神鋼商事は26年3月期1Q大幅減益も通期経常・最終増益予想据え置き、指標面に割安感

 神鋼商事<8075>(東証プライム)は8月7日に26年3月期第1四半期連結業績を発表した。減収・大幅減益だった。アルミ・銅や鉄鋼原料の取扱量減少などが影響した。ただし通期予想を据え置いた。鋼材価格下落や販管費増加などで営業減益だが、営業外収支改善により経常・最終増益で増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は水準を切り上げて戻り歩調の形だ。第1四半期業績に対するネガティブ反応も限定的だった。高配当利回りや低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■26年3月期1Q大幅減益だが通期経常・最終増益予想据え置き

 26年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比3.1%減の1476億77百万円、営業利益が39.7%減の22億24百万円、経常利益が17.9%減の29億38百万円、親会社株主帰属四半期純利益が32.6%減の19億82百万円だった。

 減収・大幅減益だった。アルミ・銅や鉄鋼原料の取扱量減少、原料ユニットにおける海外投資先炭鉱の操業停止、前期の一過性利益の剥落などが影響した。なお営業外収益では受取配当金が3億89百万円増加、営業外費用ではデリバティブ評価損が1億06百万円減少、特別利益では前期計上の投資有価証券売却益6億70百万円および負ののれん発生益1億79百万円が剥落した。

 セグメント別の経常利益を見ると、金属セグメントの鉄鋼ユニットは9.8%増の15億98百万円だった。国内自動車・建築分野の特殊鋼・鋼板製品の需要が減少したが、全体として売上高が1.0%増収となり、営業外収益の増加が寄与した。アルミ・銅ユニットは37.2%減の6億73百万円だった。空調用銅管、自動車向けアルミ製品、再生塊アルミの取扱量が減少して減収・大幅減益だった。原料ユニットは83.1%減の1億14百万円だった。大幅減益だった。重点分野の資源循環ビジネスは鉄スクラップの輸出取扱量が増加したが、神戸製鋼所向け主原料の取扱量減少・価格下落のほか、海外投資先の操業停止、バイオマス発電所の操業再開遅れ、前期計上の一過性利益の剥落なども影響した。

 機械・溶接セグメントの機械ユニットは131.2%増の5億42百万円だった。国内における電池材料の増加、非汎用圧縮機やゴムタイヤ機械等の本体納入の増加などが牽引した。溶接ユニットは47.7%減の84百万円だった。溶接材料および溶接関連機材の取扱量が国内・海外とも減少した。

 通期の連結業績予想は据え置いて売上高が前期比3.2%増の6370億円、営業利益が10.0%減の119億円、経常利益が2.0%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が7.4%増の92億円としている。配当予想は106円(第2四半期末53円、期末53円)としている。25年4月1日付の株式3分割を遡及換算すると、25年3月期の100円(第2四半期末50円、期末50円)に対して6円増配となる。予想配当性向は30.4%である。

 売上面はアルミ・銅ユニットの取扱量増加で増収だが、利益面は鋼材価格の下落、日系自動車生産台数の低迷、販管費の増加などで営業減益予想としている。ただし経常利益と親会社株主帰属当期純利益については営業外収支改善により増益予想、そして増配予想としている。なお想定為替レートは1米ドル=140円としている。米国関税政策の影響については、現時点では予測が困難なため今回の業績予想には織り込んでいない。

 ユニット別の経常利益計画は、金属本部小計が1億円増の90億円(鉄鋼が5億円減の51億円、アルミ・銅が5億円減の26億円、原料が11億円増の13億円)、機械・溶接小計が0億円増の30億円(機械が0億円増の23億円、溶接が0億円減の7億円)、その他が1億円増の0億円としている。

 鉄鋼は鋼材価格の下落や取扱量の減少等により減益、アルミ・銅は銅板・銅管やアルミ加工品が堅調だが中国の需要回復遅れ等により減益、原料はバイオマス燃料の取扱量増加や前期の一時的損失(貸倒引当金計上)の一巡等により増益、機械は圧縮機等の環境投資が次期にズレ込むが建機向けの緩やかな回復でカバーして横ばい、溶接は横ばいの計画としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高23.2%、営業利益18.7%、経常利益24.5%、親会社株主帰属当期純利益21.6%である。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価(25年4月1日付で株式3分割)は水準を切り上げて戻り歩調の形だ。第1四半期業績に対するネガティブ反応も限定的だった。高配当利回りや低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。8月7日の終値は2126円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS348円00銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の106円で算出)は約5.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3461円36銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約565億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る