ネオジャパン、クラウド事業が成長を牽引、増収増益で業績の上振れ期待高まる

 ネオジャパン<3921>(東証プライム)は自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOクラウドサービスを主力として、販売拡大とクロスセル加速、AIを活用した製品アップグレード・製品ラインナップ拡大、継続的なARPU拡大、海外事業の成長に伴う売上拡大などを推進している。26年1月期も増収増益予想としている。desknet‘s NEOクラウドサービスを中心とするソフトウェア事業の成長が牽引する見込みだ。中間期の進捗率が高水準であることを勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上げ一服の形となったが、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力に、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社(連結子会社)NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立、24年4月フィリピンに子会社NEOPhilippineを設立し、拠点開設は3ヶ国となっている。当面は投資が先行する形だが、ASEAN全域においてdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。

 25年1月期のセグメント別売上高(セグメント間の内部売上高、または振替高を含む)は、グループウェアを中心とするビジネスICTツールのソフトウェア事業が52億13百万円(内訳はクラウドサービスが34億27百万円、プロダクトが17億03百万円、技術開発が81百万円)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が20億33百万円、海外事業が1億28百万円、調整額が▲1億11百万円、営業利益(全社費用等調整前)はソフトウェア事業が20億11百万円、システム開発サービス事業が65百万円、海外事業が▲1億27百万円、調整額が1百万円だった。

 なお外部顧客への売上高に占めるストック収益比率は、ソフトウェア事業(クラウドサービス提供による利用料、パッケージソフトのサポートサービス料、ASPライセンス料など)が83.3%、システム開発サービス事業(同一取引先に対して各決算期末の直前12ヶ月以上継続して売上を計上している準委任契約、派遣契約など)が96.7%、海外事業が69.2%だった。

■製品ラインナップ拡充

 desknet‘s NEOは、すべての組織のDX推進を支えるオールインワン改善プラットフォームである。多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、25年5月時点で自治体・政府機関1250団体以上(自治体導入実績が643で都道府県庁の3分の1以上に納入、および公的機関導入実績が611)に導入されている。

 desknet‘s NEO以外の製品ラインナップとしては、ノンプログラムで誰でもWebアプリを簡単に作成できるノーコード業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのセキュリティ特化型ビジネスチャットChatLuckを提供している。

 25年1月期末時点で、グループウェアdesknet‘s NEOのプロダクト累計販売実績数は4.0%増の455.9万ユーザー、クラウドユーザー数は3.5%増の53.7万ユーザー、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteのプロダクト累計販売実績数は29.3%増の40.2万ユーザー、クラウドユーザー数は37.9%増の8.0万ユーザーとなっている。

 24年6月には、カスタマーコミュニケーションハブとして「NEOPORT」の提供を開始した。メール、チャット、動画音声メッセージなど多様化するカスタマーとのコミュニケーションチャネルを共通のプラットフォームに統合し、AI・自動化技術も活用してチームでの顧客対応業務を効率化させるクラウド型の新しいコミュニケーションツールである。また25年9月には、社内データ×生成AIをノーコードで実現する生成AIプラットフォーム「neoAI Chat for desknet‘s」をリリースした。

■さまざまな賞を受賞

 24年9月には日経BP発行の「日経BPガバメントテクノロジー 2024年秋号」で発表された「自治体ITシステム満足度調査2024―2025 グループウェア/ビジネスチャット部門」において1位を獲得した。

 25年5月にはアイティクラウドが主催する「ITreview Best Software in Japan 2025」の「グループウェア」カテゴリーにおいてdesknet‘s NEOが、また「ノーコードWebデータベース」カテゴリーにおいてAppSuiteが、それぞれTOP100に選出された。AppSuiteは初の選出となる。

 25年7月にはアイティクラウドが主催する「ITreview Grid Award 2025 Summer」において、desknet‘s NEO、AppSuite、ChatLuckが、それぞれ4部門で最高位であるLeaderを受賞した。desknet‘s NEOはグループウェア部門で25期連続での受賞となった。その使いやすさと顧客満足度の高さが評価されている。

 25年9月にはスマートキャンプ社が運営する「BOXIL SaaS AWARD Autumn 2025」において、desknet‘s NEO、AppSuite、ChatLuckが、3部門で合計10の賞を受賞した。

■成長戦略

 25年6月に新たな中期業績目標値(26年1月期~28年1月期)を公表し、最終年度28年1月期に売上高94億23百万円、営業利益26億20百万円を目指すとした。CAGR(年平均成長率)は売上高が9.1%、営業利益が10.3%となる。なお配当政策については25年3月13日付で変更を発表し、累進配当を基本方針として連結配当性向を40%目安に引き上げることとした。25年1月期より実施した。

