらに営業を強化するうえで個人投資家への認知度を向上させることが目的となっている。重複上場記念の株主優待策は、100株以上を保有する株主にクオカード1000円分を贈呈するもので、今期の年間配当14円と合計すると総合利回りは5.07%にアップする。また、同社の前期末の流通株式時価総額は、9億2800万円と東証スタンダード市場の上場基準10億円を下回り不適合となっているが、この充足も強力支援する。
一方、今2025年10月期業績は、売り上げ27億1800万円(前期比4.8%増)、営業利益2億1500万円(同45.8%増)、経常利益2億1500万円(同37.5%増)、純利益1億3600万円(同36.6%増)とV字回復が予想されている。美容ITC事業では、前期から1年先送りされた案件の受注にWindows10のサポート終了に伴う入替需要や課金型ビジネスの拡充が加わり、ビジネスサービス事業では「経営革新等支援機関」としての経営改善コンサルティング業務の伸長、介護ビジネス事業では高い入居稼働率を維持することなどが寄与する。すでに発表した今期第1四半期(2024年11月~2026年1月期)は、減収減益で着地したが中間配当を期初予想の6円から7円に引き上げて年間14円(前期実績13円)に増配し、第2四半期(2024年11月~2025年4月期)も、減収減益となったが、経済産業省のIT導入支援事業者に採択されたことなどから期初予想を据え置いている。
■2番底から2023年1月高値560円を目指すキャピタルゲイン妙味も
株価は、前期業績の下方修正と増配が綱引きするなか371円と売られ、今期業績のV字回復予想に続く今期中間配当の増配で400円台にリバウンドしたものの、トランプ関税による世界同時株安のなか372円と再調整し2番底を形成した。この2番底から名証メイン市場への重複上場・記念株主優待策で年初来高値486円まで急伸したが、総合利回りはなお高い。インカムゲイン妙味を膨らませつつ、キャピタルゲイン的にも昨年1月高値515円を上抜き、2023年1月高値560円を目指す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)