トランプ関税の企業影響調査:日米合意への評価分かれる、「どちらともいえない」が過半数

■関税15%への引き上げで「マイナス影響」4割、「影響なし」も同水準

 帝国データバンクは8月7日、トランプ関税(相互関税15%等)に関する企業アンケート調査の結果を発表した。日米両政府は7月下旬、米国が日本製品に課す関税率を25%から15%に引き下げることで合意し、8月7日から新関税が発動された。調査では、自社への短期的な影響として「マイナス影響がある」が37.7%、「影響はない」が36.9%となり、企業の評価は分かれた。中長期では「マイナス影響がある」が42.9%に増加し、「分からない」とする回答も37.2%に上昇。不透明感が企業の判断を難しくしている実態が浮き彫りとなった。

 調査結果からは、関税引き上げによる直接的影響だけでなく、顧客企業への波及や市場環境の変化を懸念する声が多く寄せられた。短期的には影響を限定的と見る企業も一定数存在するが、中長期的には「国内生産の減少」「設備投資の見直し」など負の連鎖を警戒する意見が目立った。一方で、前回調査(6月)と比較すると、関税率が15%で確定したことで「影響なし」とする企業は若干増え、先行き不安がやや緩和された面もみられる。

 今回の合意内容についての評価では、「評価しない」が28.1%、「評価する」が16.0%となり、「どちらともいえない」が54.3%と半数を超えた。評価しない理由としては、「合意内容の不明瞭さ」「過去の経緯を踏まえた関税率への不信」などが挙がった。一方、評価する企業は「早期の妥結を評価」「最悪のシナリオ回避を肯定的に見る」といった意見を示しており、政府の交渉姿勢を一定程度評価する見方もあった。

 今回の調査結果からは、関税15%の影響が短期・中長期ともに企業活動に大きな影響を及ぼす可能性が高いことが示された。直接的影響を受けない企業であっても、取引先を通じた間接的な影響や業界全体への波及を懸念する声は多く、全体として不透明感が払拭されていない。今後、政府には合意内容の明確化とともに、影響を受ける企業への具体的な支援策や経済対策が求められる局面に入っている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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