 成長戦略として国内累計販売ユーザー数1000万ユーザー、グループウェア国内トップシェアを目指し、desknet‘s NEOを中心とする製品販売拡大とクロスセル加速、AIを活用した製品アップグレード・製品ラインナップ拡大、継続的なARPU拡大、海外事業の成長に伴う売上拡大などを推進している。

 東南アジア市場開拓戦略では、23年9月にフィリピン経済特区庁(PEZA)と適切なICTシステムの開発と導入に関する基本合意(MOU)を締結した。海外政府機関とのMOU締結は同社にとって初となる。24年7月にはマレーシアの連結子会社NEOREKA ASIAが、desknet‘s NEOとAppSuiteでマレーシア投資開発庁のデジタル改革加速を支援すると発表した。24年10月にはNEOREKA ASIAが、Solsis(Dataprep Holdingsの連結子会社)と販売代理店契約を締結した。マレーシア政府機関などへの販売拡大を目指す。25年6月にはマレーシア・ジョホール州政府の投資促進機関Invest Johorと、同州イスカンダル地域への東南アジア・エクセレンスセンター(SEA CoE)の設立に向けた戦略的協力に関する基本合意書を締結した。

■サステナビリティ経営

 サステナビリティ経営への取り組みとして23年5月にサステナビリティ委員会を設置、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。24年3月には、横浜市が取り組む「横浜健康経営認証」において最高クラスの「横浜健康経営認証クラスAAA」に認定(認証期間は24年4月1日から2年間)された。24年6月には厚生労働大臣が認定する「くるみん認定」を取得、スポーツ庁が推進する「Sport in Lifeコンソーシアム」に加盟した。25年2月にはスポーツ庁の「スポーツエールカンパニー2025」に認定された。25年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において、健康経営優良法人2025(大規模法人部門(ホワイト500))に認定された。健康経営優良法人は6年連続、ホワイト500は初認定となる。

■26年1月期中間期大幅増収増益、通期上振れの可能性

 26年1月期の連結業績予想は売上高が前期比10.8%増の80億48百万円、営業利益が7.9%増の21億06百万円、経常利益が5.7%増の21億66百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.4%増の14億62百万円としている。配当予想は前期比2円増配の42円(第2四半期末21円、期末21円)としている。予想配当性向は40.2%となる。

 第2四半期累計(中間期)の連結業績は売上高が前年同期比18.0%増の39億73百万円、営業利益が47.4%増の12億50百万円、経常利益が44.4%増の12億94百万円、親会社株主帰属中間純利益が47.6%増の8億89百万円だった。主力のソフトウェア事業のクラウドサービスが牽引して大幅増収増益だった。

 ソフトウェア事業(海外事業に含めていた子会社DELCUIの業績を当期よりソフトウェア事業に含む)は、売上高が前年同期比26.4%増の29億80百万円、営業利益(セグメント間取引消去前)が47.2%増の12億62百万円だった。売上高の内訳は、クラウドサービスが35.6%増の20億90百万円、プロダクトが4.8%増の8億14百万円、技術開発が93.8%増の75百万円だった。

 クラウドサービスの売上高の内訳は、グループウェアdesknet‘s NEOクラウドが35.3%増の17億43百万円、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteクラウドが69.4%増の1億82百万円、ビジネスチャットChatLuckクラウドが16.5%増の46百万円、その他月額売上が0.9%減の90百万円、その他役務作業等が97.3%増の28百万円だった。24年9月以降の価格改定やセットプランなどの効果も寄与して大幅伸長した。

 26年1月期中間期末時点のグループウェアdesknet‘s NEOのプロダクト累計販売実績数は前年同期比4.1%増の461.2万ユーザー、クラウドユーザー数は2.4%増の55.0万ユーザー、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteのプロダクト累計販売実績数は29.1%増の43.0万ユーザー、クラウドユーザー数は46.2%増の9.5万ユーザーとなった。

 システム開発サービス事業(子会社のPro-SPIRE)は売上高が4.0%減の9億63百万円、営業利益が5.8%減の29百万円だった。人件費の増加などで減益だった。海外事業は売上高が167.0%増の36百万円で営業利益が41百万円の損失(前年同期は41百万円の損失)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が19億96百万円で営業利益が6億44百万円、第2四半期は売上高が19億77百万円で営業利益が6億06百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて増益・増配予想としている。ソフトウェア事業がクラウドサービスユーザー数増加、24年9月以降のクラウドサービス価格改定や新セットプラン販売の効果などで好調に推移する見込みだ。

 通期予想に対する中間期の進捗率は売上高49.4%、営業利益59.4%、経常利益59.8%、親会社株主帰属当期純利益60.8%と高水準である。ストック収益が拡大基調であり、中間期の進捗率が高水準であることを勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は上げ一服の形となったが、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。9月22日の終値は1968円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS104円50銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の42円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS450円67銭で算出)は約4.4倍、そして時価総額は約277億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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