クリーク・アンド・リバー社、26年2月期中間期順調、通期大幅増益予想据え置き、ゲーム・医療分野が回復

(決算速報)
 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は10月9日に26年2月期第2四半期累計(以下、中間期)連結業績を発表した。営業利益と経常利益は前年同期比では小幅減益だが概ね計画水準と順調だった。前期苦戦したゲーム分野や医療分野が回復に転じた。中間純利益は一過性要因(税金費用減少)で計画を上回る大幅増益だった。そして通期の大幅増益予想を据え置いた。各事業が順調に成長するほか、高橋書店グループの収益が下期に本格寄与する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■26年2月期中間期の営業・経常利益は小幅減益だが概ね計画水準

 26年2月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比8.7%増の280億92百万円、営業利益が2.6%減の21億38百万円、経常利益が6.8%減の21億12百万円、親会社株主帰属中間純利益が50.7%増の22億14百万円だった。なお第2四半期より高橋書店グループのPLを連結しているが、高橋書店グループの第2四半期の業績は、出版業界特有の商慣習によって出荷した商品の返品が集中する時期となるため、営業損益が一時的に赤字となる特性がある。

 営業利益と経常利益は前年同期比では小幅減益だが、概ね計画(25年4月10日付の期初公表値、売上高280億円、営業利益21億円、経常利益21億円、親会社株主帰属中間純利益13億50百万円)水準と順調だった。前期苦戦したゲーム分野や医療分野が回復に転じた。親会社株主帰属中間純利益は一過性要因(高橋書店グループにおける第2四半期の一時的な収益悪化に伴う税金費用減少)で計画を上回る大幅増益だった。参考値として、高橋書店グループの4~6月期業績(売上高3億61百万円、営業利益4億57百万円の損失)影響を除くベースでは、売上高は前年同期比7%増の277億31百万円、営業利益は18%増の25億96百万円、経常利益は13%増の25億74百万円、親会社株主帰属中間純利益は13%増の16億60百万円だった。

 カテゴリ別で見ると、ゲーム&ライツマネジメントは売上高が前年同期比15%増の85億09百万円で営業利益が5%増の7億64百万円だった。前期の一部大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響が一巡したほか、バンダイナムコエンターテインメントとの合弁会社URS Gamesが25年4月より事業開始したことも寄与した。ブロードキャスティング&動画は売上高が3%増の72億88百万円で営業利益が49%増の3億54百万円だった。テレビ局向け人材派遣が堅調に推移し、番組制作を行う子会社シオンにおける採算改善も寄与した。プロモーション&マーケティングは売上高が8%増の37億03百万円で営業利益が12%増の2億89百万円だった。官公庁や企業のプロモーション需要が旺盛に推移した。メディカル&ヘルスケアは売上高が10%増の35億85百万円で営業利益が22%増の12億48百万円だった。前々期に実施した構造改革の効果が表れ、医師紹介事業が伸長した。

 AI/DX・ITは売上高が6%増の15億35百万円で営業利益が4%増の19百万円だった。AIは投資段階だが、ツールベンダー支援サービス「DXの森」では提携パートナーが順調に拡大した。プロフェッショナル・エージェンシーは売上高が1%減の13億12百万円で営業利益が157%増の38百万円だった。売上高は伸び悩んだが、採算改善で大幅増益だった。Quality of Lifeは売上高が3%増の13億25百万円で営業利益が25%減の41百万円だった。本社ビルで運営するイタリアンレストランは黒字定着したが、建築分野は資材高騰の影響等でプロジェクトが遅延した。インキュベーション&デベロップメントは売上高が51%増の14億26百万円で営業利益が5億10百万円の損失(前年同期32百万円)だった。高橋書店グループの第2四半期の季節要因による一時的な収益悪化が影響した。

 報告セグメント別で見ると、日本クリエイティブ分野は売上高が9%増の191億72百万円で営業利益(全社費用等調整前)が16%増の13億35百万円、韓国クリエイティブ分野は売上高が11%減の14億02百万円で営業利益が16百万円の損失(前年同期11百万円の損失)、医療分野は売上高が10%増の35億85百万円で営業利益が22%増の12億47百万円、会計・法曹分野は売上高が4%減の11億92百万円で営業利益が12%減の54百万円、CRES分野は売上高が4億10百万円(同20百万円)で営業利益が4億67百万円の損失(同11百万円)、その他は売上高が7%増の25億76百万円で営業利益が2百万円の損失(同36百万円の損失)だった。26年2月期より追加したCRES分野は、事業承継・M&A等を展開するC&R EVERLASTING STORY(25年6月1日付でC&Rインキュベーション・ラボより社名変更)を中心に、高橋書店グループを含めた全6社で構成されている。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が138億39百万円で営業利益が14億21百万円、第2四半期は売上高が142億53百万円で営業利益が7億17百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が前期比19.3%増の600億円、営業利益が38.3%増の50億円、経常利益が35.3%増の50億円、親会社株主帰属当期純利益が42.1%増の32億円としている。配当予想は前期比4円増配の45円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 カテゴリ別の計画は、ゲーム&ライツマネジメントの売上高が14%増の169億15百万円で営業利益が16%増の17億50百万円、ブロードキャスティング&動画の売上高が4%増の148億円で営業利益が18%増の6億65百万円、プロモーション&マーケティングの売上高が7%増の75億50百万円で営業利益が13%増の6億70百万円、メディカル&ヘルスケアの売上高が6%増の56億50百万円で営業利益が29%増の14億円、AI/DX・ITの売上高が12%増の33億円で営業利益が83%増の1億10百万円、プロフェッショナル・エージェンシーの売上高が9%増の29億10百万円で営業利益が210%増の2億20百万円、Quality of Lifeの売上高が4%増の26億50百万円で営業利益が51%増の1億10百万円、インキュベーション&デベロップメントの売上高が342%増の71億75百万円で営業利益が4億22百万円(前期は36百万円)としている。

 各事業が順調に成長するほか、インキュベーション&デベロップメントでは高橋書店グループの収益が下期に本格寄与する。中間期の進捗率は売上高が47%、営業利益が高橋書店グループの第2四半期の季節要因による一時的な収益悪化で43%、経常利益が同様に42%、親会社株主帰属当期純利益が第2四半期の一時的要因に伴う税金費用減少で69%となっている。

 高橋書店グループの業績寄与は、上期(3ヶ月分)が売上高5億円で営業利益3億円の損失、下期(6ヶ月分)が売上高44億円で営業利益8億円、通期(9ヶ月分)が売上高49億円で営業利益5億円の計画としている。高橋書店グループを除くベースの計画は、売上高が前期比10%増の551億円、営業利益が25%増の45億円である。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが、調整一巡して出直りを期待したい。10月9日の終値は1467円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS149円88銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の45円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS750円70銭で算出)は約2.0倍、そして時価総額は約338億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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